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【完全レポート】日本HPがデジタル印刷機10種や「PrintOSx」について発表 初のZOOM記者会見

【2020年4月10日】日本HPは4月9日、デジタル印刷分野についてWeb上で記者会見を開催。新製品10機種や「PrintOS」の新製品などについて発表を行った。
Webでの記者発表は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたもので、事前にメールなどで呼びかけ同時刻にZOOMを介して多くの報道関係者が参加した。


写真は録画されたもの(Youtube)

 

ポートフォリオ

同社デジタルプレス事業本部 本部長の岡戸伸樹常務は「デジタルプレス市場は5.5兆円、HPの成長をけん引する分野」とした上で以下のように説明した。

消費者は、より早く自分に合ったものを求めている。一方、ブランドオーナーも自社の製品をいかに魅力的に見せるか、模造品との戦いのブランドの保護、環境保護を求めており、これにはデジタル印刷の技術が必要だ。
印刷会社には、デジタルを活かした「イノベーション」と「オートメーション」により、高収益化をはかれるブルーオーシャンをもたらすだろう。実際に、当社のプリンタ(印刷機)を使用した印刷会社はプラス300%以上の高い成長を遂げている。

 

「商業印刷」分野はここ数年、マイナス0.5%成長とほぼ横ばいだが、デジタル印刷のみを切り分けると、5.5%の成長、Indigoユーザーに限れば12.7%成長している。また、B2デジタル印刷ではIndigoが95%のシェアを持っている。

今回目玉となるのは、商業印刷では「HP Indigo100K」。シリーズ第5世代機に当たるもので、毎時6000シートというオフセット印刷と同等の生産性を持つ。
また、インクジェット機では「HP PageWide Press T250HD」があり、印刷品質を改善する「HP Brilliant Ink(ブリリアントインク)」を搭載している。

次にラベル&パッケージ印刷の市場だが、全体は4.4%の成長に対しIndigoユーザーは30%以上という高い成長を実現している。

新製品「HP Indigo V12」は毎分120mとフレキソ印刷と同等の速度がある第6世代機。新しい印刷機構である「LEPx」を搭載している。

ソフトウェア「PrintOSx」も、クラウドから膨大なデータを取り込み、データアナリティクスを活用。これを人工知能を使い分析・機械学習し、予防的に保全サービスまでを完結させる。
当社では、「商業印刷」「ラベル&パッケージ」の分野で、デジタル印刷を加速する10機種の新製品を発表する。
豊富な製品群により、「アナログからデジタルへの変革」を推進する。

 

商業印刷・出版・フォト・紙器向け

商業印刷・出版・フォト・紙器向け製品に関しては、デジタル事業本部ソリューションアーキテクトの森真木氏が紹介した。

「HP Indigo15K」は、従来機の「同12000」を踏襲しながら、新機能を追加している。
主な機能は「600μm、24ポイントの厚紙への対応」で、従来できなかった紙器への印刷を可能にした。

「HDFM」の採用により、人肌をスムースに表現。また「PrintOS Production ProV8.0」を搭載し、処理能力が4倍となった。また、「Fine LineRIP」により1600dpiでのRIP生成を実現し、再選・極小フォントの再現性を向上している。このほか、「自動警告エージェント」を進化させ、エラーの「検出」から「排出」「再印刷」までを自動で行える。

フラグシップマシンの「HP Indigo100K」は「15K」よりもさらに30%高速でプリントが可能。この速度とともに「5カ所給紙」「オフセット用紙搬送」「印刷中のカラーキャリブレーション」「ノンストップスタッキング」「AIサービス」という5つの「ノンストッププリンティング機能」により、50%生産性が向上し、で、オフセット印刷機と同等クラスの生産力を見込める。

「HP Indigo 7K」シリーズは、世界70か国に2,200台が導入され、毎月120万枚、1,700億インプレッションの実績がある「HP Indigo7000」シリーズの後継機。

「7K」は幅広いアプリケーションのプリントが可能。これにより、特殊印刷やフォト、紙器、セキュリティー市場などでの活用を見込める。用紙厚は550ミクロンの厚紙に対応。また、コート・非コート紙、合成紙、粘着紙から転写紙までをカバーし、特に転写紙は専用の認証紙をリリースしている。
また、多様な特殊インキに対応しており、「シルバー」「インビジブルイエロー」「プレミアムホワイト」「スクラッチ」を新発売した。

「HP Indigo7」シリーズは、中古機をリフレッシュした「7r」、標準4色、オプション5色の「7eco」、そして最上位機種の「7k」を用意している。

 

紙器ビジネス

紙器ビジネスでは「HP Indigo 15K」「35K」「90K」の3機種を用意。
「35K」は、従来の「30000」のバージョンアップ機。「iCoatⅡ」というコーターの搭載や、レーザーヘッド「HDイメージング」による網点の高精細化にも対応している。カラーマネジメントでは「スポットマスター」を採用している。

 

PrintOSx

「PrintOSx」は、印刷機周りだけの管理だけでなく、生産管理者やビジネスオーナーなどにも最適化をもたらす。

オペレーターには、トレーニングで知識を深める「オペレーター認証システム」、専門家がサポートする「サービスエキスパート」、不具合をオンタイムで確認し印刷機を最大限に動かす「Print Care プラットフォーム」などが用意されている。

生産管理者は蓄積されるデータから、生産を監視・最適化し、生産のベストプラクティスを導き出せる。また、どこからでも生産の状況確認が可能で、最大限に生産性を活かすマネジメントが可能。大量オーダーの自動化をサイトフローで可能にした。

ビジネスオーナーには「マーケットプレイス」により事例を紹介、フリー素材や印刷サンプルなどのアイデア、サブスクリプションで使えるアプリケーションの用意もある。素材からデザインを自動生成する「HP Mosaic and Collage」に加え、「HP Frame」はビデオ素材から画像を切り出せる。「SecurityBrand Protection」はマイクロテキスト、マイクロQR、セキュリティフォントなどの偽造防止技術で商品を守る。

 

ラベル・パッケージ向け

ラベル・パッケージ向け製品は、同社デジタルプレスビジネス事業本部ソリューションアーキテクトの土田泰弘氏が紹介した。

パッケージ向けの「HP Indigo 25K」は、従来の「20000」シリーズの後継機となるもの。

同機では損紙を95%削減。2種類のホワイトを同時搭載、印刷可能幅は8㎜増加し、対候性のあるイエロー、マゼンタを搭載可能にした。このほか「Production Pro 8.0」の採用により、データが重いジョブのRIPが最大5倍高速になっている。
故障する前に対処する「Predictive Press Care(PPC)は、印刷稼働中にセンサーがリアルタイムデータを送信し、アラートで故障を未然に防止する。

目玉の新機能としては、カラーオートメーション技術「スポットマスター」を搭載している。
この機能では、色見本やデータから特色のLAB値を取得。ジョブごと、印刷位置ごとにスポットカラーをリファインし、印刷機上で承認。DFEに自動更新し、プロセスカラーとスポットカラーを印刷中も継続測色し自動補正(CCC)する。
動機にも「Predictive Press Care(PPC)」が付属する。

狭幅の「HP Indigo 6K」は「6000」シリーズの後継機。こちらも「25K」同様のシステムが搭載されている。目玉は新インキラインナップと加飾で印刷の付加価値を上げる点。

「HP Indigo 8K」は「8000シリーズ」の後継機。「6K」のツインエンジンバージョンで、ミディアムランからロングランまでに対応する。
デュアルのウェブガイドセンサーを搭載し、従来オペレーターが手入力していた紙幅の数値を自動検知し、ダウンタイムを抑制する。

「HP Indigo 90K」は、ロール紙からB1シートまでに対応する新タイプの印刷機。従来の「50000」を元にロール印刷しシートカットが可能。パートナーの伊PRATI社ニスコーター「DIGIFAST20000」と接続し、部分ニスのプリントもできる。

ラベル印刷用の「HP Indigo V12」は2022年発売予定で、最新にあたる第6世代の印刷機。湿式電子写真(LEP)プロセスにより、毎分120mという、従来の4倍にあたるスピードを実現した。
構成は、インクキャビネットとユーティリティーキャビネット、印刷エンジン、ILPと用紙搬送に分かれている。
用紙幅は240~340mmに対応、最大リピート長は5.33m。オフセット品質の印刷が可能となっている。

デジタル印刷機内部構造「LEPX」は、印刷エンジンを6個一直線に配列している。従来方式は4色の場合4回転で1つをプリントしていたが、新機構では6色以下であれば、ブランケットが1回転するだけで印刷できる。これにより従来の4倍というスピードを実現している。

 

インクジェットデジタル輪転機

インクジェットデジタル輪転機については、HP PageWide Web Pressカテゴリーマネージャーの田口兼多氏が解説した。

HPインクジェットデジタル輪転機による印刷は、180%の成長を見せている。アプリケーションは書籍やトランザクションなどが多く、さらに分野は広がりつつある。

「PageWide Web Press」は、技術の垂直統合がなされており、プレス本体からプリントヘッド、水性顔料インキ、メディア、コーティング技術、ワークフロー、用紙搬送、ドライヤーまで、すべて同社技術で行っている。このため、将来にわたるアップグレードを同社が保証できるという。

また、「PageWide Web Press」はシリーズでプラットフォームが共通化されており、22インチから、110インチまでヘッド数を変えることで対応している。

新製品の「HP PageWideT200 HD」は、新たに開発された「HP Brilliant Ink」を搭載。また、インラインニスコーターも搭載される。

「HP Brilliant Ink」は、オフセットコート紙、上質紙の両方に対応。ビジネスにあわせた各種用紙のセットアップがUI上でできる。また、 広い色域で印刷品質向上、グロスレベル、インキ定着性、にじみの改善がなされた。 オフセット上質紙において高い濃度と裏写り低減も実現している。

 

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