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「シリーズ デジタルプリント」第10回 キヤノン② 商業印刷分野へ注力開始

【2017年12月11日】新たなデジタル印刷の潮流を探る「シリーズ デジタルプリント」。
10回目の今回は、キヤノングループで商業印刷用デジタルプリンタを取り扱うキヤノンプロダクションブリンティングシステムズ(キヤノンPPS)。
キヤノングループは今年4月、東京都大田区下丸子の同社本社内に「カスタマーエクスペリエンスセンター東京(CEC Tokyo)」をオープン。本格的に商業印刷用デジタルプリンタの販売にさらに力を入れ始めた。

「シリーズ デジタルプリント」第10回 キヤノン① 商業印刷分野へ注力開始に引き続き、キヤノンPPSマーケティング本部の松藤勝弘本部長に話を聞いた。

 

「CEC Tokyo」の開設 ユーザーの意識は?

――印刷会社の導入への意欲は
お客様の、デジタル印刷ビジネスに対する反応は、非常に顕著に変わってきていると感じます。
「drupa2016」以降、当社だけでなく、他社も多くのデジタル印刷製品や関連機器を市場に投入しています。その技術水準の向上からデジタル印刷機に対する導入の本気度が高まり、印刷機器導入のシナリオにデジタル印刷機も検討設備に当たり前のように入るようになりました。

特に、これまでデジタルの話が出なかった印刷会社、また印刷業に付帯する関連業種のお客様からもお話をいただける状況となりました。

――4月には「CEC Tokyo」の開設がありました
キヤノン本社に、お客様とお話しできる場ができました。
また、それにともないご相談を受ける機会も増えてきたのは間違いありません。
サンプル作成や、用紙とインクの検証を依頼される機会も増えており、その点でもデジタル印刷機へ強い要望をいただいていると感じます。

CEC Tokyoにお客様にご来場いただきお話をした際、「今まで、当社商材が認知されていなかった」と、アピール不足を反省することも多いです。


オープニングセレモニーでは御手洗冨士夫会長もあいさつした

今後も、CEC Tokyoでイベントを開催したり、個別のご招待機会を設けるなど最大限に活用して、当社製品やサービスに関する理解を深めていただきたいと考えています。

――施設はデモンストレーション以外にどのような役割がありますか
製品の展示、デモンストレーションはもちろん、データやメディア持ち込みのサンプル作成やトレーニング、セミナーまで行えます。
いままで展示会でしかご覧頂くことができなかった製品も常設展示しています。

キヤノン CEC TOKYO

また、CEC Tokyoの展示機器には、展示会では、お目にかけることのできなかった製品も展示されていますので、アピール度はこれまでとは比べ物にならないと思います。

 

オフとの連携も提案

――デジタル印刷の印刷提案はどのような形で行っていますか
デジタル印刷機そのものだけでなく、印刷前の受注から仕分け、プリプレス、そして、印刷後の後加工まで、ワークフローを一気通貫で支援していければいいと考えています。特に、印刷会社が目指す、スマートファクトリー化を推進する、IT技術、ソフト各種を交えて、オートメーション(自動化)による効率化という部分もキヤノンが支援していけると思っています。

また、受注した時点でどの印刷機で刷るのか、その後の後加工方法までを、効率よく工務設計し、目視で行っていた検査工程も、システム化して、在庫管理・配送管理までカバーできるシステムを提供できれば、デジタル印刷機にする意味があると感じます。

――キヤノン製品で全部固められるということですか
いえ、キヤノン製品だけではなく、ユーザーが使いやすい環境を提供するということです。

他社の製品が入っても大丈夫なオープンワークフローを構築し、そこで他社製品とともに当社製品も活用いただければということです。
少量の印刷は当社のデジタル印刷機、大量印刷はオフセット印刷機といった形で使い分けしていただき、また増刷の場合はデジタル印刷機など、需要曲線に合わせて印刷を最適化する使い方も可能だと思います。

――印刷会社はデジタルとアナログを入れ替えで導入されるようなイメージですか
オフセット印刷から、完全にデジタル印刷機に切り替えるというユーザーはさすがにいないです。
「今後10年を見据えて、オフセットへの投資をせず、デジタルに投資していこう」という意志を持って、予算を組まれる会社は増えていると思います。

――欧米ではデジタル印刷機の導入が進んでいるイメージがありますが、なぜでしょうか
マーケティングに注力しバリアブル印刷に対する需要が確実にあるからではないでしょうか。

米国は国土が広くダイレクトメール(DM)が盛んで、その使われ方も進んでいます。顧客の趣味嗜好によってそれぞれDMの内容を変更して印刷するという需要が大量にあるのです。現金よりクレジットカードを使う機会も多く、カード会社が顧客データを持っているため、それに合わせて可変印刷をするのです。

DMと言ってもハガキではなく封筒で来る豪華なカタログなどもあり、そういったニーズでデジタル印刷が使われています。
トランザクション自体のボリュームが多く、デジタル印刷機の活躍の場が多いのです。

――今後の展望や抱負をお願いします
デジタル印刷機を普及させるのにマジックはないと感じています。
我々としては「drupa2016」で示された「Print4.0」のように、受注から仕分け、プリント、後加工、出荷に加え、メンテナンスまでも自動化し、ユーザーのトータルコストを安価にできるようなシステムを提供できればと思っています。

「体験型施設“CEC Tokyo”」ができたことで、デジタル印刷の活用メリットを広める準備ができました。
ぜひ当社にお問い合わせください。

おわり

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