【2018年3月29日】一度印刷してしまったら印刷物の内容は変えられない。そこが印刷の最大の弱点でもある。しかし、「作り方を変えれば使い勝手は変わり、印刷の価値も変わる」と吉田印刷所の吉田和久社長は呼びかける。
同社では「フレッシュプリントコンソーシアム」の理念を構築し、その運用を推進し利益を上げている。これは普通の印刷会社ではほぼ不可能な、クライアントの立場に立ったきめの細かいサービスだ。
また、粉薬の包装などで使われるグラシン紙へフルカラー印刷を行う技術も開発。付加価値印刷を追及し、この技術の活用も広がりをみせつつある。
今回は吉田和久社長に、これらのサービスや技術について話を聞いた。
「フレッシュプリントコンソーシアム」とは、印刷会社とクライアントが共にムダの最小化を図り、印刷物の最終利用者に喜ばれる仕組み作りを目指す印刷会社、関連企業・機関、クライアントの集まりです。
我々が印刷して納めていた印刷物が、どのように活用されているのかに疑問を感じていたからこそ生まれた、これまでの印刷の概念を根底からくつがえすまったく新しい仕組みです。
フレッシュプリントについて(吉田印刷所ホームページより)
印刷の最大の弱点は、一回印刷したら内容を変えられないことです。
このため、一定期間を過ぎたチラシやカタログなどに印刷されている情報は陳腐化し、実際に、印刷されたものの2~3割が捨てられているのです。特に季節商品などは、その時期が過ぎれば売られることがないため、これに付随した印刷物も捨てられてしまいます。
この恒常的なムダを変えるのが「フレッシュプリント」の取り組みです。
従来の商業印刷ではクライアントから依頼を受ければその数を言われた通りに刷っていました。
その理由は「一つの版で大量に印刷した方が、コストがかからないから」つまり安さを売りにしたということです。
しかし、フレッシュプリントでは、その注文を数回に分けて納品する提案をします。
例えば40,000部の発注を最低でも4回に分けて印刷し、納品するということをお勧めしています。
これにより、掲載される内容はその都度フレッシュになり、捨てられることのない鮮度の高い正しい情報をお届けできます。
重要なのは、ちゃんと印刷されているかどうかではなく、常に鮮度の高い情報が載ることにより、クライアントの商品がより多く購入され、売り上げが上がることです。
そういった機能と効果の価値を買ってもらうことが、フレッシュプリントの目標なのです。
全部刷ってしまっては、バージョンの更新は不可能です。しかし、数回に分ければ次からはバージョンを変えた印刷が可能となります。それも、前のバージョンからしっかりとフィードバックを行い、これを生かしてより良い内容や表現に変えていくことも当社の仕事だと思っています。
印刷業としては確かに手間のかかることですが、あくまで顧客本位の生産体制を実現するために、速乾印刷を進め、印刷機のメンテナンスやダウンタイムの低減を推進しています。
今日、印刷業は明らかに衰退の危機にあり、変革の時期に差し掛かっています。しかし、作り方を変えれば、使い方が変わるのです。
さらに作り方はもちろん、ものの見方を変え、印刷業者の立場でなく、顧客の気持ちになって仕事をすることで、業界全体を変えていきたいという思いがあります。
これまで印刷業者は「1回の注文をできるだけ多くとり、同じ版で多くの印刷をする」ということを目標のようにしていましたが、これでは顧客本位とは言えません。
その結果、どうせ捨てられてしまう印刷ならば、安いのが一番と思われてしまうのではないでしょうか。
フレッシュプリントを推し進めればこれらこの考え方が転換し、印刷はこれまでとは異なる利便性の高い媒体としてよみがえると思うのです。
実際に当社では、フレッシュプリントを推進し、単に安価だけを求める印刷を減らしたことで、収益が大幅にアップしています。
「グラシン」や「tカラペ」など極薄紙へオフセット印刷できる「SUPER LIGHT PRINT(スーパーライトプリント)」は、7年以上の期間をかけて開発したもので、当社の独自技術により生み出される、表現力豊かなフルカラー印刷を実現しています。
この、フルカラーで印刷された極薄紙は高級感があり、果物やお菓子を包む際に、価値をより高める効果があります。
商品や店舗ロゴをちりばめるタイプが多い反面、写真画質の印刷を施すといったケースもあり、さまざまな表現が可能です。
製版はFMスクリーンを採用しており、網点が目立たないことも特長です。当然、品質には自信があり、目の肥えたデザイナーや包装資材業者の方にも納得して採用いただいています。
フレッシュプリントの理念を生かし、500~1000枚という少量から製作できます。大量発注だとお客様は置き場所や管理に困る、その結果情報鮮度が下がり、「使わずに捨ててしまう」などということが起きますが、当社では総ての印刷物にムダが生じないようケース・バイ・ケースの対応を常に心がけています。
既製品の商品ラインアップは、プロセスカラー印刷を施した24色の「カラーグラシンペーパー」や、柄が入った「色柄薄紙」などがあり、グラシン素材のWebショップ「そ・か・な」でも販売しています。
もちろん、オリジナル品がメインなので、採用事例が確実に増えており、パッケージや包装紙はもちろん、DM、文具などにも使われています。
なんと、海外にいるデザイナーさんから、ニューヨークのジュエリー店で使用するので、指名買いをいただいたケースもあります。
グラシンのカラーペーパーというと当社にしかないそうで、検索などからたどり着く方も多いです。
新潟県の五泉市にいながら、世界とビジネスができる仕組みを構築したいというのは、かねてから思っていたことで、そのためにも、他には類のない印刷の優位性を確立したいと願っています。
今後も、使う方がどんな思いを持っているのか、その起点を調べながら印刷物を作っていきたいと考えています。
いつも楽なところにはチャンスはないと肝に銘じ、他の印刷会社がやりたがらない仕事やあえて厄介な注文をいただきたいと思っています。
当社は働き方改革も既に実行済みで、計画生産により、完全週休二日制と残業ゼロを実現。これでしっかりと収益の上げられる会社を目指しています。
安さを追求せず、価値を認めて買ってもらえる印刷会社として、さらに新しいビジネス軸を確立し、ここでしかできないものを作っていこうと思っています。
吉田印刷所
新潟県五泉市今泉947-1
☎0250-43-6144
https://www.ddc.co.jp/
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