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【年頭所感特集】2016年 年頭のご挨拶 コニカミノルタ株式会社 インクジェット事業部 顧問 大野彰得


【2016年1月10日】皆様、新年あけましておめでとうございます。
今年は比較的穏やかな天候で、皆様方それぞれよい正月を過ごされたことと存じます

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さて、私、大野は、昨年3月末にコニカミノルタ執行役インクジェット事業部長を退任し、後任に引き継いだ後も、引き続き顧問としてコニカミノルタの産業用インクジェット事業を後方支援しております。

昨年の最大のトピックとしては、11月、ミラノITMAでシングルパスの高速インクジェット捺染機SP-1を発表したことで、世界・業界からの大変熱い支持を頂戴いたしました。同時に発表した高速・中速のスキャンタイプ(Nassenger10とNassenger8)もその完成度の高さで大きな反響を頂きました。

また、商業印刷分野ではKM-1が10月のIGASにて市場から高い評価を頂き、複数サイトでのβテストも順調に進捗中で、来年のDRUPAにての正式発売に確かな手ごたえを得ることが出来ました。

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重要基本デバイスであるヘッドでは、シェアモードヘッドタイプの進化やMEMSヘッドの本格市場投入の準備も進みつつあります。

また「プリント成果物での事業」としてのIJ法透明導電フィルムも、電子部品業界から熱い引き合いを頂き、開発にも弾みがついてきております。

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産業用インクジェットという言葉はあるものの、その具体的な姿が今一つ曖昧な中にあって、いくつかの具体的な方向を具現化できつつあることを嬉しく、また誇りにも思う次第です

閑話休題・・・

この年末年始、昨年と比べての一番の変化は「レンタルビデオ屋に行かなくて済むようになった」ことでしょうか(笑) 正月に、既に独立して所帯を持った息子たちが孫を連れて来てくれるのは嬉しいのですが、おせちをつまみに呑んでいる間、孫達に見せるビデオ(「ドラえもん」とか「妖怪ウォッチ」(笑)・・昨年までは、レンタルビデオ屋に行って何本か借りてきていました)・・それを今年はやらずに済んだ。

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別に宣伝料を頂いてはいませんが(笑)amazonのFireTVを液晶テレビに繋げば、子供向けアニメはもとより、様々なジャンルのビデオが(amazonのプライム会員なら)無料で見ることができます。

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もちろんGoogleのクロームキャストもとうにゲット済!長男の嫁はいわゆる帰国子女で、孫にはYouTubeで米国人がアップしたと思われる英語の童謡や子供番組などを見せています。

自分で体感して、今更ながら改めて思うに「もうCD屋さんやらビデオ屋さん、DVDレンタル屋さんという商売は終わっちゃったなあ」ということ。これって・・革命だなあ!

もともとデジタルデータだったものを、銀色のお皿(その前はテープ)にして流通させていたビジネスは完全に壊されちゃったなあということ。壊したのは皆、米国のamazonやら、googleやら、appleやら、もろもろの米国企業で・・・日本の家電メーカーでは無かったということ。

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象徴的なのがこのリモコン。右から東芝の液晶テレビREGZAのもの、真ん中がPANASONICのHDDレコーダーのもの。そして左がamazonのFireTVのもの!

日本の家電メーカーは、ハードにいろいろな素晴らしい機能をテンコ盛りにするのはいいが、その制御をすべてリモコンのボタンでやるという発想から抜けられず、結果としてボタンがテンコ盛りのリモコンになる。

対してアメリカ人は「必要な情報は画面に映っているんだから、それをポインタで動かせばいいじゃん」とばかりに極端にシンプルなリモコンをデザインする!おまけに音声認識までついていて、悔しいことにこれが結構使えてしまう。
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更にシンプルな AppleTV のリモコン

このところ、一時は「Japan as No.1」の象徴で、ハードウェアの品質と機能では世界に誇るべき製品を供給していた日本の家電メーカー全般の苦境が伝えられ、そのうちのいくつかに至っては経営危機というレベルになっています。

その一方で、アメリカ人は、デジタル情報の流通の形態を、一旦お皿に焼いて、レンタルビデオ屋さんや書店の店先で物理的に貸したり売ったりするビジネスを「根こそぎ」無くしてしまったのです。従って、それを再生する為の高機能なハードウエアも要らなくなるわけですね・・・。いいハードウェアを安い加工賃のところで生産し、品質管理だけしっかりしていればいい・・という発想では通用しないわけです

全てのものがIPアドレスを持ちネットワークに繋がる時代・・・それって目新しい話じゃないよね?自宅でも液晶テレビは無線LANに繋がっていて、これまでテレビに直付けしていたHDDに録画していたのが、家庭内無線LANに繋がったサーバに録画してるもんね!これで、録画した番組を別の部屋からも見られるし、外出先からでも見られる!(実際には外出先ではそうヒマでもないので、録画した番組を見る余裕はないですが(笑))

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従来外付けHDDに録画していたが、今はテレビを無線LANに繋ぎネットワークサーバに録画しています

IoTという言葉が流行りです。Internet of Things=「全てのアイテムがIPアドレスを持ってネットに繋がり有機的に連携する」みたいな意味でしょうか?そういう意味では、ウチの液晶テレビも既にLANに繋いでいたんだし、要はその横展開なんでしょ?くらいに分かったつもりになっていました。確かに便利になったんもんね。

しかし、(既にネットに繋いでいた液晶テレビに)FireTVを繋いでみて、今回ハタと気が付いたのは
「これでレンタルビデオ屋さんという業態は終わってしまうんだな!」というシンプルで、かつ衝撃的な事実というか、実感でした。これまで実際に足を運んでいた、あの駅前のレンタルビデオ屋に行かなくても、居間で画面から好きなビデオをクリックするだけ・・

単に繋いだだけでもなにか便利にはなる。ま、それはそれで結構。

しかし、何かを壊すことを意図したサービスを構想し、それを広めることに特化したシンプルなハードを設計する・・そういうことですね。(ただし、勘違いして、新サービスを夢見て、中途半端な奇妙なハードを設計して挫折するのはよくあることで、気をつける必要があります)

話が長くなりました。そんなことに今頃気が付いたのか?という程度の話なのですが(苦笑)


デジタル・プリンティング
という言葉があります。多くのオフィスは既に高度にネットワーク化され、数多くのプリンタやMFPがそれに繋がり、それを前提として新しいサービスが提供され、その裏で何かが無くなっていくという静かなオフィス革命が進行してきました。無くなりつつあるものの一つが、プリンタメーカーが食い扶持としてきたプリントそのものであるのも皮肉な現実ではありますが・・

多くの印刷業は既に高度にデジタル化・ネットワーク化され、最後の出口としてのオフセット印刷出力機も、ここでB2サイズの本格的なデジタル機が繋がることで、それを前提としたサービスが提供され産業革命が加速すると思われます。それは単に印刷プレートを無くすことを超えた成果である筈です。

そして、デジタル・テキスタイル・・・昨年発表したワンパス機は画質・生産性ともに既にスクリーン捺染機を凌駕する底力を秘めています。これから世界の捺染業は大きく変わっていくでしょう。いや、変えていきます。しかし、その変化は「単にスクリーン版が要らなくなる」という程度に留まっていてはいけないのではないか?

「スクリーン版が要らなくなる」程度の変化って、所詮先ほど書きました「外付けHDDに録画していたのをWifiを介してNASに録画するようになった」程度の変化なのではないか?デジタル化で産業革命を起こすことというのは、先ほどの例で言えば「レンタルビデオ屋さんという業態が無くなる」くらいの破壊力を持つことが必要なのではないか? 失礼な言い方をご容赦いただければ「日本の家電メーカーを反面教師として」構想力を持ってこの分野に産業革命を起こしてといきたいと考える次第です。

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昨年11月のITMAでの Digital Textile Conference ワンパス機のパネルディスカッションにて

今年、私は活動の場の軸足を欧州とアジアに移していこうと考えております。日本はデバイス(IJヘッド)や技術は保有しているのに、何故かインクジェットによる産業革命の担い手となれていません。

「日本がデバイスを作り、欧州がシステムを作り、中国が『フォロー』し、アメリカが買収する」という構図になっています。エキサイティングな欧州や中国・アジアにもっと身を置くことで、そこの人脈を拡大し、情報を吸収咀嚼し、それを以て日本に火を点ける。黒船も連れてくるかもしれません(笑)

が、案外それが日本の産業用インクジェットシーンを変える近道のような気がする次第です

本年もよろしくお願い申し上げます


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