【2025年1月2日】皆様、明けましておめでとうございます。日頃は全グラの組合活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。当業界の今年の課題について少し述べさせていただきます。
1958年にスーパーマーケットが出現し、インスタントラーメンが発明され、大量生産、大量包装の時代となり流通革命が始まりました。ソフトパッケージでも需要が急拡大した為、フィルム、インキ、PEはじめ印刷機、ラミ、スリット、製袋等々の材料、機械、印刷会社も急激に増加しました。
日本の起業率は1964年東京オリンピックでピークに達しました。結果、供給が需要を上回る状況となり、一つの需要に数社が群がり仕事の取合いになりました。各社の営業マンは必死で数少ない需要めがけて殺到し、価格は崩れていきました。
そしていち早くソフトパッケージにシェアを固めた大手2社と専門の中堅メーカーとの激しい価格競争が展開されていきました。半世紀以上過ぎても一度刷り込まれた価格競争、下を潜って仕事を取るクセは抜けません。
勿論、品質やその他のサービスで価格競争と一線を画す業者も数多くありましたが、A社が安値を出したら、競争心からB社も追随するのはよくあることです。その結果が現状であります。
現在、当業界は設備投資もあまり行われず、印刷機メーカーも受注の半数以上は海外向けです。年間10~20台が国内向けで現在保有する1,500台のグラビア印刷機を入れ替えるのに70年かかる程です。長年の安値競争の弊害からフィルム等の原料業界もソフトパッケージからの撤退を始めました。
諸悪の根源ともいえる大規模流通の徹底的に仕入れ値をカットする商法により「一将功なりて万骨枯る」の古語の通り、サプライヤーの死屍累々という結果になるのは明らかです。
昔陸軍今流通と陳腐なたとえを持ち出すまでもなく、生態系の頂点に立って、私たちサプライヤーに無理を強いていますが、人手不足、少子高齢化はこのシステムを根本的に破壊しつつあります。
1950年代に始まった流通革命、大量仕入れ、コストカットはもう時代遅れではないでしょうか。いつまでも昭和のシステムに流されている人々もそろそろ目を覚まして周囲を見回すチャンスです。そして次世代の人々にしっかりとした遺産‥‥モノではなく、考え方、商法、ノウハウを引き継ぎ、サスティナブルな業界にしていく必要があります。「今だけ金だけ自分だけ」はやめましょう。社員の老齢化が進み、新人の入社が少ない状況です。
今、外国人を雇用できるよう、組合では経産省や入国管理局とも話し合いを重ね、私たちの仕事がサプライチェーンにとって不可欠であるとの認識を頂きました。仮に外国人を雇用できても30年前から上がっていない日本の給料で満足してくれるのか?日本の若者の場合も同様です。定着率の低さは給与とも関係しています。
外国人を多く招き入れることは2050年に人口が1億を大きく割り込んでいく日本にとって、人口減を食い止める策の一つですが、外国人に選ばれる国になろうと入国管理局はそれまでの方針を180度転換しました。当業界も周辺の自治体もこぞって180度転換しなければ、日本も地域も未来はありません。古代中国の例え話に「蝸牛角上の争い」という言葉があります。これは小さなもの同士の争いやつまらない事に拘った争いの事です。私たちは正にそういう競争をしてきたのではありませんか?賢明な会社は長年のお客様にさえ、30%以上の値上げを求めています。また、お客様もそれを理解してくださっている事実をもっと広く知って、サスティナブルを最優先にすべきでしょう。
今年は乙己(きのとみ)の年です。「再生と変化」を意味し、脱皮し、強く成長する蛇は私たちの業界を象徴しているとも言えるのではないでしょうか。
皆様がご健康でご活躍されます事を心より祈念致します。
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