【2015年9月24日】世界三大珍味のキャビア。原産国といえばロシア、それもカスピ海やアムール川など一部の地域で生息するチョウザメから取れた卵という印象があるだろう。このキャビアが日本でも取れることは意外に知られていない。
現在、岐阜や岡山、宮崎、青森など各地が競い合って養殖し、国産キャビアを作っている。もちろんこのキャビア、我々が食べることは可能だが、海外への輸出はこれまでワシントン条約により禁止されていた。
ワシントン条約は絶滅危惧種などを守る国際的な決まりごとだが、チョウザメも乱獲により絶滅が危惧され、すべてが同条約の対象となっていた。
しかし、水産庁と経済産業省が9月18日に「ワシントン条約決議に基づくキャビアの輸出制度開始のお知らせ」で輸出の解禁へ向けた動きを発表し、国内の製造関係者が沸き立っている。
解禁では日本国内の養殖業者や製造工場に「国際統一ラベリング制度」が導入される。
輸出には国への登録が必要で、生産・管理体制など、基準をクリアした業者だけが、商品を輸出可能になるという。
このときに必要なのが「再使用不可のラベル」。輸入品の容器を見るとわかるが、封かんのような形で、ふたと容器本体をつなぎ開封後は元に戻せないようになっている。
また、製品又はロットごとに、キャビアの種や出所、原産国、収穫年、包装または再包装年月日が特定などを記載し、これを説明できることも条件となっている。
ちなみに、キャビアのラベルや容器の色にはチョウザメの品種によってランクがあり、最高級のベルーガの水色から始まり、オシェトラが黄色、セブルガが赤色となっている。
品種によって大人になるまでの時間が違っており、比較的早いセブルガでも8~9年、ベルーガに至っては約20年もの歳月がかかるというから、キャビアが高いのも仕方がない。
日本で養殖されているのは「ベステル」と呼ばれるハイブリッド種。ほとんどの養殖業者が青系統のラベルを使用しているが、これが国際基準に合っているかはわからない。ただ、クセが少なく、美味というのは国産キャビアが得ている一般的な評価。養殖はヨーロッパをはじめ北米や中国でも行われえているが、安全な食品で世界的な地位を獲得している日本産は、今後、世界で需要が高まりそうだ。
輸出に関する問い合わせは水産庁増殖推進部漁場資源課生態系保全室(☎03-3502-8487)まで。
水産庁関連HP(キャビアの輸出・再輸出について):http://www.jfa.maff.go.jp/j/sigen/caviar.html
経済産業省関連HP(キャビアを輸出される方へ):http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/cites/caviar.html
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