【2022年2月14日】ACSは、「高性能な製品を、適性価格で提供することにより、『日本のものづくり』と、その先にある『より良い未来づくり』に貢献します」。
これはカッティングプロッタを開発・製造するACSの企業方針だ。
同社は2009年 9月設立と比較的社歴の新しいマシンサプライヤーだが、近年の年間販売数は100台を超える。
しかし、魚本信一朗専務は「まだまだ日本での認知が足りない」と自社を評する。
高性能な“日本生産”のカッティングプロッタに込めた思いと、現状、将来の展望などを魚本専務に聞いた。
また、販売特約店であるSINACOの小林主任にもコメントを寄せていただいた。
――貴社のご紹介をお願いします
2009年 9月に私の父である魚本泰良が設立しました。今年で13期目を迎える若い会社です。もともと父は他の会社で開発の仕事をしており、リーマンショック後に独立し、段ボール用のサンプルカッター(カッティングプロッタ)の開発・製造をはじめました。
――はじめに、段ボール加工用として製造を開始したのはどうしてでしょうか
一つは、段ボールでの制作物は、手作業でカットしている現場も多く、非効率な作業を続けるケースをよく見かけたからです。「これからは自動化しなければならない」との考えから、性能がよく、手頃な価格のサンプルカッターを開発しました。
もう一つ、サイン・ディスプレイ業界では、先行する他メーカーが数社おり、さまざまな加工に応じた機能差を感じ、同等品として戦うことが難しいという面を感じました。ですから、これまであまりプロッタが浸透していない業界から市場開拓を始めたのです。
――販売は順調だったのですか
初年度の販売数は5台に留まり、正直言って非常に苦労しました。
2年目には15台、3年目に30台と徐々に年間の販売台数を増やし、7年目には年間100台を達成。それ以降は経済状況などの影響を受けながらも100台以上を維持し、徐々にお客様を増やしてきました。累計販売台数は、間もなく1000台を超えます。
――マーケットは段ボール業界だけですか
いいえ。カッティングの機械化は、段ボールの業界だけにとどまらないと、さまざまな可能性がある業界へ製品を紹介していきました。
ゴムや化成品、このほか工業用品などの業界でも当社の製品をお使いいただいています。
当社と特約販売店や販売代理店の協力により、マーケットが広がっていきました。
――この分野なら使えるだろうと、貴社が提案したということですか
当社が提案したというよりも、販売代理店の方が「この分野でいけるなら、こちらもどうか」とさまざまな企業へ勧めてくれました。
また、販売した業界内でも「作業時間が短縮し、自動化、標準化が進んだ」と評判になり、同業者間で紹介いただけるケースもありました。
――製品の特長は
ACSの社名は「アドバンスト(上級な)・カッティング・システム」の頭文字です。
その社名通り、他にはない上級な性能と機能を持った製品を特長としています。より精度が高く、より使いやすく、それを適正な価格で販売することがACSの使命だと思っています。
さらに製品は純国産にこだわり、ケーブルの一本まで日本製、コネクターの圧着といった細かな作業もすべて社内で行っています。
たまに「ACSというのは、海外製のカッティングプロッタを販売しているのか?」と言われることがありますが、これが一番悔しい。
社長も含め技術畑の人間が多いため、しっかりと会社をアピールし、製品の性能や特長を伝えきれていないためで、まだまだ日本での認知が足りないと感じています。
――製品のラインアップは
ハイエンドモデルの「ASシリーズ」とエントリーモデルの「Zシリーズ」があります。
――両シリーズの違いは
「ASシリーズ」は、高い精度や速度を持つハイエンドモデルですが、基本機能以外はオプションで付けるという製品です。ユーザーが必要な機能を選択できるので、高機能ラインながら、リーズナブルな価格で製品を提供できます。オーダーメイド品に近い扱いで、加工範囲やヘッドなどを要望に合わせて変更してお届けします。
一方の「Zシリーズ」は紙・パッケージ用で8㎜以下の薄い紙に対応しています。
いろいろなことをしたいというユーザーには「ASシリーズ」、紙しかカットしない場合は「Zシリーズ」という使い分けをしていただいています。
両シリーズともに、省スペースの縦型「スタンドタイプ」を用意しています。
これは当社のオリジナルで、特許も取っています。日本の工場事情に合わせた設計で、設置面積は平型の約3分の2とコンパクト且つ高精度な加工ができます。
――縦型などは他にはないユニークな製品です。こういったものの開発はどのように行いましたか
ユーザーや販売代理店からの要望に真摯に真正面から応えていくことで、開発のきっかけとしました。また、実際にお使いいただいたユーザーや、展示会で当社ブースを訪問いただいた方から「こういう風に使えるのでは?」「こういう機能を付けてみたら?」という助言をいただき、そこから技術担当者とともにアイデアを出しています。
とにかくお客様のお話を聞くこと、そこから製品は作られると思っています。
開発担当者は10人ほどで少数精鋭、迅速に開発を行うので製品リリースも、カスタマイズも、使用の改善も他社と比較して早いと思います。
展示会へも積極的に参加し顧客の意見を聞く(JAPAN PACK 2019)
――販売台数が伸びているのも、その積み重ねですね。このほかに気を使っている点は
製品がしっかり動くこと、安定して使っていただくことが重要になります。もちろん、壊れないように作っていますし、故障発生頻度も年に1~2度といったところです。
それでも使用していただく中でトラブルはあります。その時に必要なのはメンテナンス。メンテナンスをしっかり提供するのは、メーカーの責任です。
先ほど開発は20人と言いましたが、うち5人はメンテナンスも行います。また、製造も外に出て保守サービスを行い、現在計15人がサポートできる体制です。
この開発や製造がお客様のところに言って保守サービスをすることも、よい効果があると思っています。直接お客様の声を聞くことで、新たな開発や製造での改善につなげています。またトラブルの要因にかかわる情報は、販売代理店にもリアルタイムで共有させていただいています。
――課題はありますか
海外への進出は一つの課題です。
当社は「世界でナンバーワンのカッティングマシンメーカー」を目指して創業しました。その思いは今も変わらず、我々はトップの背中を追いかけ、そして中国など新興国のメーカーからは背中を追いかけられています。
日本では、経営努力でリーズナブルに製品をお届けしていますが、海外の製品と対抗する際には、輸送費用や関税などの問題もあり、やはり単純に現地で勝負できないのです。
すでに東アジアへは製品を送っていますが、今後トップ企業の本拠地である欧州や北米で製品を広げていく際に、さまざまな施策をしていかなければならないと思っています。
――今後の展望やこれからユーザーになる方にメッセージを
なんといっても当社は「技術力が肝である」と考えています。
新しい技術で新しい製品を開発し、お客様に届けたい。カッティングプロッタの購入サイクルは約10年なのですが、10年たっても同じような製品を販売していたら、「この会社はつまらない」と思いますよね。
「こんな素晴らしい機能が追加されたのか」「こんな風に使いやすくなったのか」という機能をつけて製品をお渡ししたいと考えています。
日本はガラパゴスになりやすいのですが、必要な新機能をたくさん提供して、まずは東アジアでナンバーワン、そして最後には、毎年200台の販売と世界ナンバーワンのカッティングマシンメーカーを目指します。
我々はACSの販売特約店として、全国のお客様に製品をお届けしています。また、販売だけでなく、修理専用ダイヤルを設け、電話対応からエンジニアの現地派遣など、お客様サポートにも力を入れています。
同社は歴史の浅い会社ですが、社長をはじめ開発技術者の志や能力が高く、お客様や市場からの要望を真摯に受ける姿に信頼を置いています。また、当社のような販売店からの要望にも耳を傾けて頂けるので、より現場のニーズに応えやすく、こうした関係性から、結果として、信頼できる製品をお客様へ提供することにより高い評価を頂いております。
当社SINACOは、純国産品である同社製品をさらに拡販していきたいと考えています。
カットの自動化をご検討の際には、ぜひご用命ください。
技術的問い合わせ
ACS
埼玉県川口市前川2-51-14
☎048-486-9896
FAX048-486-9897
http://acs-1980.com/
販売の問い合わせ
SINACO
東京都品川区西品川1-17-17
☎03-6303-9896
FAX03-6740-1004
http://www.sinaco.co.jp
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