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【コラム】地理的表示保護制度と世界遺産 


日本の産業革命遺産に関連する施設が世界遺産に登録されるというニュースが、他国からの横やりもあり、世を騒がせている。何はともあれ世界遺産への登録は観光客を呼び込む最大の起爆剤となるものだ。富岡製糸場は登録発表の前年が30万人程度の入場だったものが、発表後の半年でその倍の人数が押し寄せた。富士山も世界遺産への登録とともに周辺地域への観光客が倍増している。

地理的表示保護制度の価値
さて「地理的表示保護制度」の申請受け付けが6月1日に開始され、農林水産省に「夕張メロン」や「神戸ビーフ」「市田柿」など19の地域ブランドから申請があった。今後は専門家などの意見を聞きながら、年内の登録を目指すという。地域ブランドの保護は国際的にも広く認知されており、100を超える国で行われている。
チーズでは「カマンベール・ドゥ・ノルマンディー」(フランス)、ハムでは「プロシュート・ディ・パルマ」(イタリア)などがそれにあたり、カマンベールのような味でもその地方で作られていなければ、それを名乗ることはできない。

ブランド保護とプロモーション効果
地理的表示産品はブランド保護の側面が強いが、プロモーションとしての利用価値も高い。1日に申請した地域ブランドはそれだけで、複数のメディアから取り上げられた。おそらく、登録が受理されれば、その時も大きく報道されるはずだ。世界遺産の登録とともに観光客が大幅に増加するように、地理的表示産品も「お取り寄せ」や「産地への訪問」などの需要が増えることは必至で、広告効果は申請費用の何倍にもなる。

ストーリーの掘り起しに期待
ただこの効果をしっかりと高めるには、登録されたブランドに表示される「GIマーク」の訴求が重要になる。この制度とマーク、農水省の訴求力が足りないのか、一般への浸透は今一つといった印象。制度に関してブランドがしっかりと確立しなくては、マークの効能も生きてこない。ユネスコの年間予算は約800億円、世界遺産の保全や修復はもちろんだが、このうちのかなりの額を広報や教育に使っている。こういった努力がユネスコと世界遺産の価値を高めているのだ。同様の努力を農水省にも期待したい。

さらに各地域の努力も必要だ。申請では食品の産地との結びつきや伝統なども重視される。ここでストーリー性をしっかりと主張できれば、その食品を食べる「理由」が消費者側にできる。ただただ「夕張メロンはおいしい」と訴えるより、なぜ夕張でメロンが根付いたのかといった背景や、どのような育成方法で、類似品種の違いは何かまでを伝えることができれば、もっと価値が高まるだろう。農水省によるマークの訴求とともに、各地域で商品ストーリーの掘り起しに期待したい。こちらは他国に干渉されることはないだろうから。

最後に心配事だが、スナック類のカマンベール風味などは今後どうなるのだろうか。「シャンパン」は最近「スパークリングワイン」と言い換えているが、スナックは「フランスのクリーミーチーズ風味」となるのだろうか、とても心配だ。

gimark


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