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【この人に聞きたい!】ロッテ パッケージ企画チーム 柴田由華さん②  ダミー作成は100個以上!! 製造から捨てるまで使う人の立場で考える包装とは?

この人に聞きたい!その①「『パッケージのひみつ』ってなあに!?」に引き続き、ロッテ パッケージ・デザイン企画部パッケージ企画チームの柴田由華さんに話を聞いた。柴田さんは今年4月、同社のホームページで「パッケージのひみつ」というコーナーを広報・宣伝部の協力のもと、開設した。同社製品のパッケージに関して、その特徴や新機能などを丁寧に説明している。
その②ではについて話を聞いた。

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――普段のお仕事に関して質問します。パッケージの開発や変更にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか
商品によって異なりますが、まっさらな状態からつくれば年単位ということもあります。よくできた!と思って商品化してみてから、不満点に気付くこともありました。
ですから、どこが始まりでどこが終わりかというのも難しく、スタッフ全員が毎日、パッケージの改良を考えていると言っても過言ではありません。

――どんな風にパッケージを作っていくのでしょう
商品によりさまざまですが、まずは白ダミーといって、ボール紙を切り、折り曲げた白い箱をつくるところから始まります。

――パソコン上でアイデアを作っているのでは?
そう思われがちですが、パッケージに関しては置かれたたたずまいや、手に取った時の感触、封を切ったときの感触の違いなどもあるのでハンドメイドで作ってみるのが一番なのです。まず、10個ほど少しずつ異なるダミーを作成し、そこから選んでいくという作業を繰り返します。作っては意見をもらい、作り直しをする。これを繰り返していくと一つの商品を作り上げるまでに100個以上のダミーを作成することになります。

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――代表的な改良の事例を教えてください
「コアラのマーチ」の箱の開け口についてお話しますと、発売当時は片側からあける形でした。その後、両側から開けられるように開け口の太さなどを変更しました。さらに検討していくと、開けるときに途中でちぎれてしまう、ふたが壊れてしまうなどの声があり、改良を重ねました。現在の商品は、開け口をアーチ型に変更しまして「スパッ」という感じで、きれいに、気持ちよく開けることができます。

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左が改良後。切り取り線が太いアーチ状になっている

――パッケージをデザインするときにどのようなことに気を遣っていますか
まずは安全であることが第一です。箱で手を切ってしまうようなものは作りません。表示も見やすいように書体にも気を遣っています。
そして、製造から輸送、陳列、手に取っていただき、開封、保管のためのリクローズ、最後は捨てるところまで、気持ちよく使っていただけることを心に留めて作っています。
そこではあらゆることを想定しなければなりません。想定しつくしたつもりでも、お客さまの生活シーンによっては、我々が考え付かないような開け方や食べ方があるので、常に勉強しなければと思っています。

――印刷や紙器の会社ともつながりがあると思いますが、要望などはありますか
100円、200円といった手ごろな価格のお菓子を販売しているので、あまり高価な資材は使うことができません。安価でかっこいい紙やフィルムなどの資材があったら教えていただきたいですね。

――今後の目標は
人にやさしく、使っていただく方の立場に立ったパッケージを作り、それを「パッケージのひみつ」を通じて発信していきたいなと思っています。

記者の目
どんなにおいしい商品でもパッケージが開けづらかったり、手が汚れてしまったり、保管しづらかったりすると「二度と買わない」と思ってしまうだろう。また、どんなにおいしくても見た目でアピールしなければ、人の手に取ってもらえず売れ残りとなる。
パッケージはまさに商品の顔であり、送り出す企業の人となりを表すものだ。
柴田さんのインタビューを通して、縁の下の力持ち的な見えづらいパッケージの便利さをうまくアピールしていく取り組みが重要だと気づかされた。
他の縁の下の力持ちたちも、もっと声を出して、ユーザーに発信すべきだろうと感じる。

※画像の一部はロッテサイト「パッケージのひみつ」から転用させていただきました

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