【2023年2月27日】電通はこのほど、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2022年 日本の広告費」を発表した。
2022年(1~12月)日本の総広告費は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰など国内外のさまざまな影響を受けつつも、社会のデジタル化を背景に好調な「インターネット広告費」の成長に市場全体が支えられ、通年で7兆1,021億円(前年比104.4%)となった。
2022年の総広告費は、通年で7兆1,021億円(前年比104.4%)となり、コロナ禍前の2019年を超え、1947年に推定を開始して以降、過去最高となった。
上半期は、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や、北京2022冬季オリンピック・パラリンピックなどにより好調だった。下半期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の大きな変化、新型コロナの再拡大などの影響を受けたものの、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告需要が高まった。特に、社会のデジタル化を背景に、好調なインターネット広告費によって広告市場全体が成長した。
前年までの過去最高は2007年(7兆191億円)。
中でもプリント業界に関係の深い、プロモーションメディア広告費は1兆6,124億円 (前年比98.3%)だった。
レポートによると、コロナ禍からの回復に伴い行動制限の緩和や国や自治体による全国旅行支援施策の実施などもあり、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したものの、通年では減少したと分析。
一方で、人流が戻ったことで「屋外広告」「交通広告」「折込広告」など前年を上回る媒体もあったという。
屋外広告は2,824億円(前年比103.1%)だった。
人流回復の傾向が顕著になり、それに伴い広告費も堅調に推移した。都市部を中心に出稿は回復し、ラグジュアリーブランド、エンターテインメントなどの業種を中心に広告需要が高まった。
交通広告は1,360億円(前年比101.0%)だった。
鉄道は、ポスター、デジタルサイネージともに、前年に続きネットワーク系媒体よりも主要駅で人流が多いロケーションに設定されたインパクト型OOH媒体に需要が集中した。全国的に大型デジタルサイネージは前年を上回った。
折込は2,652億円(前年比100.8%)。
巣ごもり・在宅需要を後押しする媒体として引き続き活用され、9月までは前年を上回る水準で推移した。10月以降は電気代や紙代をはじめとするエネルギーや原材料などの経費高騰により販促活動が減少し、低調となったものの、通年では前年を上回った。
DM(ダイレクト・メール)が3,381億円(前年比98.1%)。
個人用の在宅向けDMや、BtoB営業目的のオフィス向けDMなどの広告需要が一巡し、減少した。
フリーペーパーが1,405億円(前年比97.4%)。
第26回参議院議員通常選挙の関連広告が大きく寄与した。依然として新型コロナや物価高の影響は続き、金融、住宅・不動産、求人情報、グルメ・飲食などの業種が回復したものの、発行部数や発行頻度の減少に伴い、前年比97.4%となった。
POPが1,514億円(前年比96.2%) 。
広告主にとって費用対効果の高いデジタルサイネージやスマートフォン利用施策に代表される双方向コミュニケーションツール、リアル店舗の強みを生かした体験型のPOP施策などの活用が見られたものの、全体的に実施数が減少し、広告費は前年を下回った。
イベント・展示・映像ほかは2,988億円(前年比92.5%)。
イベント領域は、前年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の反動で1,233億円(前年比89.9%)と減少した。
新聞広告費は3,697億円(前年比96.9%)だった。
北京2022冬季オリンピック・パラリンピックや第26回参議院議員通常選挙、FIFAワールドカップカタール2022などが広告費の押し上げに寄与した。しかし、新型コロナ再拡大やウクライナ情勢による経済環境の変化、前年の東京2020オリンピック・パラリンピックの反動減などにより、通年では減少した。
雑誌広告費は1,140億円(前年比93.1%)だった。
紙の出版物推定販売金額は前年比93.5%と減少した。内訳は書籍が同95.5%、雑誌が同90.9%となった。一方で、電子出版市場は同107.5%と引き続き成長し5,000億円を突破した。紙と電子出版を合わせた出版市場全体は同97.4%で、4年ぶりに前年を下回った。
業種別では、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や国・自治体の旅行等支援施策などにより「交通・レジャー」が増加した。一方で、雑誌広告費シェアの高い「化粧品・トイレタリー」は前年に続き減少した。
このほか、ラジオ広告費が1,129億円(前年比102.1%)、テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)が1兆8,019億円(前年比98.0%)、インターネット広告媒体費が2兆4,801億円(前年比115.0%)
また、同市場をけん引するインターネット広告費は3兆912億円(前年比114.3%)だった。
前年に続く社会のデジタル化を背景に、前年比114.3%の二桁成長となった。総広告費における「インターネット広告費」(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合算)の構成比は43.5%となり、2兆円超えの2019年よりわずか3年で約1兆円増加し、3兆円規模の市場となった。「インターネット広告媒体費」は2兆4,801億円(前年比115.0%)、特にコネクテッドTVの利用拡大を受け「テレビメディア関連動画広告費」は前年に続き350億円(同140.6%)と大きく増加した。「インターネット広告制作費」は、動画広告市場の拡大や運用型広告における広告制作数の増加などにより、4,203億円(同109.2%)と増加した。また、「物販系ECプラットフォーム広告費※」も引き続きの在宅需要の高まりに伴い、1,908億円(同117.0%)と増加した。
「ウェブ電通報」解説記事
https://dentsu-ho.com/articles/8492
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