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フォーム工連 「2019 年度夏季講演会」を開催 山口周氏「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」のテーマで 関東フォーム「懇親会」も

【2019年8月23日】日本フォーム印刷工業連合会(フォーム工連)は8 月22 日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で「2019 年度夏季講演会」を開催した。

今回は山口周氏を招き「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?“世界は変わり、戦い方も大きく変わる”」のテーマで講演した。
山口氏は「ビジネス書大賞2018」で準大賞を受賞した『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』の著者。

 

山口周氏講演


山口周氏

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』という本を出したのは2年前だが、当時とはかなり意識が変わった。そのころは「儲ければ勝ち」という風潮で、経営と美意識を同じテーブルに乗せて考えるということはなかった。

「スペースコロニーに持っていけるとしたら、日本の文化遺産から何を持っていきたいか?」
という質問をしたとき、その回答の8~9割が18世紀以前に作られた城などの建築、和食、芸術品などとなる。
産業革命が18世紀後半に起こり、日本も取り入れて、GDPが伸び、モノ物を作る能力が50倍にも増大した。しかし、それ以降、特に昭和の時期に作られたものは持っていきたいリストに入ってこない。

日本の街並みを見てほしい、風景を破壊する看板や電線、日本橋の上の高速道路など、誰が望んだのか。
もちろん、彼らは風景を破壊しようと思って作ってはいないのだが、この面で、20世紀後半は負の遺産を大量に作ったといえる。

もはや、日本は美の発展途上国。我々は効率のために我慢してきたが、もう本当の意味の美しさや豊かさに価値を求めていいのではないか。

経営者はビジネスにおける「真・善・美」を判断しなければならない。
日本郵便の事件でもあったが、「老人をだまして金を巻き上げる」というのが「善」の判断なのか。

今の会社では、理性と感性が対立した時、ほぼ感性は負ける。「データ(理性)を持っている」方が勝つのが当たり前になっているが、「世の中で価値あるものは、アートでしか生み出せないのではないか」と思うのだ。

現在、理性で判断することで「正解のコモディティ化」が起こってる。
2007年、日本の携帯電話は、ほとんどが同じ形とレイアウトになった。これは大規模な消費調査と分析によるもので、データから正解を出したらみな同じ形になった。

これに唯一、反旗を翻したのがアップルで、論理的な理由はなかったが創業者が「この方がかっこいいと思うから」という理由で全く異なる携帯電話を開発し、3~4年で半分のシェアを持って行った。日本のガラケーは、マーケティング戦略の教科書通り作ってボロ負けしたのだ。

これに追い打ちをかけるのはAIで、正解は今後AIが出してしまうので、人間はいらなくなる。おそらく10年後にはIBMのAI「ワトソン」が100万円くらいで買えるようになるだろう。

今、商品はこのように分類される。
①「役立つが、意味はない」
②「役立つし、意味がある」
③「役には立たないが、意味はある」
特に今は「役に立つ」が評価されず、個人にとっての「意味」が重視される。
クルマでいえば、アルファードは役に立つが特に意味はない、フェラーリやランボルギーニは、あまり役に立たないけど買う人にとって意味があるし、高い価格で取引されており、買うことが人生のモチベーションになる。

日本の会社は「グローバル×ニッチ」という新しいポジショニングを目指そう。1億人の市場じゃなく、グローバルな市場で「意味のあるモノ」を作ることが大事だ。

 

関東フォーム「夏季懇親会」

講演会終了後は、関東フォーム印刷工業会の「夏季懇親会」が開催された。

冒頭、関東フォームの林陽一会長があいさつし「フォーム工連の寺子屋では、『経営』『マーケティング』『技術力』を柱に勉強している。積極的に参加いただき、企業価値の向上に努めていただきたい。印刷業界は体質が古いといわれるが、新しいイノベーション起こしていかねばならない。情報を印刷する作業だけではなく、サービスの幅広げよう」と呼びかけた。


林陽一会長

続いて、フォーム工連の櫻井醜会長が「感性、品性、独自性、これを貫くのが美意識。売り上げに走るとどうなるか、多くの有名企業が摘発され、捕まり、頭を下げているが、あれは前任者の数字を追い抜くのが至上命題になっているからではないか。感性を追いかけても、売り上げはできるはずだ」とあいさつした。


櫻井醜会長

このほか、日本印刷産業機械工業会の宮腰巖会長があいさつし、日本印刷産業連合会の杉村亥一郎専務理事が乾杯の音頭を取り開宴し、和やかな歓談が続いた。

 

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