【2017年3月30日】日本フォーム印刷工業連合会(フォーム工連)は3月28日、中央区新富の日本印刷会館で、国際委員会・市場調査委員会共催セミナー「広く世界を見てみよう!」を開催した。
このセミナーでは今年2月に行われた「Hunkeler innovation days 2017(HID2017)」と、この視察を行った「ツアー」の話題を中心に、世界の印刷に関する最新動向を、各講師が紹介した。
「HID2017」は、印刷後加工機メーカーHunkeler(フンケラー)の大規模プライベートショー。デジタル印刷機メーカーが、最新機や最新技術を提案する世界的なイベントとして注目を集め、期間中50カ国から約6000人が参加した。
今回は各講師の講演内容をレポートする。
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日本でもスマホ利用率が72%となり、「デジタルファースト」が当然になっている。5歳下の妹はWi-Fiのない時代を覚えていない。
印刷はデジタルなどにより新しい付加価値を示さなければならない。
さて、インクジェット印刷機の課題は「ハード高い」「コスト高い」「色濃度の不足」があげられる。「HID2017」ではこれらに関して、いくつかのアプローチがあった。
キヤノンは「ボンディングエージェント&インク」という方法を提案。前処理をすることでインクをのせやすくする方法で、品質は良くなる。ただし、乾燥装置は巨大で、前処理分のコストがかかる。
スクリーンは「ボンディングなしでトリートメント」という方法を選択。こちらは最も安価になるが、乾燥は巨大になる。品質は日本の要求レベルには達しないのではないか。
三菱製紙は専用紙を出品していた。この方法はオフ印刷と技術統合でき、インクが浸透しやすく乾燥装置が小さくて済む技術。だが、専用紙は高価でランニングコストは増大する。
IJ印刷機が中小規模の印刷会社にとって選択肢になりうるかは、本体とランニングコストが安価で、商業印刷品質があり、中程度の生産性があれば達成可能。さらに設置面積がより少ないものが選ばれるだろう。
「HID2017」では、ゼロックス「Trivor2400」やコダック「ULTRASTREAM」「PROSPER S」、HP「PageWide T235」、Domino「K630i」などが展示(一部サンプル展示)されていた。
全体にバランスのとれたソリューションが実現された印象で、商業印刷市場での導入はより容易になっている。
今回の「欧州印刷事情視察ツアー」では、イタリアの印刷会社2社を訪問した。
「CentoroStampaQuotidianiSpA」は、オフ輪が4ライン、さらにHP「T230 Color Inkjet Web Press」を設備している新聞印刷の会社。
部数の大小でオフセットとデジタルに仕事を振り分けている。
新聞印刷は夜間の仕事なので夜の視察となった。
同社では参加メンバーの名前を印刷した新聞を用意してくれ、中身もそれぞれ異なるバリアブル印刷だった。
工場は年間359日稼働しており、地元の日刊紙のほか、イタリア・コモ湖周辺の観光地用新聞も、ドイツやオランダの観光客向けに、シーズン限定で印刷している。日刊紙は5000~8万5000部と部数はまちまち。
デジタル印刷機の導入は2010年に打診があった。その頃は気が進まなかったが、印刷対応可能範囲の拡大のため、2013年に導入した。
デジタル印刷機の導入により、広告をパーソナル化でき、これにより広告出稿額が20万ユーロ増えた。
同社のダリオ・デ・シアンゼネラルマネージャーは「顧客とどういったコミュニケーションをとるかということが今の印刷会社のテーマ」と話す。
「CentoroStampaQuotidianiSpA」
http://www.csqspa.it/ITA/Home.asp
「RotolitoLombardia」は売り上げが2億ユーロで、イタリアで2番目、商業印刷ではトップの印刷会社。
HP「T360 Color Inkjet Web Press」と「T480」の2台を導入している。
今回、案内役だったアガブリエラ・モレッティ氏はHP出身。ベンダーと印刷会社の関係も変化していると感じた。
同社は紙メディアに対して非常なこだわりがあり、いかに存在感を出すかを考えている。
また、「紙は最高の訴求メディア」という意識を持っている。
近年の実例では、ネット通販の会社が紙メディアを活用し、デジタル印刷で、顧客ごとに異なるDMなどを提供している。
「印刷市場が縮小する中で、顧客をつなぎとめるにはネットなど異なるクリエイティブなソリューションが必要と考えている」という。
Rotolito Lombarda
http://www.rotolitolombarda.it/
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