【2022年2月24日】電通は2月24日、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2021年 日本の広告費」を発表した。
2021年(1~12月)日本の総広告費は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響が下半期にかけて緩和したことに加え、社会のデジタル化が進む中、好調なインターネット広告費の成長に支えられ、通年で二桁増の6兆7,998億円(前年比110.4%)となった。
2021年の総広告費は、通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)となった。
増加の要因は、コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、テレビメディア広告費が回復。インターネット広告費も成長が加速したことで広告市場の成長へつながった。
また、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」「東京2020パラリンピック競技大会」(以下、東京2020オリンピック・パラリンピック)が広告需要を後押しした。
10月以降は、音楽・スポーツイベントやテーマパークなどで徐々に入場制限が解除され、人流や経済が戻ってきたことを受け、多くの広告媒体で回復が鮮明になった。リアルとオンラインをハイブリッドしたイベントも徐々に増加し、リアルイベント自体も感染対策を施される中で開催されるようになった。中でも大型のスポーツイベントの開催は、明るい兆しをもたらした。
インターネット広告費については、1996年からの実績について1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持し、2021年には2兆7,052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回った。
デジタルプリント分野にかかわりの深い「プロモーションメディア広告費」は、1兆6,408億円(前年比97.9%)だった。
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催をはじめ、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンも徐々に再開されたものの、新型コロナの影響は大きく、通年では減少した。
「屋外広告」は2,740億円(前年比100.9%)で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除に伴い、外出自粛が緩和され人流が回復した。出稿控えも全体的に和らぎ、ファッション・医療・エンターテインメントなどの業種を中心に広告需要が回復した。
長期看板は、繁華街に設置された大型媒体では需要があったが、それ以外の媒体では鈍い状況が続いた。
短期看板や短期ネットワーク看板、屋外ビジョンは、繁華街において大型で目立つインパクト型OOH媒体に需要が集中し、増加した。特に、3Dコンテンツ放映が話題となった。
「交通広告」は1,346億円(前年比85.8%)と大幅に減少。鉄道は、ポスター、デジタルサイネージともに、ネットワーク系媒体よりも主要駅で人流が多いロケーションに設定された大型で目立つインパクト型OOH媒体に需要が集中した。駅構内は、全体的に減少したものの、全国的に大型デジタルサイネージは前年を上回った。
「折込」は2,631億円(前年比104.2%)と増加した。巣ごもりや在宅需要を後押しする媒体として活用され、主要都市圏を中心に増加し、前年を上回った。
「DM(ダイレクト・メール)」は3,446億円(前年比104.7%)と、新型コロナの影響が大きかった前年から回復し、増加した。
リモートワークの普及とリアルでの対面営業が難しくなったことを受け、保険営業などを中心にDMを積極活用するケースが増加した。また、デジタルマーケティングと連動したパーソナライズDMもさらに広く活用された。
全日本DM大賞グランプリの「大企業に響いた 2 つの”スタサプ ENGLISH”DM」
「フリーペーパー」は1,442億円(前年比93.7%)と減少。前年に続き、新型コロナの影響や、一部発行紙の休刊、エリア統合、発行号の削減などを受けた。特に駅などに設置するタイプは前年に続き減少した。
「POP」は1,573億円(前年比94.9%)と、前年に続き各種集客イベントや店頭販促プロモーションが自粛となり、メーカー販促ツールの導入も見送られるなど、POP(店頭販促物)の減少につながった。
「イベント・展示・映像ほか」も3,230億円(前年比93.0%)とコロナ禍による影響が継続し、前年を大幅に下回った。
印刷分野に関連の深い「新聞広告費」は3,815億円(前年比103.4%)で、新型コロナによる影響は継続したものの、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、第49回衆議院議員総選挙などにより、通年では増加となった。
同じく「雑誌広告費」は1,224億円(前年比100.1%)だが、紙の出版物推定販売金額は、前年比98.7%と17年連続のマイナスとなった。ただ、その減少幅は2020年同様に小さかった。
なお、紙と電子出版を合わせた「出版市場全体」は同103.6%となり、3年連続で前年を上回った。(数字出典:出版月報2022年1月号)
インターネット広告の中でも「新聞デジタル」213億円(同123.1%)や「雑誌デジタル」 580億円 (同130.0%)が増加しており、印刷コンテンツだったものがデジタルコンテンツとして、再活用され広告費を稼ぎ出すケースも増えてきている。
このほか「日本の広告費」市場には含まれない広告として、「商業印刷市場」1兆7,800億円(前年比101.7%)、「ポスティング市場」1,283億円(前年比111.0%)、「DM制作関連市場」1,071億円(前年比101.7%)と、巣ごもり、在宅ワークの増加で、家まで届けられる印刷物の需要が高まっている。
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