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【ちょいとコラム】大企業の広報がレベル低下! 「返事も来ない」のはどうして!? リモートワークは「長期休暇」だった

【2022年5月6日】「ここ2年で弱ったもの」と言えば、飲食店や居酒屋、商業施設での物販などが挙げられると思いますが、記者から見て非常に弱っているなあというものが一つあります。
それは「企業の広報機能」です。

 

返事が来ない

リモートワークの推進で、特に大手企業は出社の人数を半分や3割程度に絞り、ほとんどの社員が週1回程度しか出社しないというケースが増えています。
その中で、企業の広報も自社の記者発表や製品発表などがない限り、集まって仕事をするということがなくなっているようです。その証拠に、広報の番号に電話をかけても繋がらず、大代表の受付に回されます。または当番広報社員の携帯電話に転送されます。

この時点で、問い合わせする側からすると工数が1つ2つ増えており、ちょっとストレスなのですが、そこから…
「担当者におつなぎしますが、まずはメールで…」
「当社サイトの連絡フォームからご申請ください」となるのです。
そして以降、連絡が途切れます…。

こんなこともありました。
広告業界の優秀作品を顕彰するコンペティションの最優秀作品に関して取材したいと思い、制作した印刷会社に連絡したところ、「クライアントと一緒に取材対応したいので、確認をとってから連絡します」との電話があったきり、連絡が来ない。
これは「私が担当です」と名乗る人に連絡しているにもかかわらずです(どうしちゃったの?)。

 

途切れるパターンを推測

きっとこんな感じで、連絡が来なくなるのでしょう。
パターン1
①連絡フォームから連絡ください
②連絡フォームに来た取材協力のお願いを広報担当が見る
③誰かがやるだろうと放っておく
④宙ぶらりんになり連絡が来ない

パターン2
①連絡フォームから連絡ください
②連絡フォームに来た取材協力のお願いを広報担当が見る
③上司が〇〇サンやっておいてと投げる
④急ぎでなさそうなので担当が放っておく
⑤上司と顔を合わせないのでチェックがなくそのまま放置

パターン3
①連絡フォームから連絡ください
②連絡フォームに来た取材協力のお願いを、誰も見ていないしチェックもない

パターン4
①担当者から折り返します
②担当者に言うのを忘れる

先ほどの某広告コンペ場合は、さらに「企業広報→別の企業の広報」で連絡がつかなくなり、そのままなのだと思います。
大企業の広報なのに「白ヤギさんと黒ヤギさんのお手紙交換以下」の連絡網になっている印象です。

パターン抽出すればきりがないのですが、とにかく急にリモートワークになり、今まで付せんメモみたいなアナログな方法で連絡していたものが、すべて遠隔またはデジタルな方法となったために混乱や情報の断絶が起こっているのは間違いないでしょう。
そして、再度「取材の件どうなっていますか?」と連絡すると「では、その旨を問い合わせフォームかメールで…」(怒)。

これが大手新聞社やテレビ局からの依頼なら「私が、私が」と担当者がいっぱい現れるのでしょうが、ウチのような小さな媒体の依頼は、誰もやりたがらないのかも…。
しかしです。しかしながら、コロナ以前はこんなに連絡が途切れることはありませんでした。
完全に企業の広報機能は不全に陥っています。

 

広報だけじゃない

広報機能だけではありません。記者が取材した感触から言わせていただきますと、確実に日本の大企業の足腰は弱くなっており、上記のような機能不全が、他の部署でもたくさん起こっていると感じます。

リモートワークは「決まった仕事」を進めるには何の問題もないですし、通勤時間などの無駄が省かれて素晴らしいのですが、新しいことを始めるには向いていません。
新規のプロジェクトや商品づくりなどは、リモートでは非常に難しい。まず新規部署では顔合わせができませんし、チーム作りができない。チームができたとしてもちょっとしたアイデア出しなどは、リモートではよほど工夫しないと難しいと感じます(自分もやって大失敗しています)。
理由は「相手の表情や反応が分かりづらい」「クロストークができない」「仕事以外の交流や雑談が生まれにくい」「上下関係が硬直した会社では会議にすらならない(リモートワーク以前の問題ですが)」など、たくさんあります。

新規のアイデアをドシドシ必要とする米国のGoogleやapple、Amazonなども「一律出社してほしい」という意向を示しています。
一方で、Amazonが一律出社を断念したように、優秀な若者は「リモートワークできない会社には務めたくない」という意識の変化もあります。

そんな変化に戸惑うばかりで、新人教育もまともにできていない会社もあると感じます(リモートのみでの新人教育はほぼ絶望的な結果になるはずです)。

今回のテーマの「広報」もその会社からすれば新規仕事なので滞るのは当然です。
これらの「機能低下」をリモートワークに移行するなら、仕組みを変えていかなければ、ちゃんと組織が動かないというのは間違いありません。そういうものを支援する仕組みの一つが「DX」です。
世の中には、自社がDXのシステムを販売しているのに、未だに「請求書は原本を郵送で」という会社もあります。
正直言ってSDGsや持続可能社会への移行なんて言うのも「掛け声だけ」の会社がほとんどです(この話は、また別の機会でしましょう…)。

 

リモートワークも、広報機能がまともじゃない現状を見ると、その名を借りた「長期休暇」になっているのではないでしょうか。
取材できないものストレスですが、それ以上に日本の企業が心配。このままだと重大な機能不全から、とんでもない事故が起きそうです。
ホントしっかりしろ!日本の大企業!

※ウチからも連絡が途切れていて「おまえもしっかりしろ!」という方はこっそり連絡ください

 

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