【2023年1月23日】新年あけまして…ずいぶん過ぎてしまいました。
新春大予言ということなのですが、去年の当サイト記事の人気ランキングでトップとなってしまったことから、プレッシャーが大きく、ここまで執筆が難産になってしまいました。
あんまり新春じゃなくなったことをお許しください…いや、どなたか叩いて叱ってください(奥村チヨも「悪い時はどうぞ、ぶってね」と言っていますし)。
というわけで、新春大予言スタートです!
昨年、一昨年の大予言を読むと、いずれもコロナの話から始まります。
まさか3年も連続して、この話題を冒頭に書くとは思っていませんでした。
振り返れば、2021年は「コロナからのV字回復」、2022年は「コロナからの回復はお上次第!?」と年を追うごとにトーンダウンしていました(汗)。
コロナ、やっぱりこれ100年に一度の災厄のようで、一昨年にはそれを甘く考えていた部分もあったのだと思います(ぷーさんのはちみつ並みに甘かった)。
昨年も書いた通り、日本人のマインドが抑制的でなかなかマスクを取るという決断に至らない状態になっています。
今は夜の街にもある程度人が戻り、ほとんどの人がマスクを外して飲食しています。
それを見ていると、黙って座っているだけの電車内で、なぜマスクをしなければならないのか、ものすごく疑問に思ってしまうのです(外でつけて歩いている人はちょっとしたクレイジーですよね)。
これも昨年も書きましたが、日本は「〇〇道(どう)」が大好きです。
「道」がついてしまうと、その本質が何かよりも、形を優先しまうケースが多いのです。
「サラリーマン道」みたいなものがそうですが、これがはびこると、いかに効率よく結果を出すかよりも、真面目にやっている風に見せ、上役のウケを大事にする人がのさばるようになってしまいます(これを「外道」といいますし、世の中にいっぱいいます(笑))。
コロナに話を戻すと、マスクもすでに一部の職種以外では形式的なものになっており、つけていることが人権を守る手のようになっている気がします。
入店・入場時の検温をするはずのところも、実は関所が機能していなくて、すべてスルーというところもあります。
だいたい、こういうチェックは無症状の感染者にはまったく意味がないものです。
ここで疑問を投げてみます。
「コロナ対策は何のためにしているのでしょうか?」
「コロナ撲滅のため?」それは無理ですね。ウイルスは消えてなくなりません。
「死者を出さないため?」それも無理です。コロナに限らず人は死にます。
では何のためでしょう。
以前も書きましたが「日常生活を取り戻すため」です。
コロナ対策のためのコロナ対策にはまったく意味がありません。
では日常が取り戻せるコロナ終息の条件とは何でしょうか。
①かかっても普通の人が死ぬ病気ではなくなる
②発症しなくなる
③医療や介護に重い負担がなくなる
こんなところでしょう。
実は①の致死率に関しては感染拡大初期の2020年2月の8.5%から、2022年8月には0.3%ほどまで低下しています。
また、無症状感染者が90%という話もあります。
①②はほぼ達成されており、これに伴って③も達成されればいいのですが、無症状感染者が増えると、コロナによる死亡率が数十倍の高齢者にとっては、未だ厳しい状況が続きます。あとは特効薬の開発が待たれるところです。
そこをまあ無視して突き進んでいるのが欧米諸国で、マスクなどせずに普通に暮らしているので、ある程度割り切る必要も出てくるかと思います。
それができるならば、そこからある程度の景気回復が見込めるのではないでしょうか(時期が遅れ、記録的なインフレで消費行動が萎えてしまっているので…)。
日本は「コロナ道」を極めた「外道」が跋扈し、かなり「回り道」をしてしまった結果、爆発的な景気回復の道を逃したようです。
都心の飲食店では店での売り上げもあるのですが、ウーバーイーツや出前館なんかも活用して、売り上げをあげています。
先日、某観光名所にあるレストランに行きましたが、まだお昼には少しは早い時間で、お客さんは我々だけなのに、次々とデリバリーの注文があり、宅配のお兄さんたちが入れ代わり立ち代わりしていました。
お店の方に聞くと「日にもよりますが、売り上げの半分くらいはデリバリーになることもあります」というお話でした。
都会を中心に、”飲食店のあり方”が変わりつつあります。
先に挙げたお店は、イートインがありリアル店舗がメインの営業でしたが、店舗のないいわゆるゴーストレストランも多数存在します。彼らは、ウーバーイーツや出前館などのフードデリバリーアプリの中にのみ存在します。
当然看板などのプリントは必要なく、メニューやチラシなどの印刷物もほぼ必要としませんでした。
しかし、しかしです。やはりこういったお店も大手チェーンでもなく、ブランドが知られておらず、さらに地方であれば、地場を中心とした市場へのプロモーションが必要になるはずです。
今後、地方にこの広がって行ったとき、あまりスマホやアプリになれていないお年寄りなどへの認知を広げていく場合には、まずはチラシやポスティングが必要になるでしょう。
その証拠にと言っては何ですが、凸版印刷がこんなサービスを開始しました
凸版印刷の「Print to Digital」 折り込みチラシとデジタル広告をワンストップで
この周辺に大いにビジネスチャンスはあるはずです。
ただし、こういったアプリやSNSへの知見、またプロモーション方法などを知らなければ参入ができないので、勉強が必要です。特に経営者が詳しくなければ、課題が前に進まないと思われます。まあ、この辺りを知らない会社は、淘汰されて当然という気もしますが…。
(とここまで書いていたのですが、新しいニュースが飛び込んできました)
政府は、新型コロナに関して、今春までに季節性インフルエンザなどと同じ「5類」相当へ位置付けるそうです。
さらに今日1月23日から召集される通常国会は「基本的にマスクの着用を必要としない」としました。
以前から書いている通り「日本人はお上に言われないと動かない」。その待ちに待ったお上が動きました。
国会議員がマスクを外すことで、国民も職場や学校などさまざまな場所で適宜にマスクを外すようになると考えられます。
マスクを外すとなれば、やはり化粧品やスキンケア製品などが売れるでしょうし、これらに関するPOPやポスター、屋外広告、パッケージなども求められるようになると思います。
いよいよ来年、記者はコロナのこと書かなくて済むようになる…はず…(と予言)。
さて、昨年から注目しているNFTですが、こちらでも取り組みが相次ぎました。
この動きが拡大すると見込んでいます。
DNPとGaudiy NFT活用のファンエコノミーで業務提携(2022年1月19日)を皮切りに、
オンキヨーと日本テクノロジーソリューション 和魂プロジェクト「酒輪」でパートナーシップ NFT使い日本酒で「渾身の一本」を生み出す(2022年12月8日)まで、12本のNFTに関する記事を書いています。
そのうち半分は大日本印刷か凸版印刷に関連する記事でした。
もっとこの2社で占められていたように思っていましたが、意外といろいろな会社が取り組んでおり、NFTにかかわる企業が増えていると感じます。
昨年も書きましたし、皆さんもうご存じとは思いますが、NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」を略したもの。ブロックチェーン(電子暗号)の技術を使った暗号資産の一つで、デジタル化された画像やイラスト、デザイン、文書などを「本物」と証明する技術のことです。
これまでは写真データやイラストデータなど、一度データ化されれば、複製が可能で、そこには本物という証明もありませんでした。
しかし、NFTアートなどの作品はその個体が証明され、数千円から数億円で取引されており、転売時にも作者にインセンティブが入るなど、従来にないクリエイターへの還元も行われています。
この1年で目立ったのは、メタバースとNFTの組み合わせ。
大手2社がメタバースに関する取り組みを進める中で、相性のいい部分がNFTだったということかと思います。
例えば、メタバースの中で使用するアバター(本人の分身)本体や、それをアートにしたものをNFTで認証するといった使い方が多く見受けられました。
メタバースという用語は「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語です。この仮想空間の中で本物であるということを表すにはNFTが非常に有効と感じます。
印刷大手2社がNFTに注力しているように、印刷会社との相性は基本的にいいです。
印刷会社は比較的に早くパソコンが導入され、データを扱うことに慣れているというのは間違いないでしょう。また、個別ナンバーや製造番号を打つといった、固有であることを示す仕事をしてきた業種でもあります。
NFT自体は数万円作成可能ですし、販売サイトの構築は10万円くらいから、自社での作成~販売も投資は必要ですが可能です。
いよいよ中小の印刷会社もNFTに多数参入するのではないでしょうか(そのまま電子マネー掘りに行って帰ってこない可能性もあるけど…)。
NFTのような本物を証明するものが、現れた一方で、本物か本物でないかの区別がつかなくなるものも現れました。
「AIイラストレーター」をご存じでしょうか。
人の顔やイラストのキャラクターを取り込むと、それをAIがゲームキャラ風や劇画風、少女漫画風などに変換してくれるのです。
これ記者をAIイラストで変換したものです。イケメンがバレてしまいますね(誰なんだ!)
こういったアプリ、自分の顔が漫画風になり、なんと部屋の内装まで素敵にしてくれるのです。以前に比べて違和感も少なく、非常に出来がいいのも特長で非常に楽しいものです。
しかしこれ、有名イラストレーターさんや漫画家、写真家さんなどにとっては飯の食い上げになりかねない大変なもの。だって、取り込んでしまえば、改変されて誰の作品かわからなくなるか、少なくともわかりづらくなってしまうのです。
つまりオリジナルがAIの海に飲まれてしまい、複製か、オリジナルかが一目見ただけでは分からない問題が勃発したのです!
一方で、自分が撮った写真やフリー素材(規約などによる)などを取り込んだものであれば、ある意味AIを作ったオリジナルが誰でも作れるようになり、これを使った印刷物の作成が可能になります。
この分野、まだ掘られていないので、開拓地いっぱいの荒野です。危険もありますが、志ある方は絶対に触っておかないと損をすると思います。
今年は、AIイラストを使った新しいプリントサービスが現れるでしょう。
サイングラフィック系の大判プリンタをご存じない方には、ピンと来ないかもしれませんが、最近、多くの大判プリンタメーカーがラテックスやレジンと呼ばれるインクを搭載した製品を発売し始めました。
このインク、樹脂ベースで水分を飛ばして乾燥・硬化させます。
このため、UVのような臭気はなく、溶剤系のような出力後のエイジング(一定時間取りおいての乾燥)も必要がありません。
さらに言えば、有機溶剤を含まず、作業環境や使用環境にやさしいのが特長です。用途では日本はもちろん、欧米の環境基準にも適合していることから、壁紙など人が触れる場所への施工にも適しているのです。
参入しているのはHP、エプソン、リコーなどです。
課題としては、乾燥用のヒーターなどが大きくなる、色ぶれしやすい、色が沈みやすいなどがありますが、徐々に台数を伸ばしています。
溶剤系や、今主流となりつつあるUV系のインクもけっしてなくなりはしないと思いますが、ラテックスインクへの傾斜が少しずつ大きくなり、参入するメーカーが増えていくのは間違いないかと思います。
背景にはSDGsやESG投資などの影響で、人体に少しでも有害なものは排除しようという動きもあります。
一般印刷やパッケージ印刷、特殊印刷でも、こういった物質を使ってはいないでしょうか?一時期、インク洗浄剤と胆管癌の関係が疑われましたが、その後あまり聞かれなくなりましたが、どうなったのでしょうか。
こういった有害物質排除の流れがいつか来ると思っていましたが、そろそろ逃れられないところまで迫っているようです。
対策のない会社の淘汰や印刷方式へのパージが始まるかも?
これはすでに起こっていることなのですが、「DTF(Direct To Film)」が、今年はプリント業界を席巻します。
DTFはプリンタとパウダーシェイカー、ヒーターで構成されるシステム。
昇華転写方式のように転写時に絵柄や文字以外の余白部分を切り離す必要がなく、作業時間を大幅に短縮できるのです。それも1時間くらいかかっていたこの切り抜き作業が0分=「なし」になるという画期的な違いです。
すでに衣料分野のプリントで採用が進んでおり、世界の市場を塗り替えつつあります。
昨年9月に行われた「オーダーグッズビジネスショー2022(OGBS2022)」では、「DTF祭り」と表現したほど多くの会社が出展し、面積の小さな布物のプリントは一気にDTFへと移行する流れになってきました。
特にイメージ・マジックの製品は、冬場に詰まりが出やすかったインクを真空パックに変更し、この問題を解決するなど、他社に先駆けた動きが目立ち、納入台数も伸ばしていました。
一方、OGBSの頃には、まだ大手メーカーは「ウチが作るような機械じゃない」という雰囲気で、参入していませんでした。
しかし今月、ローランド ディー.ジー.がDTFプリンタ「BN-20D」を発表。おそらく他社もこの動きに追随するでしょう。
昇華転写プリンタの一部、特に面積の小さいものは確実にこのプリント方式に変わります。
予言というよりはこれは天気予報みたいなものですが…。
昨年のIGASの振り返りにも書きましたが、参加者が「IGASが四大展示会ではない」と言ってしまうように、日本の印刷業界は、もうかなり疲弊しているという印象です。
IT革命以降、人の目は紙媒体から、PCやスマホ、タブレットに移ってしまいました。さらに人口減少で、その“目”自体が減ってしまいます。情報を発信するには、紙に印刷して輸送してというのは遅すぎるのです。
紙の使いどころは、心を動かし、人を動かす部分、これを経営者が頭に入れていない企業はさらに窮地に陥るでしょう。
もちろん、紙にこだわる必要はなく、上記に出てきたNFTやメタバース、デジタルでの情報発信を手掛けることもいよいよ必要になってきたのだと思います。
ここから最後の予言です。
今年、ある業界の新年パーティーに取材で行ったのですが「取材記者は飲食しないで」とのことでした。記者生活で初めてのことです(笑)。
別に記者たちも飯を食いに行っているわけではないので全然かまわないですし、日本経済縮小の今、無駄金を出さないというのは素晴らしい決断だと思います。来年からはそういった清貧新年会が増えるのではないでしょうか。
ただ、業界の多くの業界名士の方々にご挨拶し、情報交換するには酒とつまみがないと間がもたない!
というわけで、来年以降、缶ビールと乾きものをバッグに詰めて新年会に行く記者が増えることを予言して、今年の大予言を終わります(笑)。
当たるも八卦当たらぬも八卦!今年が皆様にとって良い年でありますように!
※冗談が含まれますので、怒らないでね~!ちゃんと大人な方は怒らないと思いますが
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