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【年頭所感】セイコーエプソン 代表取締役社長 碓井 稔 よりよい社会へ「なくてはならない会社に」 ~新年挨拶会より

【2017年1月6日】エプソングループは1 月 5 日、新年挨拶会を社員向けに開催した。
セイコーエプソン代表取締役社長碓井稔氏による挨拶内容は、下記の通り。

エプソン 碓井社長
セイコーエプソン 代表取締役社長 碓井 稔

エプソングループの皆さん、明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、英国のブレグジット(EU離脱)や米国の大統領選におけるトランプ氏の当選など、大変波乱に満ちた一年でした。
それに伴いエプソンの業績もマイナスの影響を受けましたが、長期ビジョン「Epson 25」に基づく戦略は着実に進捗いたしました。
また、中長期的な成長に向けて新商品開発や設備投資も順調に進んでいます。
一方、世界経済の先行きは不透明さを増しており、「Epson 25」の取り組みを一層加速させる必要があります。昨年は、長期ビジョン「Epson 25」を制定しましたが、これまで進めてきた取り組みにより、自分たちが目指すイノベーションの方向をだいぶイメージできるようになったのではないでしょうか。

例えば、開発を進めているラインインクジェットプリンターです。レーザープリンターに代わって、インクジェットで圧倒的に快適に、その上、コストを気にせずに印刷できる世界が、現実のものになりつつあります。
加えて、昨年末にはオフィス製紙機「PaperLab」の受注を開始し、紙を使い捨てにする後ろめたさから人々を解放しようとしています。オフィスをもっと快適で環境にやさしいクリエーティブなものにつくり替えていくのです。

また、プロフェッショナルプリンティングにおいても、取り組みが進んでいます。サイネージ領域でのビジネスが軌道に乗り始めましたし、ラベル領域でも産業用の新商品をお客様にお届けできるようになりました。さらに、捺染印刷機メーカーのロブステリ社がエプソングループに加わりました。あらゆる領域でのアナログ印刷をインクジェットでデジタル化する挑戦を、エプソンが主導できる体制が整い始めています。

プロジェクターでも、レーザー光源を用い、はるかに明るくはるかに長寿命になった高光束プロジェクターを市場投入することができました。情報の単なる投写ではなく空間を彩る新たな価値の提供へ飛躍を遂げる大きな契機をつくり出したのです。

このように、私たちは、今までの技術やビジネスモデルの延長線上ではなく、全く異なるビジネスや暮らしのスタイル・価値を生み出そうとしています。これこそが、エプソンの目指すイノベーションです。

 

志を形にする年に

エプソンは、より良い社会の実現に「なくてはならない会社」として、中心的な役割を果たそうとしています。今年は、私たちが志している「より良い社会」を具体的にイメージし、イノベーションをより一層、目に見える形にしていく年にしたいと考えています。

「Epson 25」で掲げる「4つのイノベーション」は、エプソンが強みを発揮できる領域ですし、私たちだからこそ実現できるイノベーションです。私たちがやらなければ他の誰もやることができません。「なくてはならない会社でありたい」という志や情熱は、そのための大きなエネルギーです。

私たちがつくり出そうとしている新しい世界が、どのようなものなのかを具体的に思い描き、皆が共有するゴールに向かって具体的な行動につなげられるようにしなければなりません。そのゴールにたどり着くための目標を各人が自らの目標に分解して設定し、どんなに高い目標であっても協力して乗り越えていかなければならないのです。

しかし、イノベーションを起こして形にするには、一人の志や情熱だけでは実現できません。高い志を持った組織とそれを実現するすべを有する組織力が必要です。これからのイノベーションは、多くの、そして多様なメンバーからなる総合力の結実なのです。これまでの常識やビジネス・暮らしのスタイルをガラリと変えようとするわけですから、技術開発からお客様の手元にお届けし、さらにはそれを支援する機能に至るまで、組織での強力な取り組みが欠かせません。

組織としてイノベーションを起こすためには、まず皆で志を共有し、「誰かがやってくれるだろう」という思いではなく、実現に向けて自らが率先し枠にとらわれない役割を果たすことが重要です。

 

多様性を大切に

さらに組織でイノベーションを起こす上で忘れてはならないことは、多様性の尊重です。一人一人の物の考え方や見方に柔軟性が必要です。多面的な見方をして初めて真の姿をつかむことができます。多くの人の多様な発想や取り組みの切磋琢磨の中からイノベーションは生まれます。
また、多くの人がそれぞれ役割を持ち、互いにその役割を担ってこそ、高い目標を目指すことができます。

イノベーションに挑戦するには、現状の事業が安定していることが大前提です。現状の事業の安定に尽力している人たちの支えがあるからこそ、新しいことに挑戦できるのです。そして、安定を支えている人たちの未来も、イノベーションの成功にかかっているのです。

エプソンには、さまざまな経験や知識を持った多様な人材がいます。多様な人材が、役割に応じて仕事をしていますが、それぞれの仕事や、その仕事に対する思いを理解し、尊重し、しかし、さらなる高みを目指してコンフリクトを恐れることなく切磋琢磨して初めて、英知を結集できるのです。

物事がうまくいき始めると、ややもすると、おごりが出てくるものです。
しかし、一時的な成功に甘んじるのではなく、共に高みを目指そうと志を同じくする仲間に感謝し、私たちが変えようとしている既存のビジネスモデルからさえも謙虚に学ぶことにより、その先に、新しい世界、より良い社会が見えてきます。皆で一致団結してイノベーションを起こし、そして、より良い社会を実現していきましょう。
エプソンの新たな挑戦は始まったばかりです。

今年一年の、皆さんとご家族のご活躍、ご健勝を祈念いたします。エプソンの挑戦を支えるものは、何をおいても皆さんの充実した、そして、幸せな人生です。皆さんがご家族とともに充実した幸福感を実感でき、安心して新しいことに挑戦できる環境を会社としてもしっかりとつくっていきます。
より良い社会の実現には困難が伴いますが、皆で、「なくてはならない会社になる」という志を共有し、協力して乗り越えていきましょう。


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