【2017年11月24日】日本印刷産業連合会(日印産連)は11月20日、東京都千代田区の学士会館で「2017グリーンプリンティング(GP)認定制度表彰式」「第1回『印刷と私』エッセイ・作文コンテスト表彰式」の表彰式を開催した。
既報「GP認定制度」「『印刷と私』エッセイ・作文コンテスト」の表彰式 小山薫堂氏らが授与 日印産連
表彰式終了後には「印刷と私」トークショーとして、グリーンプリンティングPR大使で「くまもん」や「おくりびと」の生みの親として知られる小山薫堂氏と、食の雑誌「dancyu」編集長の植野広生氏が印刷と自分について、その力について語った。
小山 植野さんは校了の最中で、トークショーに来ている場合じゃないんですよね。
植野 まあ寝てないですね。ここ1週間は(笑)。「dancyu」は、プレジデント社が経済紙以外にも何かやろうという時に、ゴルフか飲食と言われて、飲食を選んだんです。まあ、飲食にしてよかった(笑)。
小山 ちなみに「dancyu」を知ってらしゃる方。(3分の1くらい手が上がる)じゃあ、同じ会社の「プレジデント」は?(ほとんどの人の手が上がる)。
お~やっぱりプレジデントすごいですね。
植野 まだまだ拡大の余地があるということですね~これは(笑)。
小山 実は私。「dancyu」で「一食入魂」という連載をしています。
この前「リンガーハットでは、ちゃんぽんか、皿うどんかの答えを探る」という企画で長崎に行きまして、そこが日本の活版印刷発祥の地であることを知りました。
近代印刷がどのように広がったかに思いをはせまして…この話、あまり広がりはないんですが(笑)。
小山 印刷と言えば、一番身近な印刷物で名刺がありますね。私は天草市出身で、市のプロデュースアドバイザーというのをやっているんです。
それで気づいたのが、公務員は名刺が自腹ということ。これびっくりしたんですが…。
植野 保険(の外交)の人と同じですね。あの人たちも全部自腹だったはず。
小山 なんで気づいたかというと、みんなデザインが違うんですよ。理由を聞いたら「自腹」だというんですね。なんか、みんながバラバラに発注しているのって無駄でしょ?
だから印刷代のほかに2000円だけ余計に出してくれたら、私がプロデュースしますと言って、ある名刺を考えたんです。
植野 ほ~。
小山 天草の素朴さを伝えるため、小池アミイゴという画家に、その風景を鉛筆描きで描いてもらうことを考えました。
2000円は名刺一人分のギャラで、小池アミイゴに全部支払われます。さらに彼の飛行機代や宿泊費は私が出しました。
名刺は、この企画に賛同した市の職員だけ、自由参加で注文してもらい、その数だけ絵を描いてもらう。
ここに250人が賛同しまして、アミイゴのギャラは50万円になりました…。
「飛行機代と宿泊費を返してほしい」と言いたかったのですが、私は大人なので言いませんでした(笑)。
植野 本当に大人だったら、「返してほしい」なんて思いもしませんよ(笑)。
小山 …。(場内大爆笑)
小山 え~と。その絵をただ名刺にするだけではなく、市の職員に人気投票してもらい、その上位100枚を使って、プロモーションビデオを制作しています。
これは税金を一切使わず、天草の職員がお金を出して作ったというところにも価値があると思うのです。
――ビデオを放映――
小山 これですが、名刺という印刷物があってこその制作物です。そして名刺を配るとき、この絵を見せて説明するだけで天草のPRになると思うんです。
植野 名刺はちっちゃい自分ですよね。
小山 いい名刺を作ることが、いい人生のポイントだと思いますね~。
植野 そういえば、私も活版で名刺作りましたよ、都内でやってる有名な中村活字さんで。活版って押した感じも微妙に違ってできて、作る人の思いが出るんですよ。印刷って同じように見えて、そういった違いがあるとこもいいですよね。
雑誌の印刷だと、そういうばらつきはマズイのですが(笑)。
小山 印刷といえば「dancyu」って写真にこだわる雑誌ですよね。
植野 そうですね。おいしそうに見えるように気を使っています。
今、写真はデジタルになっているのですが、これが難しい。
昔はフィルムというベースのがあったので、フィルムを基本にどう変えるかでしたが、今はそのベースがないんです。
デジタルデータは「印刷所の方がどう解釈するか」で違ってきてしまう。
小山 植野さんはマグロの赤身が難しいと言っていましたね。
植野 そうですね。赤身の色の出し方はいつも悩みますし、一回も満足したことはないです。
小山 そんなに赤身って難しい?
植野 印刷のテストをするときは、マグロの赤身を出してもらいます。マグロの赤の出具合いで印刷のレベルが分かります。
寿司も、印刷も、マグロの赤身は一番難しい(笑)。
小山 実は今日は皆さんにお願いしたいことがあってやってきました。
私、新しくビジネスを始めます。
植野 また増やすんですか(笑)。
小山 増やします!
それはタイ焼き屋なんですが、天草に子供のころから通っていた「まるきん」というタイ焼き屋さんがありまして、これが今年の夏に廃業しました。
そのタイ焼き屋は、イートインがあり中高生なんか若者が通う店でした。ですから、なくなると若者が商店街からいなくなってしまうんです。だから私が引き継ごうと思いました。
お店の店主に聞くと「家賃は高いよ~」というのです。聞くと1カ月7万円、それが40坪の値段です。
植野 いいじゃない。東京なら1坪の値段ですよ。
小山 そして商店街の協賛費も高いそうで2万円。これは本当にちょっと高いと思ったのですが…(笑)。
「やらせてください」とお願いしました。
実際の店の運営をどうするか考え、幼馴染の友達に連絡すると「会社辞めて、タイ焼き一本でいく」との返事が返ってきました。
ちょっとこれは驚いたのですが、さすがに友達を路頭に迷わすわけにはいかないのでいろいろ考えました。
まずは中のクリームですが、神戸の有名なパティシエから、アンコは裏千家御用達の和菓子店から、ロゴは「くまモン」を作ったグッドデザインカンパニー、そしてビームスの設楽(洋)さんが「とりあえず金出したい」と言ってくれて(笑)、ドリームチームができあがりました。
植野 すごいじゃないですか!
小山 そこで困っているのが、お持ち帰り用の「ビニール袋の印刷」(笑)。
これをやっていただける社長いませんか…(笑)。
もう12月20日に開店なんで、泥縄もいいとこなんですが…。
今は言いづらいかもしれませんので、後でコソっと…。
植野 いい話ですね。全国各地にいろいろなものがあるけど、袋によって、印刷の力で活性化するっていいですね。
小山 そうそう。ハロウィン後、街のごみ集めが大変で、ごみ袋をかわいくしたら、ボランティアが増えたという事例がありましたが、まさにあれは「印刷の力」。
なんか毎年、印刷の力で街をよくする、コンテストをするっていうのはどうです?
アイデアコンテストにして、大賞はそれを実現するとか。
植野 「印刷の力」ってすごくいい言葉ですね。僕らすぐに見出しを考えちゃいますが、「印刷の力でつながる」というなら、こんないいことはないですよね。
小山 いいですね~。ただ、私はいつも言うのですが、現場の熱量がないとダメ。天草の場合もそうですが「やるのは皆さんです」と言ってから始める。アイデアは私が出しますが、やるのは皆さんじゃないとダメなんです。
今後も印刷業界に、どんどんセンタリングを出していきたいので、皆さんで決めていってください。
おわり
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