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【工夫と創造この企業】紙製食器「beak(ビーク)」を開発 A4用紙1枚が皿に!カップに! 奥村印刷 山田秀生取締役役執行役員

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【2022年6月23日】奥村印刷は東京都北区にある印刷会社。1947年創業でカタログやチラシ、パンフレット、名刺印刷などの商業印刷や出版印刷に加え、近年はデジタル印刷のシステム構築などでも知られている。

その印刷会社が昨年、紙製食器「beak(ビーク)」を開発した。
紙製食器は紙カップや紙皿などがこれまでもあったが、「beak」はA4用紙1枚の大きさから、その場で折って食器を作れるという「ありそうでなかった特性」を持つ。これらが注目され、開発してすぐにテレビ番組に取り上げられるなど、幸先のいいスタートを切っている。
今回は開発した奥村印刷の山田秀生取締役役執行役員に話を聞いた。

 

A4用紙1枚だからできること

――「beak」は素晴らしい商品ですね。いつくらいから企画を始められたのでしょうか
去年の3月に開発を始めました。

――そのきっかけは
その時、ちょうど地震多く、この先、大地震や台風、洪水などの災害が発生した時に避難所で使用できる紙容器を開発しようと考えたのです。

――発想から完成まではどのくらいかかりましたか
形になるまでは2~3週間ですね。
カッティングプロッターで試作を繰り返し原形ができ、その後も試作を繰り返しながら改良し今の形になりました。

――今までも紙コップや紙皿はありました。それらとの違いは?
それらの紙食器は、立体なので保管する際、意外と場所を食うんです。保管しておくのに段ボールを何箱も並べて、倉庫の場所を占領してしまいます。置いておけない施設も多く、そういった場合は、災害の時に別の場所から運び入れるといった手間が必要になるのです。

――そこで「A4用紙1枚」で、食器ができる形にしたのですね
はい。
A4用紙1枚のサイズであれば重ねておいておけば場所は取りません。
1000人分の食器でもA4用紙なら1000枚で済みます。厚みは100枚4.5㎝なので、これなら災害が起こっても、すぐヘリに積んで大量に送れます。
しっかり包装しておけば、劣化もせず、清潔に容器として使えるのです。

このサイズ、ランドセルにも入るんですよ。だから、子供たちランドセルの中に入れておけば、突然の災害や帰宅困難時など、いざという時に役に立ちます。大人も同じで、できるだけ一般的なバッグやリュックに入るサイズを調べてA4サイズを選びました。
さらに、紙なのでそのまま廃棄でき、環境への負荷が少ないことも特長です。

――容器の種類は?
「平皿」と「カップ」「深皿」それらに付属する「スプーン」と「フォーク」で、避難所の食器として最も必要なものをそろえています。
最初はカップと平皿があればいいかと思っていたのですが、「チキンラーメン食べられる深皿があったらいい」という声があり、作ってみました。
また、カップも容量が280mlと市販のインスタントスープを飲むのに支障がないサイズにしています。

――カップは液体が漏れたり、こぼれたりはしないんですか
大丈夫です。
紙を複雑に折り込むことによって、その心配をなくしています。
また、用紙に特殊な耐熱加工をしており、このため熱いものを盛り付けても耐久性に問題はありません。
この耐熱紙は当社が在庫を持っています。

 

折り込むのは日本の伝統

――これらの食器には印刷も可能ですか
すでに印刷がされています。

――それはどこに?
この部分に「①」「②」と番号があり、折り方の指示が書いてあります。この指示と順番どおりに折っていけば、容器の形になるようにしています。
さらに何か印刷したいということであれば、6月1日からは「名入れサービス」を開始しており、企業名や自治体の名前などを印刷するなどで使用いただけます。
ただし、食品衛生法の関係から「口に触れる部分以外への印刷」という条件が付きます。使用しているトナーはRoHSの基準をクリアしており、スプーンの柄や、容器の裏側などであればまったく問題ないものです。

――折り込むという発想はどこから
折り紙ですね。
日本人なら、ほとんどの人が折り紙を折ったことがあるはずです。だからだれが折っても食器の形になるだろう思いました。我々の中にある伝統というか、遺伝子というか、そういったものを信じて作りました。

――実際はどうでしたか?ちゃんと皆さん作れましたか?
はい。防災イベントなどですでに多くの方が容器を作っているのですが、お年寄りも、小学生も手順通りに折っていけば、ちゃんと食器を作れたので安心しました。(笑)
防災安全協会の認定も得ており、その審査の際も審査員の方の食いつき方はありがたいくらいでした。

――気になっていたのですが「beak」という名前はどこから?
容器をがっちりと、液漏れなどがないように折る際に必ず鋭角な折り返し部分ができるのです。これが鳥の嘴(くちばし)に似ていることから、英語で嘴を表す「beak」という名前にしました。

 

紙の良さ広めたい

――発表後の反響はいかがでしたか
業界内では、最初から多くの反響をいただいた上、テレビ東京の看板番組「WBS」の「トレンドたまご」というコーナーに出演させていただき、そこからは一般の問い合わせもいただきました。
すでにいくつもオーダーをいただいています。

――どんなところからのオーダーでしょうか
当初の考え方の通り、防災と相性がいいので、まず損害保険会社からプレミアム品として使用したい発注がありました。

――価格はどのくらいになりますか
大量注文の場合は、数量や印刷の有無などにより異なりますが、小売りの場合は5枚入りで450円前後の予定です。

――特許などは
国内の特許、国際特許を出願済みです。

――今後の目標などはありますか
日本は災害の多い国なので、被災した人たちに少しでも役に立ててもらえるように、この商品を広めていきたいと思っています。
日本人と紙の縁は切っても切れないものです。我々の技術が少しでも社会に貢献できれば、うれしいです。

奥村印刷
https://www.okum.net/

 

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