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【この人に聞きたい!】コスモメディアサービス 澤田真一 社長 印刷通販をアプリで手軽に 社内システム使用し他社との連携も模索

【2016年1月8日】印刷ネット通販のコスモメディアサービスは、名刺やシールなどの印刷通販を行っている。特にiPhoneアプリからシールが作れる「みんなのシール」や名刺作成ができる「みんなの名刺」は、多くの利用者がおり、売り上げを伸ばしている。週刊アスキーの「iPhoneアプリが勢揃い! 2015年アクセスランキングTOP30」という記事でも「みんなのシール」がランク入りするなど評価も高い。
印刷通販ではBtoBの取り引きが大半を占めるが、アプリで生活者を取り込むという試みで、顧客層を拡大した同社。澤田真一社長にアプリ導入の経緯や今後の展開について話を聞いた。

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印刷通販をアプリで提供しようと考えたのは
小さな会社が「印刷を頼もう」と思った際に今までは敷居が高かった部分を低くできるという点で、ネットは優れたツールです。
一般の人が印刷会社に頼むというのは確実にある市場なのですが、意外にハードルが高くて、そのハードルの前で皆さんストップしていたのです。私自身も実家が小さな飲食店でしたが、両親はチラシを頼むとなると尻込みするという経験をしていたことを覚えています。
これまで意識していなかった人が「少量でも印刷できる」という事実を知ることが本当に重要です。これを広めていくためのツールの一つとしてアプリは優れていると感じています。

印刷とアプリの相性は意外にいい?
アプリは、ネット経由で量が少ない印刷の仕事をたくさん集めていくには向いていると思います。こういった仕事は大手印刷会社では手がけづらい部分であり、当社のような小さな会社が事業化する方がスムーズと感じています。

アプリから印刷することによってクリエイティブオートメーションのようなことが可能になるとも思っています。
ただ、現状ではハードルは高い状態ですね。印刷を必要とする人が「こういったものを作りたい」と考えることすら今の状態では難しいと思います。テンプレートがあり、そこに当てはめるだけでもやったことのない方には難しいものです。

当社が手掛けている名刺やシールは、機能を限定してこのハードルが低くし、作りたいものを想像しやすいようにしています。
それでも、難しいとの声があるので、最終的には心理学的な知見を入れて、ユーザーに「あなたにおすすめのデザインはこれです」と言ってしまうようなシステムがいいのかもしれません。

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バージョンアップでデコフレームが増えた「みんなのシール」


アプリはどのくらいの数がダウンロードされているのですか

「みんなのシール」で8万、「みんなの名刺」で14万ダウンロードをいただいています。
ロングスパンでコンスタントにダウンロードされ続けており、モノの売買でマネタイズ(収益化)できています。IT企業の方からもこのようなアプリというのは他にないと言われました。

もともと貴社はシールと名刺印刷が中心の会社だったのですか
当社は10年前までは商業印刷が中心で、主にチラシを作っていました。
しかし結局、チラシはほとんど価格だけの世界です。一生懸命、外回りでお客さんの所を飛び回っても、出てくるのは値段の話。営業をしても出入りの雑用係という扱いでした。
先細りも見えていましたし「これではいけない」と思い、シールと名刺を中心とした今の業態へ転換していったのです。

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年賀状シーズンにはシールの需要が高まるという
現在、チラシの取り扱いは
ほとんどありません。

かなり、大きな転換をされたのですね。転換のポイントは
そこはドラスティックに変えていきました。
われわれが持っている技術をしっかりと形にし、商品化していくことを考えて事業転換しました。「こんな印刷機があるけどどうですか」ではなくて、当社はこの商品がある、サービスができるというのを明確にお客さまに伝えています。

社内システムも変えていったのですか
印刷通販をするために大きく変えました。
試行錯誤を繰り返しながらでしたが、API(汎用性のある社内自動化システム)を構築していきました。当社の製品はすべてバーコードで管理されており、注文が入ってから出荷するまでをしっかりとシステム上で把握しています。
今では注文が入ってから最速3時間で出荷できる体制を整えています。

BtoBとBtoC両方を展開されていますが、どう伸ばしていかれますか
当社のやり方ではBtoBだけを伸ばしていくのは限界と感じています。ビジネスの分野はしっかりと維持しつつ、コンシューマを伸ばしていきたいです。実際に伸びているのもコンシューマ向けのアプリからの売り上げで、売り上げは二ケタの伸びを示しています。
今はビジネス分野の売り上げの方が大きいですが、将来的にはコンシューマ向けと半々にしていこうと思っています。

では、アプリやパソコンのブラウザで注文しやすくしていくのですね
アプリは「コンシューマ」、パソコンは「ビジネス」と発注の状況が違うので、パソコンの方はある程度のハードルを保ったままにしています。会社の名刺なので、そこそこキチンとしたもの、少し凝ったものを作りたいと思われる方はパソコンを開くでしょう。
逆にアプリはハードルを思いっきり下げて「パソコンを開くのも面倒くさいけど頼みたい」という人が商品を注文できるようにしたいと思っています。

将来の目標などを
小さな印刷会社は、実はそれぞれ特徴的な技術やサービスを持っています。それをしっかり把握して、売り出していければもっとユーザーに訴えかけていけると思うのです。

ただ、古典的な手法でマーケティングなどをしない会社が多いので、それに気づかないのかもしれません。製造業なので必要がない、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが。

当社ではAPIがあり、これを使ってコンシューマの小口注文を難なくさばけるようになりました。このAPIを他社向けに開放して、印刷業界で新たな流れを作ってくこともできるのかな、とは思っています。

 

◆週刊アスキー「個性的でおもしろいiPhoneアプリが勢揃い! 2015年アクセスランキングTOP30」
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/377/377506/

 

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