【2018年5月30日】若者に人気の黒い稲妻「ブラックサンダー」。前編では当初販売不振から終売まで検討された同商品が、著名人のファンからのラブコールで、人気商品になっていくまでの話を聞いた。
後編では、パッケージの変遷や義理チョコショップ、コラボ商品について、前編に引き続き、同社マーケティング部の山﨑美沙主任に話を聞いた。
【この人に聞きたい!】 「ブラックサンダー」が人気 義理チョコ論争も話題に・前編
――商品が軌道に乗る中で、パッケージの変化もあったと聞きます。変遷を教えてください
初代「ブラックサンダー」は、パッケージがアルファベット表記でした。
初代と2代目の「ブラックサンダー」。子供向けだがロゴはアルファベット
「お子様向け」というコンセプトでつくったにも関わらず、アルファベットというのが…今考えるとお恥ずかしいのですが、売り場で商品名がそもそも読んでいただけなかったのではと思います。
当然「なんで売れないんだ?」という中で、その課題は出てきました。
そこで2003年、3代目パッケージにリニューアルしたところで、ロゴをカタカナに変更しました。
配色の「黒×金×赤」のイメージは今のパッケージと同じで「黒い雷神」のキャッチコピーも表記しています。
このときから「若い女性に大ヒット中!」というコピーも付け、身近に親近感、いつも近くにあるお菓子のイメージを決定づけました。
――確かに今のパッケージとそれほど変わらない「ブラックサンダー」のイメージになりましたね
この3代目パッケージが「ブラックサンダーだ」とよく言われます。
そして、このパッケージにしたあたりで、爆発的に売り上げが伸びて、会社を支える商品になったことも事実です。
それだけにパッケージ変更は、「一種のアンタッチャブルになっていた」という雰囲気もありました。
――4代目パッケージへのリニューアルの経緯は
一時期、大学生を中心に人気を集めた商品もブレイクから約10年がたちました。
今の若い方たちには、クールなイメージから一回りして、以前程の熱烈な支持を得られなくなってきたという事実があります。
やはり、現代に合わせて変えていくべきということで、今回のリニューアルとなりました。
――今回の4代目デザインへのリニューアルは勇気が必要だった?
勇気というほどではないのですが、爆発的に売れた時のパッケージを変えることへの多少の不安はありました。
リニューアルでは「ブラックサンダー」らしさをしっかり打ち出すことは忘れず、基本の「黒・金・赤」のカラーはキープしています。
その中で「ブラック」のロゴを白文字に変更、フォントも変えているのです。
商品の写真もロゴの下から、横に配置を変え、全体のデザインをすっきりと、そして力強くしています。
「ブラックサンダー」らしさがありながらも格好よくなっていると私たちは感じています。
中身も、カバーチョコを7.5%まで増量するなど配合を変更し、チョコレート感を強く打ち出しパワーアップしました。
――さて、貴社のことについて伺います。「ブラックサンダー」は約10年前にヒットした商品。それ以前の売れ筋は何だったのでしょう
当社はもともと相手先ブランドで商品を提供することが多く、OEM、相手先PB(プライベートブランド)商品を多く手掛けてきました。
どちらかというと自社ブランドの商品に対する比重は今ほど大きくなく、「ブラックサンダー」は自社の名前がしっかり出るNB(ナショナルブランド)として誕生しましたが、発売当初は売れ筋商品とは言えないものでした。
近年はNBの商品が増えてきており、当社の名前を知っていただく機会も増えたと感じます。
ですから、パッケージの管理も「ブランド統一」や「イメージやメッセージ性の訴求」をしっかり意識していきたいと感じています。
――「ブラックサンダー」のは派生製品も増えてきましたね。他社とのコラボも目立ちます
「ブラックサンダー」には現在、「ブラックサンダービター」や「ブラックサンダーゴールド」などの派生品があります。
また、ご当地商品では「東京ブラックサンダー」、北海道の「白いブラックサンダー」、工場のある豊橋近郊エリアでは、い「豊橋ブラックサンダーミニバー」などがあり、北海道土産の季節商品ではいちご味の「ピンクなブラックサンダー」や、「メロ~ンなブラックサンダー」といった商品も用意しています。
これまでの商品数は延べで約200種類、現在発売中のものは20種類です。※一部商品は現在販売終了
「ブラックサンダー」というとレジ前の1個売り、というイメージがありますが、「ファミリーパック」や「ポケットパック」といったサイズ違い製品も多く出しています。
コラボレーションではカルビーの協力のもと、「フルグラ®サンダー」も発売しています。
――お菓子メーカー同士のコラボレーションというのは、いい意味で「おきて破り」な商品ですね
お菓子メーカー同士でも、当社がチョコ菓子で、カルビーがスナック菓子やシリアルと、競合製品がほぼないので可能となったコラボです。
さまざまな派生商品、季節商品は、夏に売り上げが下がるチョコという商材を、継続的に平均して多くの方に食べていただきたいという思いから作っています。
――1月末からバレンタインデーまで行った東京駅の期間限定店舗でのイベントが金ぴかな店内や某大手チョコレートメーカーとの「義理チョコ論争」などで注目されましたね
「義理チョコショップ」の展開は、一昨年にも同様のイベントを行ったのですが、今回の方が大きな話題となりました。
売上的にも目標を達成しました。限定品などは毎日夕方に売り切れていました。
「もう少し商品を用意しておけばもっと売れたのに」という日もあり、惜しいことをしました(笑)。
義理チョコ論争に関しては、たまたまショップをオープンし、公式Twitterも持っていたことから、義理チョコについて大きな話題を呼ぶ中、「義理チョコ文化を応援する」というツイートをしました。
もちろん、「嫌だ」「苦痛に感じる」という方は無理に義理チョコを贈らなくてもいいと思っています。
とある広告が話題のようですね(‘-‘*)
よそはよそ、うちはうち。
みんなちがって、みんないい。
ということで有楽製菓は引き続き「日頃の感謝を伝えるきっかけ」として義理チョコ文化を応援いたします(‘-‘*) pic.twitter.com/hWi9fd5RJL— ブラックサンダーさん(有楽製菓公式) (@Black_Thunder_) February 1, 2018
話題になった公式Twitterの一言
でも「ブラックサンダー」なら、本命と思われず、価格的にも気兼ねなく渡せるものと確信して、日頃の感謝の気持ちを伝えるきっかけにぴったりということで、われわれは義理チョコを応援していきます。
ホワイトデーの義理のお返しも、ぜひ「ブラックサンダー」で(笑)。
――このイベントでは一日20本の限定チョコも販売したとか
「ブラックサンダー大」という商品を販売しましたが、数が少ないので、すべて手作りをしました。34日間の開催期間分を合計しても、680本なので、パッケージもグラビア印刷ではできず、オンデマンド印刷の袋を使いました。
正直言って、儲けは出ない赤字商品ですが、販促の一環として、販売したところ皆さんに喜んでいただき、毎日(限定20本が)あっという間に売り切れて行きました。
――今後の展開を教えてください
先程も申しましたが、チョコの売れるシーズンはクリスマスやバレンタイン、ホワイトデーなど、冬場に偏っているので、年間を通して楽しんでいただけるように、さまざまな仕掛けをしていきたいと考えています。
「ブラックサンダー」の取り扱いは、スーパーやドラッグストアでひろがりをみせており、販売先ごとにパッケージ戦略や、商品戦略を変えていくことも検討しています。
買っていただけるお客様には、「お菓子でのコミュニケーション」を味とともに楽しんでいただきたいと思っています。
【この人に聞きたい!】 「ブラックサンダー」が人気 義理チョコ論争も話題に・前編
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