【2017年8月7日】新たなデジタルプリントの潮流を探るこのシリーズ。
9回目は、富士ゼロックス。
デジタル印刷戦略をとりまく環境は「スマートファクトリー化」し、一部は「これまで印刷なんて難しくて素人にはできない」と思われていた所でも活用が始まった、と前編で話してくれた同社の杉田晴紀部長(グラフィックコミュニケーションサービス事業本部GCフロンティア部)。
後編では、変化していくデジタル印刷機市場やユーザー、自社の今後について話を聞いた。
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――デジタル印刷に対するユーザーの意識は変わりましたか
かなり変わりましたね。 以前から業態変革の動きは活発で、「印刷製造業からマーケティングプロバイダーへ」みたいな方向性は業界全体として出されていましたが、実際、世の中が否応なしに変革して中、「ビジネスモデルや全体システムから入るのは当たり前」という機運はひしひしと感じます。若手経営者層といろいろお付き合いさせて頂いていますが、自分が世界に飛んで行って、IoTでもMAでも見て、考える、議論するといったノリです。
モノだけ作ればいいというメーカーは、うかうかしていると置いて行かれますね。
「お客様価値創造センター」では機器の展示はもちろんセミナーやディスカッションなども行う
――かなり導入企業が増えてきたデジタル印刷機ですが、導入時のポイントなどは
導入されているお客様は、印刷機を入れて「それを単体で動かす」「デバイスとしてのプリンタを導入する」という感覚ではなくなってきています。
プリプレスから印刷、後加工までトータルで考えて、その中に印刷が存在するという形ではないでしょうか。むしろ、前処理と後加工に合わせた印刷機というイメージで選ばれています。その為にはお客様のワークフロー環境ときちんと連携できる仕組みは必須です。
また、デジタル印刷機は、多品種小ロット対応がメインですので、「使い勝手のよさ」が必要です。どの業界でもそうですが、人材確保が難しく、採用しても定着が難しい状況はこれからも変わらないと思います。印刷業界も例外ではなく、熟練工がリタイアされる中、技術やノウハウの伝承に苦労されているという深刻な状況があります。デジタル印刷機は、機械の故障や部品の摩耗などを、さまざまな技術を活用し予兆診断までできたり、熟練工でなくても活用できる仕組みの充実がますます求められています。
――導入後、どのような活用のされ方をしていますか。または、していくとおもいますか
印刷会社以外の方がデジタル印刷機を回して、自分たちに適した印刷物をつくってしまうということも増えていくと思います。たとえばSNSからフォトブックを自動生成できるパートナー企業のサービスと連携して、日本一高いところで個人のFacebookから発行する「富士山新聞」ができました。 また壱岐で開催したウルトラマラソンでは、上位入賞者へのサービスとして自分の写真入りの号外新聞をその場で制作しプレゼントしたということもあります。
DM市場でも様々な変化があります。マーケティングオートメーション(MA)市場は今後飛躍的に拡大してゆくと思いますが、それは同時に多種多様な顧客セグメントとその人にとって最適なコンテンツの組み合わせが飛躍的に増大することでもあります。当然、MAと自動的に連動してDMをサクサク印刷し加工し、発行するまでの自動化ワークローの仕組みが求められております。
また、ある自治体では「ふるさと納税」で、納税してくれた人に再度購買を促すために、地元の高校の写真部が撮ったモノクロ写真をフォトブックにし感謝状、クーポン券とともに入れています。自治体が弊社と組んでDMを出すなんて時代でもあります。
当社には全国に31の販売会社が地域の企業として存在しており、地域のロータリークラブなどの活動等を通じて地方創生のお役立ちを進めています。
――さまざまなプレイヤーが参入している印刷業界ですが、貴社は何をしていきますか
当社の最大の財産は、これまでのデジタル印刷ビジネスを通じて築いてきたお客様そのものです。変化の激しいこの時代の勝ち組であり続けるためには、次のグラフィックコミュニケーションのビジネスモデルをお客様といっしょに創ってゆくプロセスや場をさらに強化していく事だと思っています。
先ほどの話に戻りますが「スケール型」と「スコープ型」の印刷ビジネスの形であったり、上流から下流までの「スマイルバリューチェーン」型のワークフローであったり、テーマはこれからもいろいろ出てきています。製・販・お客様・パートナー企業一体となって実証し、日本に留まらず世界に展開していくことを目指します。
さらには、グローバルレベルでお客様同士がアライアンスを組んで、新しいビジネスモデルを作っていただけるような場も提供したいと思っています。
これらの変革をお客様といっしょに創ってゆく場としてお客様価値創造センターも更なる展開を図ってゆきます。今後ともご期待ください!
富士ゼロックスプロダクトパブリッシング
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