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【デジタルプリント潮流】いたばし印刷 リコーの小型ガーメントプリンタ「Ri100」を駆使 地域の枠超えていく原動力に

【2025年3月3日】2024年は8年ぶりに「drupa」が開催され、多くのメーカーが最新のデジタル印刷機を展示。多くの人がデジタル印刷の未来を考える年となった。
その中で読者からは「実際のデジタル印刷の現場はどうなのか?」「デジタル印刷を使ったビジネスはどう進んでいくのか?」という声があった。
そこで「デジタルプリント潮流」のテーマで、改めて日本の印刷会社を取材し、その現状をレポートしていく。

第2弾は、いたばし印刷だ。
いたばし印刷は、2016年創業の比較的新しい印刷会社。名刺をはじめチラシや冊子のほか、サイン・ディスプレイまでさまざまなプリント物を取り扱っている。
同社が始めたのがTシャツやトートバッグ、そして「白雲石コースター」へのインクジェットによるプリントだ。出力はリコーの小型ガーメントプリンタ「Ri100」を駆使して行われており、スマホなどの写真データを入力すればその場でできるという便利なもの。
このサービスについて同社の柴崎誠社長に話を聞いた。

 

地域密着の印刷屋さん

――2016年創業とのことですが、近年、印刷業界に新規参入は珍しいですね
両親が40年以上前に写植版下屋をやっていまして、それを見て育ち高校も都立工芸高校印刷科に進みました。その後印刷会社、デザイン会社に就職し印刷の知識にDTPやデザインなどを覚えました。
その後、写植だけではやはりビジネスが先細りになってしまうので、さまざまなことを勉強しながら2016年に独立し「いたばし印刷」を創業、2019年には法人化しました。

――商店街の中に店舗を出されていますね。その意図は
当社は印刷会社と言っても、オフセット印刷機などの大きな設備を持たず、他の印刷会社に外注して仕事をしています。今は町場の印刷屋さんが廃業や倒産でなくなってしまうこともあり、一般の方からは「どこに頼んだらいいのかわからない」という声が多いのです。
ですから、当社は街中に出店し、店頭に名刺やカタログやチラシを用意して、お客様とお話をして印刷物をつくることで、安心してお客様が品物を受け取れることを大事にしています。
(この取材の最中にも年配のお客さんが名刺を取りに来た)

――なるほど。印刷通販が増えてもやはり、顔を見て印刷を頼みたいという需要はあるのですね
やはりそれは求められますね。
それに私は地元の商店街で 理事やっていまして、今年の春まで5年間青年部の部長も務めました。
印刷業は地元密着の産業でもあり、この商店街とのつながりで仕事をいただくことも多いのです。
ですから、店舗を街中に置くのは必要なことだと考えています。

 

「Ri100」でお客様に喜びを

――リコーのガーメントプリンタ「Ri100」を使いグッズを作成されています。プリンタ導入のきっかけは?
2021年9月、リコーのショールームで、印刷組合のセミナーがあって面白そうな機械があると思って見ていたのが始まりです。実はそれまでもTシャツやトートバッグは、受注していたのですが、プリントは外注で、その場合、版代や型代がかかりますし、少量だとこれらが上乗せされて1枚の価格が高くなりました。
「Ri100」でつくれば、版代がかからず、その分安くお客様に出すことができ、喜んでいただけるのです。これらのことから、当社の仕事の延長線上に持って来られるマシンだと思いました。

――導入の決め手は?
導入の決め手はまずは低価格(約40万円)、そして小型で特別な技術がいらないことですね。
さらに本体が小さいことから、持ち運びできるため、イベントなどに持って行って使用できます。特に設置から稼働までが楽で特別な調整も必要ないことも、こういったイベントに向いています。
当社では「リコーProC5300S」を導入しており、名刺や封筒印刷に活用しています。そこでリコーというメーカーにも安心感を持っていました。

――持ち運びできると言えば、最初に取材させていただいたのも「インターペット2024」という愛玩動物に関する展示会でしたね。あの時は犬や猫などペットの画像をスマホで撮影し、「Ri100」を使いコースターをその場で作成し、順番待ちができるほどの大人気でした
そうですね。あんな形で、お客さんに喜んでもらえるのが一番うれしいです。喜んでもらえるなら「アウトプットはなんでもいい」というのが私の考えです。その中の一つが「Ri100」ですね。
当社は名刺のほか、カタログやチラシ、封筒、伝票などは外注で形にしています。私はデザインの技術もあるので、看板のデザインや施工も他社と組んで行っています。

――「Ri100」を実際に使ってみた印象は?
思った通りの使い勝手で、色もきれいに出ますね。唯一の課題はインクの耐久性でしょうか。Tシャツですと少し色落ちが早いかもしれません。コースターはそれほど落ちませんし、洗う回数が少ないトートバッグなどはとても相性がいいと感じます。

「インターペット2024」で人気だったコースター。その場で画像を取り込みプリントできる

 

地域越えた受注に挑戦

――コースター以外で特徴的なグッズの受注はありましたか?
旭山動物園さんの売店よりご注文いただいております、また板橋の神社協会さんよりトートバッグ500個や別でも天祖神社さんからも500個、名古屋の楽器屋さんからトートバック200個という依頼がありました。基本的には少量の生産に向いていますが、安価にできることから中量までの生産は可能だと思います。
当社は地域密着なのですが、その枠を超えていく仕事がこのプリンターで生み出されていると感じます。

絵本やゴルフのパター練習用グッズなどにも挑戦している

――今後はどのようなお仕事を考えていますか?
当然ながら「Ri100」を使ったノベルティ製作は広げていきたいと考えています。Tシャツやトートバック、コースターに加えて別のアイテムがつくれないかとも思っています。
私は新しい挑戦が好きで、毎年一つ新たなことにチャレンジしています。新型コロナウイルス感染拡大中には絵本「よろこび」を出版しました。ページの中に隠し絵のようにハートが描かれてるという内容で、ハートを探しながら親子で楽しんで読めるというものです。近隣の図書館に置いてもらい多くの方に触れていただいており、企画展もしてもらいました。
昨年末、ゴルフが趣味なのでパターがうまくなるグッズ「パターマスターPro」を制作したところ、11月1日発売の日経MJに掲載されました。

会社としては今後、店舗数を増やしていきたいと考えており、近々に3店舗までショップ数を増やしていきたいと思っています。
ショップにはコンシューマの方が多くいらっしゃいます。それも月20件以上は新規のお客様が来てくれる。こういう時代ですが、人と人が直接話をして物をつくるのは大事だと考えます。
当社はプリンティング関連で困っている人の受け皿になれるように、まずは地域から、その後は地域を越えて活動の場を広げていければと思っています。

 

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