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【工夫と創造この企業】エクセル・タムの新サービス「Original Factory」とは!? 田形弘一社長と沖田彬リーダーに聞く


【2022年4月3日】エクセル・タム(埼玉県草加市)は今年2月、写真やデザインデータをアップするだけで、オリジナルグッズ・ノベルティが1個から制作できる新サービス「Original Factory(オリジナル・ファクトリー)」をリリースした。
運営元のエクセル・タムは、オーダーや試作品など特殊印刷に特化した会社で、その技術でグッズ制作も行う。年間30万個の制作実績があり、品質などは高い評価を得ている。

今回は同社の田形弘一社長と、同社の川口工場オンデマンド事業部 受注管理課(Original Factory担当)の沖田彬リーダーに話を聞いた。


エクセル・タム田形弘一社長

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特殊印刷~デジタル印刷へ

――貴社の成り立ちを教えてください
田形 1974年、田形製作所の名前で創業した特殊印刷の会社です。
もともとパット印刷を得意としています。パット印刷はタンポ印刷などとも呼ばれ、版からゴムやシリコーンなどでできた転写体にインキを移し、そこから印刷したいものへインキを載せるという印刷方式です。
やわらかい転写体を使うことで、凹凸や曲面のあるものへの印刷が可能です。ゴルフボールやボールペンなどへ印刷されたものを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
一部では、美少女フィギュアの顔パーツなどでも利用されています。

――デジタルプリントのお仕事のイメージでした。それはいつからですか?
田形 1990年代後半に、パット印刷の仕事から派生して、屋外広告の業界へ参入し、日本初の熱転写プリンタの導入を行うなど、デジタルプリンタを活用した事業を始めました。
大型出力幕や大判のポスターの出力を得意とし、今でも主力の事業としています。
得意先はアミューズメントや飲食店などさまざまで、これらの得意先の成長とともにデジタル部門を伸ばしてきました。

――オーダーグッズビジネスの仕事へはどのように参入されましたか?
田形 当社が得意とする印刷方法に真空昇華転写があります、これはPETフィルムにインクジェットプリンターで印刷し、それに熱を加えフィルムを柔らかくしたところ真空にしてインクのみを転写してプリントします。曲面成形品に後からきれいに印刷できるのです。
スマホケースの生産で、この技術が非常にハマりまして、iPhone4くらいから本格的にスマホケースのプリントを始めて、量産品の下請けや、キャリアのイベント用のプレミアム品の生産を行ってきました。販社さんからデザインを提供してもらって、だいたい1種100個くらいで数千個、多い時には数万個を生産しています。

――大量品という感じですが「Original Factory」では1個でも受注しますよね
田形 もちろん、当時から作る方はその気になれば1個からできたのですが、この当時は中量から大量品を主につくっていましたね。
展示会などでは、やはり1個からつくれないかという声をいただいていましたし、その後アマゾンや楽天などのネット経由でオリジナルデザインを1点から買いたいという人が増え始めました。
そして5年前、ものづくりサイト作りたいと考え、計画を始めました。

2月にオープンした「Original Factory」

――現在の事業の形になっていったのはどういった経緯でしょうか?
田形 まずは当社をIT関係の業者さんが見つけてくれて、オリジナルスマホケースの受注生産を始めました。それが「オリジナルケースファクトリー」という通販サイトです。
その会社は最初、九州の工場で生産していたのですが、距離的な問題などから、当社に生産を移していただきました。先方は集客が得意ですが、生産に関してはあまり上手ではない、当社はその逆で生産設備はありますが、ネットでの集客についてはあまり知らなかったのです。そこで両社がコラボレーションして、通販サイトを運営していうことになったのです。

最初は配送業務をせずに、できた商品を倉庫に送って、そこから出荷をしていましたが、配送システムまで当社が取り込んで行うようになり、徐々に印刷し、箱詰めし、配送するまでを行うようになりました。
最後にその会社がスマホケース事業から撤退することとなり「貴社にお任せしたい」と商圏を譲り受けることになりました。

――ある意味、理想的な参入の方法ですね
田形 これ以外にも、大手D2Cのグッズプリントを請け負うなどでさまざまな形で勉強をしながら、今回のサービスの開発に至ります。

――では、もともとあったシステムを流用して「Original Factory」を構築したイメージでしょうか
田形 いいえ。従来のシステムは、BtoBが中心で、当社が作成し販売したい形にならなかったので、フルスクラッチで作り直しました。
ちょうど「ものづくり補助金」の申請が通り、これを活用しました。「Original Factory」は、BtoB専用システムから引っ越したものです。

――具体的に何が違うのでしょうか
田形 BtoBはある程度の個数をつくりこれを箱詰めして、企業に送るというものですが、当社のシステムでは、個人ユーザーの1個の注文でも、スムーズに生産し、梱包して送り状をつけて配送できます。
これをスムーズにできる会社は意外に少ないのです。

――今回のサイトでは、スマホケースだけでなく他のアイテムもありますね。メイン商材は?
田形 スマホケースのほか、クッションやハンドタオル、Tシャツ、マグカップ、スマホリング、クリアマルチケースなどがあり、これから徐々に増やしていこうと思っています。

――今後、どういったアイテムを追加しますか
田形 どの会社もそうですが、製作に得意不得意があるので、まずは当社の得意な分野からラインアップを増やしていこうと思っています。
アクリル関連のプリント物から始めて、布系のものなどになるかと思います。
これはまったく構想段階ですが、フードプリントサービスなど「消えものギフト」もやってみたいですね。

――これだけのシステムをつくるのは大変だったのでは、それも1点からユーザーに配送するには工場も工程を見直さないとできないはずです
田形 アッセンブリや生産管理システムなどは、非常にお金と時間をかけて見直しました。
ここからはシステム開発や工場の工程見直しを行った沖田にも説明してもらいます。


Original Factory担当の沖田彬リーダー

沖田 システム作りもそうですが、工場内は何年もかけてかなり見直しました。
配送の品質や対応の品質、そしてそれらを支えるトレーサビリティーなどを向上してきました。工場内にはカメラも設置し、トラブルの原因なども精査できるようにしています。
今の体制であれば、どのようなものでも対応できると思っています。

――そうは言っても、1点モノを個人に送るというのは、かなり難易度が高いように思います
沖田 以前は1点注文があるとそれを書面で1個ずつ管理していました。しかし、今は注文をCVSデータ化し一気に流し込んで管理しています。
基本的には注文をいただいた場合に、自動で面付けし、素材や配送方法まで、すべての注文の内容がバーコードで紐づけされているので、わからなければバーコードを読み込み、タブレットを見てその指示に従います。1000件の異なるデザインが来れば、すべてを間違わずに出荷する自信があります。
当社の場合は、一社完結なので目が行き届いて管理もしやすいと感じます。

――他社にないシステムの特徴などは?
沖田 ギフト機能が充実しています。一般的なオーダーグッズビジネス系サイトの場合、パッケージングやギフト仕様にできないケース多いのですが、当社では豊富なラッピングから選んで送れます。また、贈答品として熨斗(のし)の想定もあるんです。
さらに中身に合わせたオリジナルパッケージのデザインも可能で、もともと印刷業である強みを生かしています。

――サイトでは少量品だけでなく、中量から大量品にも対応できるそうですね
田形 自分でデザインした商品をお店やネットで販売したいという、個人オーナーやデザイナー、クリエイターの方に便利なサービスです。
商品をつくるだけでなく、袋や台紙、説明書、クーポンなど用意し、これを梱包し売れる状態にするアッセンブリはもちろん、直接お客様へ配送できるので、売り手はデザインを待つだけでよいという特長もあります。

沖田 ハンドメイドに近い、超小規模生産の市場が、日増しに拡大しているので、そういったクリエイターやショップオーナーの方のブランディングのひと手間をなくすお手伝いをできると思っています。
一般の方が、商品を販売したいという場合には、複数の業者に印刷物やパッケージを発注しなければならず、大量につくらなければならないため高額な費用が掛かることがほとんどでした。そういった方にこれを利用していただきたいですね。
また、ブランドオーナー名義で、注文した人に当社から直接発送することも可能です。

――販売する場所まで提供されるのですか?
田形 いいえ。そういったネット上のモールは「BASE」や「Shopify」などもあり、集客という点で大量に宣伝費をかけているので、当社が売り場を持っても太刀打ちできません。お店はそういったところで出していただければいいと考えており、当社ではそういったモールとの連携システムを提供しようと思っています。

――今後、こういったサービスはどのように発展していくでしょう。また貴社の展望は?
田形 さまざまな得意分野を持った印刷会社が集まり、その連携が進むと考えますし、当社もその中に参加していきたいと思っています。
また、印刷会社がこういったサービスを展開しているということを一般の方にも知っていただきたいですね。
当社も世の中に求められていくように情報発信していき、さらにシステム開発と商品開発に力を入れていきたいと考えています。

Original Factory
https://original-factory.jp/

 


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