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【工夫と創造この企業】和光プロセス渡邉智彦社長に聞く グッズプリントを大幅増強 イメージ・マジックのシステム導入 

【2022年5月25日】和光プロセスは1987年、福島市に写真製版業として設立された企業。
その後、1999年には大判インクジェットプリンタ(IJP)を導入。プリント業界に進出し、これが第二の創業の形となり、徐々にサインやディスプレイ業に軸足を移していく。

2019年から、ガーメントプリンタと乾燥機などのプリントシステムとイメージ・マジックのガーメントプリントの工場システム「ODPS(On Dmand Print Solutions)」を導入した。また今年に入り同じくイメージ・マジックのDTF(Digital to Film)プリンタを設備するなど、新たにオーダーグッズビジネスの分野に参入している。
今回は、同社の渡邉智彦社長に話を聞いた。

 

製版からサイン業そして

――貴社の成り立ちを教えてください
製版業として創業した会社ですが、1990年代後半に大判のIJPを導入し、サインやディスプレイなどを、得意先である印刷業者向けに納入するようになりました。
その後、昇華転写が伸びるという予測を立て、昇華転写タイプのプリンタを導入。バナーやのぼりなどを、アミューズメント向けに販売しています。

――工場が第3工場までありますが、その理由は
2009年に現在の場所に本社工場を移転し、最初は1カ所ですべて行っていました。しかし、徐々に仕事の分野を広げていき、それに合わせて機器の導入も進めたため、手狭になり近隣に工場を借りていったことから、今の3カ所の工場体制になりました。
本社・工場はカッティングプロッタと仕上げの機械を置いています。
第2工場は昇華転写型IJPを多く置き、のぼり旗などの製造をしています。
第3工場は最近導入したガーメントプリンタなどのシステムを置いています。

――昇華転写プリンタは、福島県内でも有数の設備ですね
ありがとうございます。
特に第2工場は、当社の大きな柱であるのぼりやバナー制作のための装置をそろえています。プリンタで特徴的なものは、既存機を改良し蒸し器をつけたダイレクトIJPなどがあります。このマシンは保守も終わり、かなりの年代物ですが非常に生産の力になっています。


既存のプリンタに蒸し器を後付けして、インラインでプリントと蒸しを行う

また、2019年に最新鋭の3.2m昇華転写プリンタ「JHF T3700」を設備しました。最大6色のインクを搭載でき、広い色域を持ち、色鮮やかなグラデーションを実現できます。


2019年に導入した大型の昇華転写プリンタ「JHF T3700」

――ガーメントプリンタを導入し、グッズプリントを新たに始められたとのこと、その理由は?
この分野は市場規模が大きく、また需要が伸びており、サイン・ディスプレイ、昇華転写によるバナーやのぼりに続く、第3の柱になると考えました。
当時、展示会で見たガーメントプリンタの性能が仕事につかえるものだと判断し、2019年6月にエプソンの「SC-F2150」を導入、同年12月にブラザーの「GTX」を導入しました。


「GTX」を一人のオペレーターが複数台操作する

――そこから、本格的にガーメントプリントを始めて、かなり大規模な設備投資をされました。
そうですね。常に変わらなければと思っているので、この投資は必然です。最初の製版業のままだったら、今もう会社はないでしょう。
実際にグッズ関連の得意先は、新規が8割以上ですし、新たなお客様を開拓する結果となりました。

 

ODPSとは

――イメージ・マジックの「ODPS」についてもお教えください
「ODPS」はTシャツなどをプリントする際、前処理剤を吹き付ける作業から、プリント、乾燥(インク定着)、たたみ、ピッキング、出荷までをシステムが管理し、大幅に自動化するシステムです。
Tシャツやトートバッグ、マグカップなど、1つ1つのアイテムにバーコードを添付。これを読み込みながらプリントや仕分けを行うため、システムの指示に従えば、オペレーターは間違うことなくプリントや加工、発送を行えます。逆にこれがなければ、1日1000以上のアイテムをミスなく仕上げて、個々の送り先に発送することは不可能です。


トンネル式乾燥機「Brown FIRE FLY」

「ODPSシステム」に使用する機器は、「SCHULZE PRETREAT maker LINE」が前処理剤塗布機、「Brown FIRE FLY」がプリント後の定着を行うトンネル式乾燥機、「ODPS-T53U」がたたみ袋詰め機で、「ODPS-K60J」が梱包出荷機です。
2020年の6月には、導入が完了し現在の形になりました。

――これだけまとめて導入するというのは、かなり勇気がいるのではないでしょうか
イメージ・マジックさんからこのシステムを導入したのですが、トータルでシステムを販売していたので、全体をまとめてお話しいただいたことが、早期導入につながりました。
イメージ・マジックさんはプリントを行うことがメインの会社なので「自社でも使っており、実績とノウハウがある」というところが信用できました。また、ここまでトータルにシステムすべてを取り扱っているのはこの会社だけだったのということもあります。


出荷用の棚もイメージ・マジック仕様

――販売する会社も使っていて実績があるというのは心強いですね
当社ではシステム導入前、ガーメントプリントに関して、前処理剤の塗布量やインクを定着させる方法や温度など、すべて自社で研究しながら行っていました。しかし、導入後はイメージ・マジックさんが、このノウハウまでを詳しく教えてくれました。
おかげで、数年分の研究開発が進んだ印象です。

――それはすごいですね。ノウハウを教えてイメージ・マジックは大丈夫なのでしょうか
当社は、イメージ・マジックさんの外注先として連携しているため、同様の仕上がりを求められることから、多くのノウハウを共有いただきました。当社の技術が上がれば、イメージ・マジックも得をするという判断だと思います。いずれにしろ当社にはありがたいことばかりでした。

機器の配置もそのままイメージ・マジックさんの工場をコピーさせてもらい、工場内が効率的になり以前の10倍の生産力になりました。
このアドバイスも、イメージ・マジックの社員の方がこちらに滞在し、指導していただきました。

――イメージ・マジックさんの外注先としてだけでなく。貴社でも独自に仕事は受注していくのですか?
はい。今は1日1000枚程度のTシャツをプリントしていますが、まだまだ余力はあります。
従来の得意先へ営業をかけていくのと同時に、グッズプリントのBtoCサイト「メイクル」もオープンして、そこでオリジナル品の販売を行っています。
この初心者マークなど自動車用のマグネットシールもそこで売っているものです。


マグネットシールをカッティングプロッタでカット

 

B2BからB2Cへ

――オーダーグッズに加えて、自社のオリジナルグッズも販売するんですね
自社のブランドを持つことは重要です。
これまで、当社は看板を作っても、のぼりを作っても名前が表に出ることはありませんでしたが、自社製品であればうちの名前を知ったうえで、評価いただけます。

――さらにDTFシステムも導入されたと聞きました
イメージ・マジックさんの「TransJet DTTS-600」を今年導入しました。まだ、テストをしている段階で、本稼働はこれからですが、これも楽しみなマシンです。
当初は品質が安定しない時期もありましたが、DTF専用インクが真空パック化され、これは解消されました。今はオペレーターがさまざまな実験をしています。
第3工場のそばに建物を借り、今後そこがDTFの工場になる予定です。


導入された「TransJet DTTS-600」

――今後はどのような展望をお持ちでしょうか
従来のサインやディスプレイ、のぼりなどの生産を維持しながら、Tシャツやグッズのプリントも増やしていこうと思っています。「ここまでしかやらない」ではなく「ここまでやるのか」と言われるような領域の広い会社を目指します。
また、単なる製造業ではなく、名前も知っていただけるメーカーになりたいので、マーケティングも学び、これを実行していきたいと思っています。
皆様の目に、当社の商品が止まるようがんばっていきたいです。

メイクル
https://makel.jp/

和光プロセス
https://wakopro.jp/

 

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