【2023年7月27日】プラザクリエイトは昨年11月、東京渋谷区にカフェをオープンした。
カフェの名前は「HATTO COFEEE」で「HATTO CREATIVE PLAZA(ハット クリエイティブ プラザ)」内にあり、併設のプリント工房には日本初導入となるイスラエル製のガーメント(衣料)プリンタが設置されている。
アパレルファクトリーとカフェが融合した新拠点で、カフェスペースは約77.8㎡、展示会やポップアップなどのイベントスペースにも適した施設だ。
設置されたプリンタは「KORNIT Atlas MAX(アトラスマックス)」。Tシャツなどへのプリントをはじめ、刺繍風のプリントに対応したハイエンドマシンだ。
今回はプラザクリエイトで「HATTO CREATIVE PLAZA」を管理するソウゾウ事業本部新規事業部カフェアパレルGの宮川貴彦(みやかわたかひこ)氏に話を聞いた。
――まず施設のことを聞く前に宮川さんの経歴をお教えください
最初に量販のアパレルに勤務し、その後国内外のOEM生産をしていました。また国内に自社工場もあり縫製工場の仕事もしていました。
そこから、今の会社に興味を持ちこの仕事をしています。
――そのプラザクリエイトのソウゾウ事業本部は、どのような活動をされていますか
もともと、プラザクリエイトは写真やプリントの技術を中心にものづくりをする会社です。
ソウゾウ事業本部はその名の通り、新たな事業を創造する部署で、玩具「DIYクラフトキット」や、「One‐Bo」という個室ワークブースの開発と販売、グランピングの事業もしています。
私は、その中のアパレル系事業部に所属しています。
――「HATTO CREATIVE PLAZA」のオープンの趣旨は
プラザクリエイトという名前の通り、「みんなが集まってつながりを感じられる場所を提供する」というのが当社の理念です。
かつて当社が立ち上げ、現在は売却している「カフェ・ド・クリエ」も、主業であった写真現像の時間の合間、1時間ほどの間、お隣のカフェでコーヒーを飲みながらゆっくりしてください、そこで何か生まれればという目的でつくったものです。
――なるほど!もともとカフェのノウハウもあったわけですね。ところでカフェにはどのようなお客様が来ていますか
やはり立地からアパレル関連のお客様が多いです。もちろんそれを狙ってこの場所にしたのですが、その点はぴったりでした。
画廊などのアート関連のお店もあり、デザイナーさんも多い地域。あとは大使館が多く、外国の方も多いですね。
この辺りは意外にカフェが少なく、あってもちょっと敷居が高いようなお店が多いんです。コーヒー1杯1200円とか…。
うちはコーヒーが500円前後からで、コンセントも各テーブルで利用できるので、パソコンを開いて仕事をしている方や、商談をしているお客さんが多いです。
ですから、そういった方が集まって、このプリンタを使っていくという動きにつながっていけばいいと思っていました。
――工場を併設する形ですが、プリントの仕事はどのようなものが多いですか
一般的なTシャツプリントの仕事がほとんどです。販促用であったり、販売用のグッズであったりさまざまです。今日は野球関係のグッズをプリントしています。
――3月には「ファッションビジネス学会デジタルテキスタイル研究部会」の講演に登壇されました。私もそれを聴いて取材させていただきたくなったのですが、在庫のアップサイクルやクラウドを使ったビジネスの話が中心でしたね
あの時は、会場には技術屋さんが多かったので、私などが技術の提案をしても仕方がないと考えました。その技術を使って、どうやってビジネスを立ち上げていくのかというところの方が大事ではないかと思ってお話をさせていただきました。
――技術や機械が、直接ビジネスにつながりづらいという話はよく聞きます
そうですね。技術や機械開発では大変いいものを出しているけれど、これがビジネスにクロスしない。特に大きな会社では、企画や開発と営業がそれぞれ別のことを考えていて、これがなかなか融合して進んでいかないという話も聞きます。ビジネスにつながらなければ、やはり趣味で終わってしまうと思うので、そこを何とかしたいというのが私たちの思いでもあります。
「HATTO CREATIVE PLAZA」もそこを解消していくことが目的です。
――貴社にTシャツを注文するお客様の方はどのようなことを望んでいるのでしょう
まずはコスト、次にスピード、その次に品質という感じです。
ただ、我々はそこにコストだけではない「作る楽しみ」や「作ることの良さ」を提供できればと考えています。
「KORNIT Atlas MAX」はこれを可能にするプリンタだと思っています。まあ、まあそれにしてもハイスペックすぎて、まだまだやれることに対して持て余している感じではありますが(笑)。
例えば、このプリンタは表面を盛り上げるプリントが可能で、今は「点字プリント」というサービスを展開しています。Tシャツなどの布製品に点字の盛り上げプリントが可能です。
ただこれもサービスで開けを見せてしまうと、次につながらない「点」となってしまうので、「その機能がありますよ」と紹介するのではなく、ブランディングし、「こう使える、こういう楽しみがある」というのをお知らせし、「点」を「線」にしていきたいですね。
――今後、この「HATTO CREATIVE PLAZA」を使ってどんなことをしていきたいですか
そうですね。先ほど楽しみをお知らせしたいといいましたが、貸し切りイベントやアーティストとのコラボレーションなどは可能かと思います。
海外からくる方も多いのでそういった方向けにAIで家紋を自動生成してプリントするといったことも面白いかもしれませんね。
ここを使ってさらに外への広がりを持ったビジネスとなるように、メッセージを発信しながら社会性やメッセージ性がるものつくっていきたいです。
我々だけで考えても大きな広がりがないので、お客様に使っていただきながら、アイデアを出していただき、ものづくりの場所を提供していければと思っています。
HATTO CREATIVE PLAZA
https://hatto.tokyo/
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