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【レポート】「JIAM 2024 OSAKA」 テキスタイル・アパレルの展示会 デジタルプリンティング関連製品が多数

【2024年12月24日】「JIAM 2024 OSAKA」が11月27日~30日まで、大阪市のインテックス大阪で開催された。

JIAMは1984年、「国際アパレルマシンショー」としてスタートし、今回で第13回目となる。
プリンティング業界にはなじみの薄い、アパレルやテキスタイルに関する展示会だが、近年はインクジェットプリンタなどによるプリント技術が取り入れられており、多くの関連企業が資機材を展示している。
また、世界各国からバイヤーがこれらを買い付けに来ており、前回は4人に一人が特に中国をはじめとしたアジア、中東地域などから来場者だった。
今回は「JIAMから、つながる∼次世代技術と匠の技のコラボレーション 2024∼」をテーマに、10カ国・地域から約160社の出展があった。

 

レポート

ミマキエンジニアリングは、昨年の「ITMA2023」で初出品されたテキスタイル用の新システムをメインで紹介した。
「TRAPIS(トラピス)」は、3月に同社が発表した次世代の捺染プリントシステム。生地の前処理と洗浄工程が不要なため廃水浄化設備が不要であり、従来の捺染工程と比較し水の使用量を約90%削減できる。昇華転写方式とは異なり、綿にも対応している。プリンタは「TS330-1600」を使用している。

DTFでは最新型の「TxF300-1600」を展示。広幅の750mmで、フルサイズのDTFフィルムを使用した場合、従来機の最大約4倍量を生産できる。アパレル・テキスタイル分野でも近年はTシャツなど、グッズ事業への参入が多い。

昇華転写方式では、これも「ITMA2023」で公開された「Tiger600-1800TS」を出品。新たに採用した高速駆動のプリントヘッドと独自の画質技術により、最大印刷速度550㎡/hと、従来機比143%に向上している。従来機では転写紙を装置の後方に装着し、印字後に装置の前方にて巻き取りする構造だったが、同機では装置後方で巻き取りも行い、奥行サイズが約半分になった。
欧州では大手ファストファッションの製造工場でも採用されるなど、活用されている。

モンティアントニオの熱圧着装置「C03RP-1800」は、昇華転写紙を布に転写する際に使う。作業幅: 1,630㎜、真空密閉オイルバスを採用し、最高温度制限(230°C)で均一に熱と圧力をかけられる。

島精機製作所は、一枚裁ち自動裁断機各種をデモンストレーションした。
「P-CAM160」はスキャンカメラ生地の形を読み込み、歪みを見ながらカットできる。このため、カットの際のゆがみによるずれが少なく、正確な切り取りが可能。担当者は「以前はレーザーを照射し合わせていたが、スキャンすることによりより簡便で正確なカットを可能にした」と話す。
また同ブースでは小型の「P-CAM120C」も展示。こちらは、ニーズに合わせて裁断エリアを選択でき、布はもちろんシリコンやゴムなどもカット可能。

ハシマも積層式自動裁断機「KMC-718HD」を展示。同機もスキャナーでカラーを認識してカットでき、オペレーターは他の仕事を進められるという。

ブラザー工業は、同社のガーメントプリンタ「GTX-PRO」を使ったシステムを展示した。
「DTE(Direct To Embroidery)カメラシステム」は「GTX-PRO」にスキャナーを取り付け、白糸でプリントした刺繍の上からフルカラープリントができるというもの。
スキャナーが刺繍の凹凸を読み取り、事前にデザインしたデーターの通り、プリントする様子をデモンストレーションした。
この日も多くの来訪者が、同システムに集まり多くの質問が飛んでいた。
日本では、イメージ・マジックが代理店として販売を表明している。

また、同機を使ったDTF(Direct to film)も実演。DTFは綿だけでなくポリエステルや皮革、プラスチックなどさまざまな素材に転写できることから、Tシャツプリント、グッズプリント分野を中心に、爆発的な普及を見せている。
アパレル業界でも、この分野を取り込む動きがあり、少量の製品を中心にDTFが活用され始めているという。

担当者は「ポリエステルはもちろん、高級被服で採用されるキュプラにもプリントでき、非常に重宝されている。今後も普及は進み、グッズ業界との境界を越えた採用が続くだろう」と予測する。
同ブースを訪れるのは、7割くらい外国人とのことで、海外でも日本製DTFの需要が高い。

同じくDTFを出品したのはイメージ・マジック。「Trans Jet DTTS-602」は大型のDTFで、600㎜幅の転写シートにプリントでき、パウダーの塗布も自動でできる。
「DTFを導入した企業には多くの注文が来ており『さらに生産性を上げたい』という要望がある。これに応えるため2台目は高生産性を求める傾向が強い」と担当者。

同社では、DTFの転写を効率的に行えるオーバルのDTF圧着機や、UVレーザーマーキング機「IMLM-2020UV」なども展示していた。

アステムもDTF「ARTJET」シリーズの最新製品パウダーレスDTFシステムを参考出品した。
DTFシステムはプリンタとパウダーを振りかけるシェイカー、パウダーを定着させる乾燥部分に分かれていることが一般的。
一方、同システムはインクジェットシステムでパウダーを吹き付けることからシェイカー部分が不要となる。一方で、年生が高く固まりやすい接着剤をインクジェットヘッドから吹き付けることは、ノズづまりの原因となることから困難で、この部分の開発・研究がメーカーを悩ます。
前述のイメージ・マジックもパウダーレス機を現在開発しており、両者ともに来年には本格販売との声も聞こえ、開発競争が激化している。

上野山機工も韓国MANPROTEK社のDTF「DTX PRO」シリーズを出品していた。
中でも参考出品の「DTX STUDIO」は、日本では初展示となるもの。超小型にもかかわらず出力幅が600mmの2ヘッドで、生産性も基準に達しているという。
担当者は「本体がエレベーターに載せられるサイズであることから、これまで搬入の問題で導入を見送っていた事業所でも設置していただける」と自信を見せる。

同社はこのほか、折り畳み機関連ソリューションやヒートプレス機など、アパレルプリント周辺機器を展示して、一貫した生産ができるラインアップをアピールした。

システムグラフィは昇華転写プリンタ「TexStylus1600WS」を実演。こちらは武藤工業の改造機で、最大出力幅1615mmで、高速で転写紙へのプリントができる。
「TexStylus1900BS」は最大出力幅が1900㎜で、実用プリントスピードが45平米/hとさらに生産性が高い。
オリジナルのソフトウェア「PrinterStation」により、テキスタイル素材などのエッジまでプリントできることも特長だ。

 

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