【2025年6月12日】「デジタルサイネージ ジャパン(DSJ)2025」が6月11日、千葉市の幕張メッセで開幕した。主催はデジタルサイネージ ジャパン 実行委員会。開催は13日(金)まで。
「デジタルサイネージ ジャパン」は、街中のメディアとして多様な役割を果たす「デジタルサイネージ」の製品や技術、コンテンツ、サービスなどを集積したイベント。今回は、国際展示場ホール4~8を会場に、最新の表示機器、映像配信技術、AI連携型サイネージソリューションなどを一堂に展示。会場内では、関連分野の有識者や実務者によるセミナーや講演も行われ、業界の最新トレンドや導入事例に触れられる構成となっている。
併催イベントとして「Interop Tokyo」や「ロケーションビジネス ジャパン」なども同時開催されており、会場全体でデジタル社会における情報発信インフラの最前線を紹介する。
プリント&プロモーションでは、同展示会の各ブースをレポートする。
LED TOKYOは、特徴的な大型ビジョンとイベントで会場を盛り上げた。
「Immersive LED VISION」は、正面のスクリーンに加え左右の壁と天井、床にLEDモニターを配置したもので、視聴者は映像の中に入り込んだような没入感のある映像体験ができる。
また、巨大画面でベゼルなしのスクリーンは450インチで4K映像の放映が可能。この日はユーチューバーをゲストに「モンスターハンターワイルズ」をプレイし、その様子に多くの来場者が集まった。ゲームのプレイにより、大画面でも遅延のない表示が可能なことをアピールしていた。
LEDディスプレイは非常に多くが展示され、一時期出品が均衡していた液晶ディスプレイに差をつけて出した印象だ。これはモジュールの組み合わせで自由な大きさと形にでき、薄く、屋外での対候性も非常に高いLEDが、自由度が少なく大きさも限定されている液晶ディスプレイに対して、採用が増えていることからと思われる。輝度や解像度も大幅に上がり、この点でも液晶とそれほど差がなくなったことも、追い風になっている。
ShenzhenScienceOptoelectoronic(Scenico、シニコ)は、巻き取り可能なLEDディスプレイを展示。プロジェクターの代替となり、場所を取らず大型の高精細な映像を提供できるという。
同ブースでは、床一面にもLEDディスプレイを展示しており、こちらはタッチセンサーが付属しており、来場者の動きで映像が変化する。
X-NEXTは、異形のLEDでブース全体を装飾している。この展示会ではベゼルレスLEDは当たり前で、透過型や巻き取り、折り畳みなどの可動タイプが人気となっている。
MUXWAVEは、薄型のLEDディスプレイを多数展示。ブース正面のディスプレイは、厚さ2㎜程度のLEDボードの後ろにガラスを張り合わせたもので、輝度が1500カンデラ(ピッチ2.5㎜)と高いため、映像非表示の場合は透過し、放映の際は高精細にビジュアルを表現できる。
また、同ブースに設置されたタテ4mの大型ディスプレイは、4000カンデラ(ピッチ3.9㎜)で、こちらも透過しながら映像をしっかりと表現していた。
担当者は「LEDの輝度は確実に上がっており、数年前のものとは比べ物にならないほど美しい」と技術の進歩を強調する。
DESAYはスモールLEDディスプレイを展示。LEDでもスモールタイプはピッチが2.0㎜以下と細かく、遠目には液晶ディスプレイとの区別がつかないほどになっている。
オールも0.9mmピッチの透過型屋外用LEDディスプレイを出品。中長期でのレンタルプランなどを提示していた。
いずれも映像はみずみずしく、LEDディスプレイがデジタルサイネージの覇権を握ったのもうなづける品質だ。
伯東(Hkuto)はLEDディスプレイなどを扱う代理店。
台湾のInnolux(イノラックス)社製ディスプレイは、5分割しが可能な可動型。動かしながら放映も可能で、稼働させてのデモンストレーションには多くの来場者が集まった。0.8mmピッチと非常に映像解像度が高く、厚さも可動部を除けば約2mmに収まる。「メーカーは、インテリアを格納するイメージで開発したというが、可動するところに魅力があるようだ」と話す。
価格は4000万円だが手動にするなどで、多少安価にできるという。
Innoluxは、吊り下げ式の軽量LEDが得意で、この製品はそこから派生したものという。
ONUMENは、3x5mの折りたたみ式LEDディスプレイをブース正面に展開。映像を表示しながらの迫力のある折り畳みに注目が集まった。
すでに日本でもコンサートやスポーツ競技場などでの採用があり、設置された場所では非常に好評という。
FASTECXは「フレキシブルLED」を使ったデジタルバリケードを展示。「フレキシブルLED」は300x60mmのモジュールをつなぎ合わせたもので、ベルトパーテーションのベルト部分に表示機能を持たせられるという。
羽田空港のエスカレーターで実績があり、鉄道会社からターミナルへの誘導路80mにわたって使用されたという。その際は「歩かないで」「スーツケースてを離さないで」などの警告表示を行った。すべて自社で商品を開発しており、「フレキシブルLED」を使ったベストなども販売している。
デジタルサイネージは、今年も「3Dホログラムボックス」を出品している。
同製品は昨年「透明看板」の名称で展示されたもので、薄型だがショーケース内に立体のように人や物が見えるサイネージ。スマートフォンで撮影した動画でも、このディスプレイで表示すると立体でくように見える。タッチパネルに対応し、サイズは大型のものが75インチと86インチ、小型は約30インチを用意している。今回もデモではダンスを踊る女性や自動車の映像を放映した。
価格はもっとも大きいもので1台100万円程度(工事費別)。
担当者は「商業施設やナイトレジャー産業、遊戯施設などで採用されている。導入方法は買取とレンタルから選べる」と話す。
EKAAは「EK-PRINTカラー電子ペーパー」を紹介している。
電子ペーパーは、表示内容を変更する際以外は電力を使わないため、省エネルギーでフルカラー表示できる装置。ポスターやPOP、棚札のほか、ネームプレートなどを展示しており、活用が進むという。
液晶ディスプレイでは円形や正方形の製品を展示しており、2Kでの表示が可能という。バス停用のサイネージは、時刻表と広告の同時放映や切換え放映に対応。このほか工事看板など屋外向けのサイネージを多く展示している。
Eink Japanは、75インチの大型電子ペーパーのポスターをデモンストレーションしている。同製品は電子ペーパーでも動画の動きに対応し、なめらかな表現で、画面を変化させられる。4色掛け合わせで、6万4000色を再現可能。
同ブースに展示された小型の電子ペーパー「D-Poster」は3万2000色に対応している。
「大きいサイズは、ドイツやフランスなど欧州での採用がある。液晶ディスプレイなどのデジタルサイネージは、エコなどの観点から、午後8時以降放映できない法律などができており、電子ペーパーへの移行の後押しになっている」と担当者。
価格は1インチ1万円程度まで下がっている。
ダイナスキャン(台湾)の「ハイブライトネスLCDソリューション」は、最大3,500カンデラの輝度があり、ポスターと見紛うような表現力がある。
なお、同展示会およびセミナーはオンライン事前登録により無料で参加可能。また、Interop Tokyoカンファレンスは有料登録制で、国際会議場1階を会場に開催される。
入場・参加登録や詳細情報は公式サイトにて案内されている。
デジタルサイネージ ジャパン(DSJ)2025
https://www.dsignage-expo.jp
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