【2016年1月11日】年頭所感代わりに最近のニュースから紙やプリントについて気になったことを一つ。
2014年の国内文具・事務用品市場を矢野経済研究所が発表した。
これによると2014年度の国内文具・事務用品市場は前年度比 0.6%減の 4,662 億円(メーカー出荷金額ベース)とわずかながら減少している。
国内文具・事務用品市場(矢野経済研究所調べ)
同研究所ではこれを「筆記具は引き続き拡大したものの、紙製品、事務用品の落ち込みをカバーするまでには至らず」と分析している。
この分析のとおり、2012 年度以降は、「筆記具」が大きく拡大し市場規模全体を押し上げてきた。要因は「消せるボールペン」「折れない芯のシャープペンシル」「シャープペンシルの芯バリエーションの増加(太さ、色など)」などの高性能、付加機能品が大幅に伸びたことが大きい。
一方で、「紙製品」は5割以上の構成比率を占める「封筒」が消費増税の影響やデジタル化の進展などで2014年は減少している。
確かにビジネスシーンでは見積もり書はほぼメールだし、請求書もメールOKの事業所が増えてきている。消費税が10%になれば、さらに電子化が進むだろう。
このニュースで感じるのは、人がこれまでにない機能や簡便さに弱いということ。消せるボールペン、折れないシャーペン、色付き、太さのバリエーションがあるシャーペンも、これまでにない、もしくはあったが発掘しきれていなかった機能だ。
一方で、封筒を使わなくなったというのも機能の簡便さを求めてのこと。
封筒で輸送してもらうには請求書であれば「プリントアウト」「判子やスタンプを押す」「住所を調べ」「住所記入もしくはプリント」「封筒に入れるために紙を折る」「封をする(糊付けもある)」「切手を買う」「切手を貼る」「郵便ポストに投函」という9つの手順が必要だ(書くだけで疲れる)。
メールであれば「データを添付」「メアドを選択(コピペ)」「いつもの文面を書いて(コピペ含む)」「送信」の3つである。
簡便さでは、封筒を使うパターンは完全に負けている(というか時間と経費の無駄だ)。そのメールですら、簡便な連絡という手段においては「LINE」や「facebook」に置き換わっている。
よく印刷会社の方は「印刷品質が~」と品質の話をするが、ユーザーはそんなに品質を求めているのだろうか。もちろん、「汚い」とか「見えない」とか不良品レベルは当然NGだが、高品質と中品質の差を気にするかどうかは微妙なところだ。
必要なのは「機能」であって、過剰な「品質」ではないという話は、口が酸っぱくなって、耳にタコができるほどずーっと言われていることだが。
もっと言えば、機能によりできる「コト」が求められているのではないだろうか。
プリント&プロモーションでは、そのコト探しを今年も続けていきたい。
参考資料
矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001485
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