【2015年10月8日】米国発祥でグローバル展開を行う非営利団体PODiは10月7日、中央区新富の日本印刷会館でセミナー「デジタル印刷の未来が見えた!IGAS Graph Expo Case Study」を開催し、約160人が参加した。共催は日本フォーム印刷工業連合会(フォーム工連)。
同セミナーはPODiの会員で、デジタル印刷関連の資機材を扱うメーカー8社から講師を招き、直近に行われた国内外の印刷関連展示会へ出品した最新製品や、自社の顧客事例などから、デジタルの未来を読み解くというもの。また米国のPODi代表も来日し、海外やワールドワイドのデジタル印刷事情を紹介した。
冒頭、「デジタル印刷への期待」というテーマでフォーム工連の山口実専務理事が以下のようにスピーチした。
「当連合会は現在120社。フォーム印刷はパンチカードや磁気カードの減少により全盛期の半分の市場規模となったが、その分データプリントサービスが減少したフォーム印刷と同程度の市場規模にまで増えており、これを補っている。印刷は今、『マスプロダクション(大量生産)』から『マスカスタマイゼーション(個別大量生産)』の時代に移っている。フォーム業界は、ユーザーの本業以外の部分をすべて仕事にするような取り組みが必要だ」
アメリカPODi のDave Erlandson(デーブ・アランドソン)代表は「最新の欧米デジタル事情、GraphExpoとケーススタディ」と題して、世界の印刷潮流や直近の展示会などについて以下のようにレポートした。
「印刷市場は漸減傾向だが、その中ではパッケージは成長する。一方、一般印刷や新聞印刷は、インターネットが伸びれば減っていく。企業が広告を打つのもネットになる。自分の家族がfacebookやTwitterに夢中になっていることを見ても明らかだ、この流れは仕方がない」
「米国で開催されたグラフエキスポだが、オフセット印刷機を出したのはリョービのみ。ほとんどがデジタル印刷機で占められていた。かつてハイデルベルグのブースがあった場所は受付になっており、会場全体もブースが埋まっていなかった」
「世界ではカラーデジタル印刷の市場が年18%伸びている。主な要因は可変印刷を必要とする高級な印刷物で、AR(拡張現実)などインタラクティブな内容を含んだものが増加している。しかし、今後はデジタル印刷をするだけが売りの会社は価格競争に陥るだろう」
「印刷会社は、ITの活用が将来のカギとなる。データ主導の印刷は伸びていくだろう。また、印刷会社が1つの業界分野の専門家になるような集中と特化が必要だろう」
三菱製紙洋紙事業部の木村篤樹海外営業部担当部長は「Graph Expo 2015 Report ~紙の視点でみた北米デジタル印刷事情」のテーマで紙を提供する立場から講演した。
「印刷方式(技術)が変われば、紙も変わるのは当然。IJは年賀状などでもわかる通り、紙にのせることが難しい。連帳IJ方式の印刷機なら紙をしっかりと合わせないといけない。さらにこれからは、後加工にも適性を持つ必要がある。IJ印刷機には専用の用紙が必要だ」
「産業用IJ用紙に必要な要素をまとめると①生産性②IJ適性③後加工適正④紙の質感となる。今後は45gmm以下の薄物化、DMなどで必要な厚物化、波打ちやシワ、カールの発生防止があげられ、最後にコストが安くなることも重要と感じている」
PODiセミナー「デジタル印刷の未来が見えた!」レポート② キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ松藤部長 日本HP田口マネージャー コダック山田担当課長
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