【2017年8月9日】日本フォーム印刷工業連合会は8月8日、東京都中央区の日本印刷会館で、セミナー「知っておきたい!この知識」を開催し、100人以上が参加した。
それぞれのセミナーの概要は以下の通り。
日本ダイレクトメール協会(日本DM協会)椎名昌彦専務理事
「デジタルマーケティング時代のDMの活用」
現在、紙メディアの見直しが進んでおり、特にグーグルなどのデジタル企業で活用が進んでいる。
DMはリアルパワーがあり、情報量が多く、DMを送付するという1回のコミュニケーションで、対象が行動を起こすという数少ないメディアだ。
日本DM協会で行ったアンケート調査「DMメディアの実態調査2015」によるとDMのリーチ率は80%以上、行動喚起率は19%と非常に高い結果だった。
彼らは「ネットでの検索」や「その店へ行く」「家族との話題にした」など、DMからさまざまな行動を起こしている。
DMというと高齢者のメディアのようなイメージがあるが、実際に行動を起こしているのは20代という結果にも注目が集まった。彼らはデジタルネイティブ世代で紙のメディアであるDMに対して「もらうとうれしかった」「大人扱いされた気がする」と感じている。
広告主から顧客へのアプローチはデータを活用し「適切な顧客に」「適切な内容を」「適切なタイミングで」「適切なチャネルを通じて」行い、顧客との適切な対話コミュニケーションを実現する流れとなっている。
FRONTEO武田秀樹取締役CTO
「文章(テキストデータ)を解析するFRONTEOのビジネス活用事例」
当社は、文章を解析しその中から必要な言葉を抜き出し、判断を行う人工知能を備えた独自エンジン「KIBIT(キビット)」を備えたシステムなどを提供している。
私の専門は人工知能だが、近年の人工知能は、「次元削減」と呼ばれる大まかに絞り込む作業ができるようになり、大きく進化した。従来の人工知能は可能性を総当たりしていくものだった。
現在、ビッグデータが大きく取り上げられている、ビッグデータの解析に関しての課題は「干し草の中からちょっと変わった干し草を探す」という風に例えられる。これは非常に難しいことだが、人工知能の進化で可能になった。
当社のシステムには、社員のEメールの内容から不正が起こる兆候を見つけて、未然に事件や事故を防ぐというものや、有益な情報を検索し、経営や営業方針などを策定するといったものがある。
導入企業では情報を探す負荷が大きく軽減でき、その分を創造的な仕事に時間をかけられるようになった。
人工知能を最少したシステムは、目的を決めて導入し、人間が決断することが大事だ。
流通システム開発センターソリューションサービス本部
市原栄樹氏は「GS1コードの基礎知識と最新動向」
GS1は流通コードの管理や流通標準に関する国際機関。150カ国でサービスを行っており、全世界で2000人余りのスタッフがこのシステムをサポートしている。
コードなどが共通化・標準化されることで、作業の軽減だけでなく、オムニチャネルといった取引形態の多様化に対応できる、パッケージやラベルでは表示しきれない情報をスマートフォンなどで表示できるといった利点がある。
GS1に必要なことは「データの同期化」「データの品質管理」「GS1の商品分類」で、この3要素が統合すれば、安全かつ継続的な信頼できるデータを提供できる。
日本でGS1が普及しない理由として、3層構造の日本型流通があり、各階層の固有データが存在していること。
また、リーダー企業の不在もある。海外では市場占有率が高い企業がリードしているが、日本では小売業界の業界団体ですらまとまっていない。
さらに、マスターを軽視する環境があり、マスター作成のコスト負担を意識できない小売業の存在も普及を阻害している。
システムの活用はB2BからB2Cへ進んでいる。アマゾンやグーグルに働きかけており、効率化に有用として海外企業は認めている。日本では標準化に対する関心が低く、このままでは非効率が蔓延する。
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