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省人化の波! イメージ・マジックの岐阜拠点がブラザーの「DL2400」を導入 6人分の仕事を1人で

【2023年6月21日】イメージ・マジックはこのほど、岐阜県多治見市の「岐阜プリントセンター(GPC)」に、ブラザー工業のTシャツ製造システム「DIGITAL LINE(デジタルライン)DL2400」を導入し、製造の自動化をさらに進めた。

また、同拠点に設置されている機材のほとんどを、イメージ・マジックで外販と導入支援を行うとしており、同社を核にした業界内の自動化が広まりそうだ。

 

省人化進む工場

GPCは、2021年に開設した同社最大のTシャツプリントの製造拠点で、関東以外では初の工場。オープン時点には、ブラザー工業のガーメントプリンタ「GTX」50台を導入した。
また、ブラザー工業監修の「DIGITAL LINE DL2200 」を国内で初導入し、稼働を続けている。

同システムは、ガーメントプリントの「前処理」と「後処理」を省力化するもので、Tシャツをプラテン(台)に装着すれば、自動で前処理剤が塗布される。「後加工部分」では、プリント後のTシャツを熱処理し、デザインを定着させる。
プリンタ部分はブラザー工業のハイエンドガーメントプリンタ「GTX600」を2台連結し、生産性を高めている。

今回導入した「DL2400」は、「GTX600」を4台連結しており、生産性を高めたバージョン。連結された4台のプリンタのうち、空いているプリンタへ自動で搬送しプリントする。さらに、搬送部分を周回させることで、Tシャツのセッティングから、回収までを最少1人のオペレーターで行えるようにしている。

従来の「GTX」を使ったラインでは、5、6人が行っていた作業を6分の1程度まで省人化できるようになった。

 


従来の「GTX」を使ったライン。こちらでは最大6人ほどのオペレーターが必要

最大生産量は「DL2400」で1時間約150枚、「DL2200」で約70枚。
この自動プリントラインでは1枚ずつ異なるデザイン1つのジョブで加工可能。個別のデザインをローカルサーバーにバッジ処理して置いておくことから、システムを止めることなく、すべてシームレスにプリントしている。

システムは、1枚からの少量を間断なくプリントでき、仕分けし、または同一のクライアントにまとめて発送するという同社のビジネスモデルを実現するものとなっている。

同拠点には、「自動折りたたみ機」4ライン(自社製2、中国製2)、「Z型自動仕分け機」、ODPSシリーズの「名寄せDAS」を設置し、出荷までの作業を省力化している。

このほか、第2工場では、DTF(Direct To Film)プリンタ6台が並び、こちらもTシャツなどのテキスタイルプリントに活用されている。
また、キャラクターがデザインされたシートを販売しユーザーがアイロンなどで好きな場所に入るけられる「キャラぴた」事業の拠点としても活用されている。この「キャラぴた」では6月に第1弾の提供が発表され「サンリオ」のキャラクターを比較的自由にデザインとして利用できることから話題を呼んでいる。

また、DTF用のカッティングマシンの導入も予定しており、現在の手切りで行うフィルムのカットを自動化する。

イメージ・マジックの山川誠社長は「プリントから折り畳み、折り畳みから仕分け、この間の部分もすべて自動化し、極少の人員での稼働を目指す」と話す。

 

イメージ・マジックが機器を外販

同社では、設置された機器の外販も積極的に行っている。DTFなどは、すでに100台以上を販売しており、ガーメントププリントの勢力図を書き換えつつある。

「DIGITAL LINE」は現在、日本では同社が唯一の採用事例で、米国でも1社の採用がある。
今後はエンジン部分をブラザーが提供し、イメージ・マジックが販売するケースもあるとしており、他社への納入も視野に入れる。


山川社長とブラザー販売安井宏一社長(6月19日の記者発表時)

山川社長は「今月、イタリア・ミラノで行われたITMA2023でも自動化省人化の機械が多く展示されていた。プリントだけでなく、縫製なども自動化が進み、また1工程を減らす装置ための一体型の装置が多数見られた。これに合わせたデジタルラインの必要性が出てきているる。当社では無人化とまでは言えないが、ハードからハードへのつなぎ部分も含めて、できるだけ省人化していき、これを業界内に広めたい」と展望を述べた。

 

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