【2015年10月20日】10月から施行されたマイナンバーをめぐる動きが加速している。
大日本印刷(DNP)は、証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」での撮影から、マイナンバー制度の「個人番号カード」申請システムを開発した。
Ki-Re-i はDNPフォトイメージングジャパンが提供する証明写真機で、優れた撮影技術と照明により、手軽に品質の高い証明写真を取得できる。従来の照明写真機能に加え、スマートフォンに画像を送信できる通信機能も持っており、スマホに保存されたデータは社員証や会員証の顔写真として活用可能だ。
今回は、このセキュリティー性の高い通信機能により、写真撮影から個人番号カードの申請までを一貫して行えるようになった。
個人番号カードの申請は、郵送やパソコン、スマートフォンなどで可能だが、カードで使用される証明写真の撮影と同時に申請することで、生活者の利便性を向上している。料金は証明写真撮影の料金と同じ。
DNPでは、従業員や顧客などのマイナンバーの収集業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)サービスや運用コンサルティング、教育サービス、プロモーション支援など多様なサービスを提供。特にBPOサービスでは、高セキュリティーのBPOセンターを活用し、取得から活用までトータルに対応している。
Ki-Re-iは2016年1月までに1000台、3月までに累計1500台で、個人番号カード申請の機能を追加する予定。また、今後も順次対応機を増やしていくという。
一方、凸版印刷は、児童書などで知られるフレーベル館と連携し、マイナンバー制度を分りやすく理解できるガイドブック『マイナンバー制度 理解・啓発ブック』を制作。企業や自治体向けに、10月中旬から本格的な提供を開始する。
同書のコンセプトは1冊で楽しくわかりやすくマイナンバー制度を理解することで、従業員向けコンテンツと、子供を含めた家族向けの向けコンテンツで構成。フレーベル館が児童書で持つノウハウを活用し、漫画やイラストをふんだんに使用することで、理解しやすい構成にした。64ページ立てで、フルカラー、700円(税別)。
凸版印刷では発刊の背景として、漏えいなどのリスクも含めマイナンバーの認知度が低いことを上げており、「制度をしっかりと理解してもらうことは社会にとって非常に重要なこと」としている。
また、トッパン・フォームズのグループ会社TFペイメントサービス(TFPS)はNFCリーダー・ライター「TC63CUT021」を同社のクラウド型決済プラットフォーム「Thincacloud/シンカクラウド」を使いマイナンバーカードに対応。電子マネー決済との同時対応を実現している。(当サイト10月12日「NFCリーダー・ライターが「マイナンバーカード」に国内初対応 トッパン・フォームズ子会社」)
このほか、広済堂と福島印刷がマイナンバー関連での受注を目指し、デジタル印刷などで提携するなどの動きもあり、市場参入の動きが活発だ。
マイナンバー制度をめぐっては、運用時の漏えいや、それに伴う悪用、犯罪の発生などが心配されている。海外では「不正取得」や「ナンバーの売買」「年金の不正受給などの詐欺」などが実際にある。
海外からのクラッキングなどによって、組織的にナンバーとそれにひも付けされた情報が盗まれた場合、日本人の個人情報が丸裸になってしまうという話まである。
制度の市場は1兆円以上と推計する企業や機関も多く、この市場、まだまだブルーオーシャンが広がっている。市場に参入する企業は「Pマーク」の取得なども含めて考えねばならない。またユーザー側も被害はもちろん加害者にもなりかねないことから、専門家と相談しながらの参入や運用を心掛けたい。
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