【2019年2月1日】ニベア花王では2018年、「ニベアクリーム」の日本発売50周年に合わせてさまざまな施策を展開していた。
その中でも定番となっているニベアのパッケージ(缶)の一部に新たなデザインを加えた商品が話題を呼んだ。
人気を集めた「さくらももこさんイラストの限定デザイン品」や、包装関連で注目を集めた「四季デザイン」などを展開していた。特に「四季デザイン」は缶にシールを貼ってデザインを表現しており、そのプリント方法もこれまでにないものだった。
今回はこの商品について、ニベア花王ビジネスユニット1の雨宮綾子ブランドマネージャーと、同商品企画グループの大内直人氏に話を聞いた。
――ニベアクリームの日本発売50周年では、どのような施策をしていますか
雨宮 2018年でニベアクリームが日本で発売されて50周年となり、2018年2月から50周年ロゴのデザイン品を発売しました。同年9月に発売されたのが、さくらももこさんのイラストがついた限定品でした。また、ニベアクリームの思い出をお客様から募集し、それをさくらももこさんが絵本にするというキャンペーンも実施いたしました。
――さて、今回は50周年ですが、普段のキャンペーンはどのようなスケジュールでおこなっていますか
雨宮 やはり、使用が増える冬がメインです。50周年記念も2月に「ロゴ入り」の商品を投入して、その後は9月にさくらももこさんのデザイン、そして10月から「四季デザイン」の商品を販売しました。
2017年までは、お客様自身でカスタマイズしていただけるデコレーションシール付きの企画品を販売しました。今回は50周年記念ということもあり、別の形で楽しんでいただく展開をしたのが「四季デザイン」です
――「四季デザイン」は特殊な加工法でしたね
大内 「50周年ロゴ」「さくらももこさんデザイン」ともに缶への直接印刷でしたが、「四季デザイン」は、シールを採用しました。
――これはどうしてですか
大内 四季デザインは限定品の中でも数が少ないことからシールを選択しました。また、プリントの方法も、マスターマインドさんの水性大判インクジェットプリンタ(IJP)「MR-010」を採用しました。
――このような大量品の場合、大判IJPでプリントすることは珍しいですね。採用の決め手は
大内 品質に優れたデジタル印刷と水性インクであった事が採用の決め手となりました。デジタル印刷は製版不要であり、また、水性インクはこれまでとは違った形での環境面での優位性があり、それらに魅力を感じました。
環境面の配慮は、花王グループの目標とするところでもあり、採用の後押しとなりました。
――コストは普通のパッケージより費用がかかったのでは
大内 コストは単純に比較できない面があります。デジタル印刷は、製版の必要がない為、修正もコンピュータ上で容易に可能となり、製作時間の短縮に貢献してくれました。製版の場合、修正時に版を作り直す事もありますが、それがなかった事はことも非常に大きかったです。一般的なパッケージに比べればいくらかコストは上がっていますが、デジタルプリント+水性インクという新しいチャレンジをすることで、単純にコストでは測れないメリットもあったと感じています。
――印刷の確認や色合わせなどはスムーズでしたか
大内 印刷には気を遣いました。目標とする色がちゃんと出ているか、カスレやトビがないか。さらには市場に出てから色があせないかなどを検証しました。
特に難しかったのは「ニベアブルー」と呼んでいる缶の色とシールでのニベアブルーとの色合わせです。シールと缶の境目になる部分に関して、このブルーを違和感なく合わせることに注意しました。
色合わせを繰り返しながら、最終的には貼り付けたことが分からないほどの仕上がりになったと思います。
――シールを貼りつける作業はどのように行いましたか
大内 アセンブリをお願いしていたフジシールさんで手作業によって貼り付けて頂きました。
シールは下の部分が丸く、これを缶に合わせることが大変難しく、シールが、ロゴ文字にかかったり、缶表面からのはみ出しがないように、貼り付ける際にご苦労頂きました。特に一つの柄は水平線を表現していた為、ロゴ文字と水平線とが平行になるように、貼り付けに注意を払って頂きました。
――商品発売までのスケジュールは
大内 プロジェクト開始は2018年3月、仕様決定が6月で、9月に発売したので半年ちょっとかかりました。
――IJPを使用すれば、今後さらに多くのデザインの展開ができるのではないですか
雨宮 多種のパッケージを作ることはできますが、通常のニベアクリームのデザインをしっかり認知していただきたいので、多種になりすぎないようにしています。
――マーケティングとしては、どのような効果がありましたか
雨宮 数種のデザインを提案することにより、好みのデザインを選ぶ楽しさを提供できたのではないかと考えています。
――今後の展開を
大内 デジタルプリントと水性インクの採用により、パッケージ作製の選択肢が広がったと感じています。
それらを上手に活用し、高い品質とブランドをしっかりアピールできるパッケージを選択していきたいです。
雨宮 私も新しい試みで、パッケージやマーケティングの展開が広がったと感じました。最近は新商品がSNSで話題になることが多いので、デジタルプリントでできるメリットを考えながらお客様に楽しい提案をできればと考えております。
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