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【レポート】「オーダーグッズビジネスショー2022」 「DTF(Data to film)システム」の展示多数 アイテムプリント業界の転換点に

【2022年9月29日】「オーダーグッズビジネスショー2022(OGBS2022)」が9月28日、東京都豊島区のサンシャインシティ 展示ホールD(文化会館2F)で開幕した。
開催は今日9月29日まで。

同イベントは1981年から開催されている展示会。当時は「印章フェア」という名称で始まり、2009年には「ウエアプリントフェア」を同時開催し、Tシャツプリントや刺繍ビジネスも展示範囲となった。2013年からは展示会名称を「オーダーグッズビジネスショー」に統一している。
今回は、66社・団体・個人が参加している。

今年は「DTF(Data to film)」のシステムが数多く出品され、会場は「DTF祭り」の様相を呈した。DTFはプリンタとパウダーシェイカー、ヒーターで構成されるシステム。昇華転写方式のように転写する際に絵柄以外の部分を切り抜く必要がなく、作業時間を大幅に短縮できる。アパレルやバッグなどのプリントで採用が進んでおり、今回はこの市場へ参入する企業が一気に増えた。
プリント&プロモーションでは、DTFをはじめとしたデジタルプリント関連製品やサービスを中心に、同展示会をレポートする。

 

会場レポート

ミマキエンジニアリングは、「UJF‐6042MkⅡe」をメイン展示した。
「UJF‐6042MkⅡe」はフラットベッドタイプの小型UVプリンタ。主にキーホルダーやボールペンなどオーダーグッズへの出力で力を発揮する。
同社にはユーザーであるグッズ制作の2社がサポート出展しており、同プリンタで作成されたさまざまなアイテムをわかりやすく紹介している。
このほか、コーティングマシン「DCF-605PU」も展示している。

またミマキエンジニアリングの子会社グラフィッククリエーションはキャンバスプリントや3Dプリントを全面に展示している。

イメージ・マジックはDTF「Trans Jet」シリーズを展示した。
同シリーズは「Trans Jet DTTS-600」と「Trans Jet mini DTTS-300」。それに加えて今年7月に「Trans Jet DTTS-302」を発売している。
いち早く、真空アルミパウチインクを採用しており、DTFで課題となっていたヘッドへのインク詰まりを解消している。
ブースでは「DTTS-600」や「DTTS-302」を運転し、実際のプリントの様子を見せている。
また、盛況で商談が絶えない状況が続いており、製品への注目度が高いことが分かる。

寶來社は、イメージ・マジックの「DTTS-302」にユニークな工夫を加えて展示した。
同社では「DTTS-302」のシステムから、プリント部分を切り離し、パウダーやヒーター部分は手作業でする提案を行った。
工場が狭い会社や大きな初期投資ができない会社での採用を見込んでおり、すでにスポーツ店で実績があるという。
「最小のシステムを入れて、後にシェーカーやヒーターを追加することも可能です。まずDTFを試したいという方はご相談ください」と担当者。

システムグラフィの「マークジェット」は10月発売。これはスキルのない人でもプロのような印刷が可能なソフトで、シール・ラベルやワッペンなどのプリントをサポートする。システムでは、印刷物の帳付け(面付け)はもちろん、カッティングの指示までも簡単にできるという。
担当者は「ソフトが扱いやすく、全くの素人の方でも使えるようにしている。シールやワッペンなどのサプライ品も当社が用意する」と話す。

ダイヤミックは「ダイヤDTF」を出品している。
これは既存のプリンタと同社の提案する「ホットメルトパウダー」や「ガーメントヒートプレス機」を組み合わせて作るDTF(Data to film)のシステム。既存品を使うことで大掛かりな設備がいらず、初期費用を抑えながらこの市場に参入できるという。
この日はブラザー工業の「GTX pro」を使用し、このシステムを実現した。

クイックアートの「WIPシリーズ」は、家庭用やオフィス用の小型のプリンタを活用したDTFシステム。パウダー部分は手で振りかける方式を採用している。
小型のため、事務所やマンションでも設置でき、トラブルの際は宅配便でセンドバックで修理対応するという。

セルカムは、理想科学工業のDTFプリンタ「MR-1」をデモンストレーションしている。
同機はプリンタとシェーカー、ヒーターが一つになった一体型のマシン。改良され、従来あった煙突をなくし、内部に集塵機構を搭載。パウダーを循環させて自動的に再使用するため、上からパウダーを振りかける作業が必要ないという。一体型にしたことから、他社機よりも設置面積が3分の2ほどになっており、省スペース化を実現している。また、搬送距離が短く損紙になる部分が少ないことも特長だ。プリント幅は60cm。

同ブースでは、コーニットのネオンインク(来年発売予定)使用や盛り上げプリントのTシャツサンプルも展示している。

ユーロポートのDTF「CASCDDE」は今年6月発売。武藤工業製の「CASCADEプリンタ」と「CASCADEシェイカー」の2つ機構で構成された、日本製DTFプリンタで、本体サイズは1,190(W) ✕690(D)✕1,210(H)mm、45.7kg(本体+脚)、最大出力解像度は720X1,440dp、印刷有効幅は600mm。
価格は1,900,000円

担当者は「すでに複数台採用されている企業もある。ガーメントやシルクからの置き換えの需要が多い」と話す。
このほかエプソンの「SC-F2150」や、ローランド ディー.ジー.の「VersaUV LEF2-300D」なども展示している。

エプソン販売は昇華転写IJPの新製品「SC-F6450H」を中心展示した。
このクラスでは初の6色機で、諧調性が高くなめらかに表現できる。
特色の2色は「ライトシアン/ライトマゼンタ」「蛍光イエロー/蛍光ピンク」「オレンジ/バイオレット」のいずれか 2 色を初回充填時に選択可能。発売は11月下旬を予定している。
このほか、ガーメントプリンタ「SC-F2150」なども出品している。

テクノプロモーションの白トナーDTFプリンタ「TP-C824WT」は、トナーに白インクを加えて、濃色の素材へのプリントを可能にしている。

同様の試みでは参考出品だが、グラデスタオ/エクシスの白色パウダータイプのDTF小型プリンタがあり、こちらはインクジェット方式。パウダーに白インク機能を持たせるという世界で初めてのシステムだ。

上野山機工は、Tシャツの半自動折りたたみ機「FX25s」を出品している。
同機はTシャツを載せると自動で折りたたんだ状態にしてくれる。オペレーターは袋をかぶせるだけで梱包でき、折り畳みの手間を大幅に低減する。処理能力は8時間で折りたたみ袋詰めらな2,500枚、折り畳み積み重ねでは3,500枚。
このほか、全自動タイプもあるという。

パイオテックは新製品のDTF「XPJ-1628D」を展示。同機は60㎝幅で、A3サイズを1時間で50~60枚プリントできる。インクは真空パックタイプを採用しており、白インクに関しては循環機構を搭載している。
従来からある小型機「PT‐Jet」はすでに30台を発売しており、新製品にも期待がかかる。

 

アステムは、「サイン&ディスプレイショウ2022」に続き松井色素化学工業所が輸入元の「ART-JET」を展示している。昨年8月に発売されており、すでに多くのユーザーが存在する日本のDTFではベストセラー機。
このほか参考出品の「DECAL-JET」を展示。同機はUV系プリンタで剥離紙にプリントした後、ラミネートまでを行い。剥がし転写することで、反転プリントすることなくデカールプリントに対応する。

グラフィックサポートは「BFクラフト」を中心展示。
同機は、超小型UVフラットベッドプリンタで、インクはCMYKに加えて白高さインクも搭載。これにより、濃色の素材への出力も可能。出力はA4サイズまでで、高さ8.5cm までの素材に対応する。
価格は798,000円で、10月1日(土)に発売予定。
インクは1パック9,500円で、ゴルフボールなら1個10銭~15銭程度という。

ローランドディー.ジー.は「VersaUV LEF2-300D」をデモ。
「LEF2」シリーズは、UV(紫外線)硬化型の卓上型インクジェットプリンタ。
一般的な用紙だけでなく、各種プラスチックや革、木材、布などの材料に対して直接出力できる。従来モデルの「LEF2-300」の約2倍にあたる最大200mmの高さに対応している。取り付け可能は最大800(幅)×360(奥行)×200(高さ)mm。
インクはCMYKに加え、白とクリア(ニス)を搭載。透明素材へのプリントや、一部へのニス引き、マット調加工にも対応する。
同ブースでは「諸経費半額」のキャンペーンを実施中。

このほか、DTFプリントのサンプルを参考出品として展示している。発売日や価格などは未定。

リコーは自社のガーメントプリンタを紹介している。
「Ri2000」は産業用で、白インクを搭載し、濃色ガーメントへの印刷対応が可能。
カラー用とホワイト用の2つのキャリッジを搭載しており、ホワイト用のキャリッジで下地となるベースレイヤーを出力した上、すぐにカラー用のキャリッジでカラーレイヤーを印刷することで、高速プリントを実現した。
発売後1年がたち、同社の従来顧客である印刷業はもちろん、アパレル業界でも採用がある。

「Ri100」が卓上タイプのガーメントプリンタ。複合機のような筐体で、カセットにのせてTシャツなどをプリントし、カセットを別の段に移すことで感想も行える。
小型であることから、ネットカフェなどでの採用があるほか、イベントで利用され、その場でオリジナルTシャツをプリントし、販売するといった使われ方もある。

トーヨーコーポレーションはブラザーの「GTX」を使ったガーメントプリンタによるDTFを紹介していた。

 

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