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【この人に聞きたい!】「生茶」をリニューアルし売上144%に! その秘密とは!?  キリンビバレッジマーケティング本部 水上寛子主任・後編

【2018年7月13日】「キリン 生茶」は「お茶にも生があったんだ。」というキャッチコピーで2000年に発売され、新しい本格緑茶として大ヒット。一時シェアが落ちたが、2016年にリニューアルし、これによって売り上げも大幅にアップし、ブランドリニューアルの成功例としてさまざまな業界から注目されている。

前編ではDRAFTとの協力で、ボトルをガラス瓶のような形状にした開発当時の状況を聞いた。
後編ではいよいよパッケージデザインから、リニューアル後の反響までを、引き続き、インハウスデザイナーとして、リニューアルを担当したキリンビバレッジ マーケティング本部マーケティング部 商品担当水上寛子主任に話を聞く。

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「あれもこれも」を入れないデザインに

――パッケージ、ラベルも開発中にものすごく変遷したそうですね。どのあたりが苦労しましたか
特に難しかったのは色です。リニューアルした生茶は液色がとても濃いので、「ガラス瓶のような透け感」を実現しようとすると、「液色をひろってしまい、なかなか思うような色にならない」という課題がありました。
色やインクで隠蔽していければ、発色はよくなるのですが、今度は透け感がでない。
印刷業の方がたくさん読んでおられるそうなので、印刷寄りの言葉で言いますと(笑)、版やインクの調整、さじ加減が大変でした。私がインキの色の配合までお聞きし、細かく調整をお願いし、ここでも試行錯誤が続きました。

生茶 ボトル

――以前の生茶からデザイン自体、がらりとイメージチェンジしましたよね。変わり過ぎることで心配はなかったですか
「これまで育ててきた生茶ブランドのイメージと遠くなってしまうのではないか」という懸念は少しありましたが、
シェアが落ちて、このまま再生しなければブランドはなくなってしまうという、ある意味追い込まれていた状態だったため、かなり振り切ったことができたと思います。

生茶 ボトル
リニューアル以前の生茶

――残すものなどは考えなかったのですか
もちろん、ブランド資産の何を残すかということは、考えました。
「生茶」 のロゴの印象は今までのイメージを少し残しています。

われわれメーカー側は、作り手として、これもあれもと説明的なことをパッケージに入れたいとつい思ってしまう傾向があります。今回は、中味で勝負し、茶葉の生命力を表現した緑一色、
パッケージに入れるコピーワードも極力少なくした、シンプルさで、新しい「生茶」は表現しました。

 

リニューアル後は売上約1.5倍に

――お茶を飲むシーンが変化しそうなカッコよさですよね
まさにそれは意図したところで、「緑茶の飲み方や、緑茶を飲むシーンを変えたい」という思いがありました。
昔からあるトラディショナルな「着物」や「急須」といった緑茶のイメージから、持ち歩きたくなって、現代の日常生活における新しい緑茶のシーンを作りたい。少し心が豊かになって上質な生活にしてくれる、「嗜好飲料」にしたい、と思っておりました。

――リニューアル後の売り上げは
おかげさまで2016年のリニューアル直後は、発売2カ月で500万箱を発売し、前年同期比190%を記録しました。リニューアルから1年間も2620万箱、前年比144%の出荷数となりました。
緑茶カテゴリー以外からの流入も多かったです。ヒット商品番付の上位にランクされたり、「日本パッケージデザイン大賞2017」一般飲料部門で金賞をいただくなど、大変うれしい評価もいただきました。

左軸:生茶販売数量/単位:ケース/右軸:生茶前年比、清涼飲料緑茶市場前年比
出典:食品マーケティング研究所

 

――2017年、2018年とさらにリニューアルしていますね
2017年は微妙な色調整だけを行いました。
他社の緑茶飲料もパッケージを変更してきたということもあり
2018年は、ブランドとしてさらに進化させるべく刷新しています。
「生茶」のパッケージデザインの価値は、ガラス瓶のようなボトルシルエット、印象的な緑色だと思っています。このボトルシルエットがより際立つような帯状のデザインを加えて、よりシンプルで洗練された印象になるようなリニューアルをしました。

――最後に「生茶」を飲んでいただいている方たち、デザインが好きという方たちに一言
「生茶」は、緑茶好きな人だけでなく、こだわりのある人や日常を丁寧に暮らしている人にも受け入れていただきたいと考えています。シンプルで持ち歩きたくなるようなパッケージデザインはもちろん、うまみのある生茶の味わいを色々なシーンで楽しんでいただけると嬉しいです。

緑茶飲料では「生茶」はチャレンジャーなので、さらに進化をしていきたいと思っています。これからも「生茶」をよろしくお願いいします。

 

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