【2016年11月1日】立体物、特に凹凸のある曲面への印刷というのは、プリント屋さん泣かせの難題だ。
大きなボールなどへのプリントは、従来、昇華転写により転写紙からプリントや、タンポ印刷のような手作業に頼っていた。
そこに自動プリントという新たな解決策を提案したのがハイデルベルグだ。
UV硬化型プリンタ「omni fire(オムニファイア)」シリーズは、サッカーボールなどへのフルカラー出力を、従来にない方法で実現した。
「omni fire」シリーズは、今年、ドイツで行われた「drupa2016」でも展示された最新鋭機。プリント部分に可動・回転するアームを搭載しており、このアームの可動と回転により、球体や円筒など、曲面を持つ立体物の外周に鮮やかなプリントを施す。
この「omni fire」シリーズの「omni fire250」が、なんと日本に上陸し、プリント実演を公開していると聞いたので、記者はハイデルベルグ・ジャパン東京本社に潜入し、その様子を動画に収めてきた。
「omni fire」シリーズの最大の特徴は、内部の「オブジェクホルダー」。これがボールなどを固定し、この固定具の先にある4軸ロボットアームが動くことで、曲面へのプリントを円滑に行う。
ボールなど球体の周回へ1周ぐるりと直接プリントする技術というのは、これまでありそうでなかったものだ。
プリントでは、まず表面を超音波でスキャンし、続いてプラズマによる表面処理やプライマーの塗布を行い、4色フルカラーを1色ずつプリント。プリントは1色ごとに紫外線の照射を繰り返し、4色がのった後にも紫外線を照射して確実に硬化させる。
サッカーボールの場合、固定から出力終了までの時間は、1色で約80秒、4色で約140秒。
1時間当たりフルカラーで26個へ出力できる。
出力解像度は360dpiと一般的な名入れやロゴマークの印刷であれば、違和感のないレベルだ。
被出力物の大きさは、ゴルフボールより小さな10mmからバスケットボール大の300mmまで可能。
出力できる材質も、プラスチックやゴム、皮、ガラス、金属など多岐ににわたる。
このため、幅広い用途への活用が見込め、ボールへのプリントのほか、ボトルやグラスなど円筒形のものへも出力できるそうで、さまざまなグッズの製作で力を発揮できる。
ショールームに導入された「omni fire250」はシリーズの中でもっとも小型な筐体。「omni fire1000」はこれより大きいクラスで、バイク用のヘルメットなどへのプリントが可能だ。さらに大きいクラスでは、自動車へのペイントもできるという。
ヨーロッパではすでに導入事例があり、物品のパーソナライズで活用されているという
本体価格や保守料金などは同社へ問い合わせてほしい。また、サプライはクリックチャージとなる。
今後、ハイデルベルグ・ジャパンでは、国内での販売を進めていく予定で、展示会などへの出展も検討している。
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