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「コミケ89」潜入 巨大イベントは印刷物の宝庫 その市場規模は何億円? 


【2015年12月30日】年末恒例のイベント「コミックマーケット(コミケ)」。
江東区有明の東京ビッグサイトで昨日29日から31日(木)まで開催されている。

このイベントに「行ったことがない」という人も多い、というか大半だろう。記者も実はその一人だった。
今回は年末特別企画として、このイベントを取材し、プリント&プロモーション目線のコミケ探訪記とそこに見る市場規模のレポートなどをお届けする。

そもそもコミックマーケット(コミケ)って何?
コミックマーケットはその名の通り「コミック(同人誌)」の即売会である。現在はゲームやDVD、関連グッズなども販売しており、それを目当てに多くの人が集まる。
毎年夏冬の2回行われており、1975年の初開催から今回の「冬コミ」で89回目。
なんとその入場者数は2014年冬が約56万人、2015年夏が約55万人で、日本で行われるさまざまなイベントの中で最大級のものになっている。

当日はゆりかもめの中から広告が違う。
「刀剣乱舞」は日本刀を擬人化したブラウザゲームで、「オタマート」はコミケで売られているようなグッズの販売を行うアプリだ。

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駅を降りてその人出だが、ビッグサイト前はこんな感じ。国際展示場駅方面から来る人が多く、その行列は駅から途切れることなく続いている。

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展示会場内もこんな感じで、人、人、人見渡す限りの人だ。それもコスプレイヤー率が高い。ざっと見た感じだが20人に1人はコスプレ姿で歩いている。さらに言うと「男の娘(おとこのこ)」率も高い。100人に1人くらいは男の娘なところはここくらいだろう。

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報道用受付を探していると
「何かお探しですか?」と声をかけられた。ボランティアの人はかなり親切だ。

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報道登録を済ませて、展示会場内へ。主に企業ブースを見ようと思っていたので、西館4階へ向かったが、正直、舐めていた。これほどとは!
そこら中にできている「行列」「行列」。
企業ブースならそれほどでもないかと思っていたのだが、逆なのね。なんと最長の列は西館1階から、屋外の階段をぐるりと回り4階の展示ブースまで続いている。「人がゴミのようだ」とムスカが言った気持ちが少し分かる(そんな風には思ってはおりませんが)。

それもその行列にたどり着くには、西館1階から外に出て、駐車場の外側にある鍵の手のような順路をグルグル回る。城攻めならここで、弓矢か鉄砲で撃たれたらひとたまりもないという感じだが、そういうこともないので皆ぞろぞろ歩く。
コスプレエリアを横目に見ながら、企業ブースの行列の所までは約1㎞くらいか。そこから「KADOKAWA」とか、「一迅社」など企業名の書かれたプラカードの後ろにつく。そこからおそらく1時間ほどは行列するのではないだろうか。1つのブースで買い物を終えたら、またその繰り返し(皆さんご苦労様です)。

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行列の様子を見て「聖地巡礼」という言葉を思い出してしまった。これほど多くの人が列をなすのは、日本ではここ以外では、初詣の神社やお寺くらいだろうか。

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この行列する人たちが求めているのは「先行発売品」やコミケの「限定品」、そしてコミケだけでもらえる「無料配布グッズ」だ。見ている間にもどんどん売れていき、台車で次々と在庫を運び込まれる。
これらほとんどが、キャラクターなどをプリントしたものだ。

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コミケの市場規模はどのくらい?
さてここからは、ちょっとだけ堅いお話。
2014年のアニメ産業市場は1兆6,296億円(前年比110.4%、日本動画協会調べ)、ちょっと古いデータだが2012年度の「キャラクタービジネス市場規模(商品化権、版権)」は2兆3,075億円(矢野経済研究所調べ)いずれも巨大市場だ。

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「キャラクタービジネス市場規模推移(矢野経済研究所調べ)

なかでも、限定品のアニメ・ゲーム系グッズなどは、中国で生産していたものが、国内回帰しているという。アクリル製のキーホルダーなど売れ筋グッズは、インクジェットプリンタとレーザーカッターで製造されており、コミケ前には大量の発注が入り業者は徹夜で仕上げることもあるという。

さて、コミケには一般の参加サークルが3万5000スペースある。
これらサークルの多くが商品として販売している同人誌の市場規模はどうだろう。
一般的なサークルでは、1つの同人誌の発行部数はだいたい100~500部くらい、これを2回のコミケで完売させるのが普通という。小さなサークルでは1作品100部以下のケースもあり、これらのサークルは利益を得るというよりも、本当にその趣味が好きな人との交流を目的に出展しているという感じだ。

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一方で、1000部以上を売り切る大手サークルもある。こういったところは「壁扱い」「シャッター扱い」などと言って、壁際やシャッター際に配置され、そこに大行列ができる。この大手は250~300サークル程度と全体の1%程度。
同人誌の価格はさまざまだが500円~1,000円、装丁をきれいにしている高いもので2000~3000円といったものや、1万円を超える高級同人誌もあるらしいが、それはほんの一部のようだ(実際この日はそんな高い商品は発見できなかった)。

同人誌の価格帯で最も多いのが500~600円。さまざまな印刷所がオンデマンドなどで印刷を提供しているが、原価はカラーで200~300円といったところだろう。100部しか印刷しないとしても3万サークル以上がこれを印刷するとしたら数~十数億円規模になる(あくまでざっくりとした推計なので参考程度だが)。

ちょっと古い数字だが、コミックマーケット準備会・コンテンツ研究チームが2011年調査した結果では、同人誌のコミケへの搬入総数は1100 万冊、頒布総数は約925万冊だった。売り上げで言えば30億円弱ほどになる。
もちろん売っているのは、同人誌だけではないので、実際の市場規模はこれの数倍になるだろう。単純な期間中の売り上げは推定で50億円以上という話もある。
ちなみに2,013年の同人誌市場全体は732億円と推計されており、これも成長を続けている。
今から行く人のために
しかし、本当に人の多いイベントだ。歩き回るにも人をかき分けなければならない。2008年に事故が発生したため、西館のメインエスカレーターは関係者以外使用できなくなっている。
おかげさまで、報道関係者ということで、そのエスカレーターを使用できたが、使えなかったら西館1階と4階を周回するのに数倍の時間がかかっただろう。これを見て初めて行ってみようと思った方は覚悟をされて行ってほしい。特に企業ブースに並ばれる方は並ぶ場所に達するまでも大変なので、ボランティアの方に聞きながら行ってほしい。

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さらにはサークル出展の方も膨大な数があるので、カタログを買うか、目的のサークルのTwitterやサイト、pixivの案内などを見てから行ったほうが良い。

もう一つ驚いたのは女子の多さ、この日のジャンルがたまたま女子向きのものだったせいもあると思うが、サークル参加の8割以上が女子というエリアもあった。コミケはすでに女性のものになっているのかと思ってしまうほどだ。

ぜひ印刷関係者には、このイベントの熱気を感じてほしい。
なにしろ、とてつもない巨大イベントなので、普段見ることができない東京ビッグサイトの姿を見ることが可能だ。混んでないエリアもあるので、そういったところを中心に見て回ることがおすすめだ。
アニメや漫画、ゲームだけででなく、鉄道やカメラ、歴史、映画などのマニアもサークル出展しているので、「これ!」といった趣味がある方は来場してみてはどうだろうか。新しいビジネスのヒントになるかもしれない。

各日のサークルジャンルは以下から。
http://www.comiket.co.jp/info-c/C89/C89genre.html

参考サイトなど

コミックマーケット公式サイト

コミックマーケット35周年調査

日本の創作を支える二次創作と草の根活動

矢野経済研究所
「オタク」市場に関する調査結果 2014

キャラクタービジネスに関する調査結果 2013

アニメ産業レポート2015発刊のお知らせ


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