【2017年7月26日】観光庁が発表した統計によると、2017年上半期(1~6月)に日本を訪問した外国人の数が1375万7300人となり、前年同期比で17.4%増の過去最多を更新した。
これだけの外国人観光客が訪れると、足りなくなるのは何といっても人手。
そんな観光地で頼もしい助っ人がお目見えすると聞いて、新しい物好きのプリント&プロモーションの記者は外国人観光客に超人気の「浅草」に飛んだ。
東武鉄道浅草駅に現れたのは、いかめしい赤備えの甲冑をまとった武将。
古式ゆかしい武者人形のように見えるが、内部には今話題のAIが組み込まれており、人間の言葉を認識して、声と手に持ったモニターで浅草近辺の観光や便利情報を案内してくれる。目のあたりがピカピカと赤色に光っているのがちょっとスターウォーズっぽくもある。
このサムライ、凸版印刷がサービスを提供し、東武鉄道の協力のもと行っている実証実験の主役。その名も「AI-SAMURAI」という。
なんと、3000個のキーワードを覚えており、それに従って、約300のセンテンスを交えて、さまざまな情報を武家言葉(っぽい感じ)の音声と、彼が手に持っているタッチパネル式のモニターで教えてくれるのだ。
もちろん英会話も堪能で、外国人観光客にも対応できる。
ちょっと話しかけてみる。
「ショッピングがしたい」
「ショッピングに行くなら、こちらはいかがかな?」
といった具合に、ちゃんと返事をしてくれる。
「浅草寺に行きたい」の質問には
「ここから南にある雷門通沿いにある、雷門と仲見世通りを抜けるといけるぞ」
とかなり丁寧に声に加えて、モニターで浅草寺の解説と地図を表示してくれる。
地図の右下にはQRコードが示されており、これをスマホのカメラなどで読み取れば、この説明や地図を受信できる。
そばで話をしていると、その声を拾ってこんなことも言ってくれる。
一連の流れの動画はこんな感じ
初日には午前10時から午後5時まで、「展示・体験イベント」行い、「AI-SAMURAI」との会話や記念撮影を多くの人が楽しんだ。
イベントでは、サービスを提供した凸版印刷の担当者がサムライに扮し、この「AI-SAMURAI」を解説。外国人観光客の記念撮影に引っ張りだことなり「AI-SAMURAI」と人気を二分するほどだった。
凸版印刷の担当者は「サムライという分かりやすい見た目で実証実験を行うことで、訪日外国人に利用してもらえると考えた。ユーザーとの会話は記録されるため、さらに必要な情報の追加や、的確な情報に作り替えるなど性能向上も可能」と今後の展望も含めて語ってくれた。
一方の東武鉄道の担当者は「ここ数年、当社路線でも外国人観光客の利用が増えている。特にスカイツリーは、訪日外国人観光客が利用者の約20%にまで達している。今後の本格採用などについては、まだ決まっていないが、今回の実験の結果を見ながら検討したい。当社路線には日光や川越など、外国人のお客様が訪れる駅が多いので活用の場所はあると考える」と期待を込める。
実証実験は初日のイベントを駅構内で行ったが、実際の設置場所は駅に併設の「ツーリストインフォメーション」の中となるので注意してほしい。実験の期間は8月24日(木)まで、
凸版印刷では今後、「AI-SAMURAIに8カ国語まで対応させたい」としており、かなり本格的な通訳兼コンシェルジュが誕生する予定だ。
観光庁は、上半期の訪日外国人の消費額が2兆456億円となり、初めて2兆円を突破したと発表している。
まったく莫大な額だが、2020年の東京五輪に向けて、ますますインバウンド市場は拡大が予測される。そこで日本の伝統とテクノロジーが融合したおもてなし「AI-SAMURAI」の活躍の場が増えそうだ。
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