【2017年2月24日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材展「drupa2016」。
印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。
「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、デジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。
第2回は印刷から後加工に加え、マーケティングまでの提案を始めたコニカミノルタジャパンPPG事業本部PPG事業統括部の大貫満統括部長に「前編」に引き続き話を聞いた。
――新たにショールームを開設されましたね
2016年9月、八王子の工場に新ショールーム「カスタマーエンゲージメントセンター(CEC)」を開設しました。
旗艦機である「KM-1」をはじめ、多くの当社製品を設置しており、デモンストレーションやデータ・用紙に持ち込みによるテスト、サンプルの配布などで、印刷機やアプリケーションを体感できます。
「KM-1」は薄紙から厚紙まで印刷できる非常に使いでがある製品です。現在もさまざまな紙がユーザーから持ち込まれてテストをしています。
印刷会社は機器の導入となれば、大きな投資をするわけです。「KM-1」など大型の製品は、特に高額ですので、全国から多くの方に来ていただき、実機を体感していただけきたいです。
当社もこの施設のオープンにより、デジタル印刷分野でしっかりと事業を展開していくという「やる気」を感じていただけているのではないかと思っています。
――昨年の大きなニュースではフランスにも拠点を設置されました
産業用のデジタル印刷機は、欧米での導入が日本を含めた他の地域より進んでいるのが現状です。
販売や研究の拠点というのはもちろんですが、その導入事例や、ノウハウなどを拠点で収集し、世界に発信していこうということも狙いの一つです。日本でも、得られた事例を紹介していこうとしており、そのための環境を整えました。
――産業分野でのデジタル印刷機普及へ本腰を入れていくという決意が感じられます。現状での課題は
正直言って、悩みはあります。
「KM-1」をはじめデジタル印刷機、デジタル加工機は、まだ導入事例が少ない製品です。このため、事例紹介のようなソリューション営業が本格的にはできていません。
先ほども申しましたように、数千万円から数億円という大きな投資をするユーザーが、その機械を導入後に、「どういう仕事をとってきて、どのくらい回せるか?」ということを、一緒に考え、しっかり伝えていけるように当社が努力しなければならないと感じています。
――販売に対して、このほかの施策は
印刷会社だけでなく、ブランドオーナーの企画担当者やデザイナーなどへ、デジタルプリントの付加価値をPRできればと思っています。
当社ではブランドオーナーや、飲食やサービスなど一般企業の「増販増客」を目指し、「ホンキにさせる販促術」という季刊誌を発行しています。
この中では、当社の製品については一切書かれておらず、チラシや看板、POP、DMなど販促品の成功事例紹介や、さまざまな販促の課題とその対策などを掲載しています。
印刷物は情報の伝達手段から、触って、残したいものへと変化しています。
われわれも「印刷会社のその先のお客様」に儲けていただくことが、将来的に印刷機メーカーの利益になることだと考えており、そこに向けて印刷会社とともに取り組みを続けていきます。
――今後の展望などは
当社の長所はインクジェットヘッドとインクの両方の開発ができ、それを制御するシステムを社内で開発できるところです。
これにより、ユーザーから要求があった時に、比較的早く用紙対応などができるのです。
印刷会社は今後、デジタル印刷機の導入により大きく変わっていくのではないかと思います。
「drupe2016」で示されたプリントソリューションでもわかる通り、印刷の工程が変化し、印刷もスマート工場に変化していくでしょう。
さらにデータの活用など、印刷会社にはマーケティングの要素が求められていくとも感じています。
その変わりゆく印刷業界に、当社の持つ製品の付加価値を活用し、貢献していきたいと考えています。
「シリーズ デジタルプリント」第2回 <コニカミノルタジャパン・前編> 新ブランド「Accurio(アキュリオ)」で産業用印刷に デジタル加飾でも新提案
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