【2016年6月14日】「drupa2016」をプリント&プロモーション的に振り返るこの企画。
今回は「drupa2016」のテーマと小テーマの点検をしてみよう。
「drupa2016」の公式テーマは「touch the future 未来に触れろ」だった。
drupeが描いた未来とはどんなものだったのだろう。
主催者からは小テーマとして「touch the future:6つの視点」が提示されている。
それは「print:印刷」「packeging production:包装」「functional printing:機能性印刷」「3Dprinting:3D」「multichanel:マルチチャネル」「green printingグリーン印刷」だ。
実際にそれのテーマがどう表現されたか、点検してみよう。
「print:印刷」と「functional printing:機能性印刷」
「print:印刷」は当たり前だが、最新の印刷機、特にデジタル印刷機が数多く展示された。従来のアナログ機はあったが「メイン展示ではない」といった風で、期間中の話題に上ることも少なかった。これは前回、前々回と同じ傾向だろう。
目立ったのは、後加工機をインライン接続しての「一貫生産」。これは「functional printing:機能性印刷」にもつながることだろう(もちろんこれだけではないが)。
Kodak は「Prosper 6000Cプレス」と後加工機を日替わりで展開
印刷と加工の一体化も以前からある傾向だが、「納期対応」「高付加価値」「オンデマンド」といった視点から「デジタルで印刷したものは、その場で加工することに付加価値がある」というのはコンセンサスになっている。
印刷会社は「印刷機の性能が上がるのは当たり前」「ボトルネックになるのは後加工」という声は以前からあった。
これを解決しようとした会社のブースには多くの人が訪れた印象がある。
「packeging production:包装」
「packeging production:包装」については、デジタル印刷機メーカー各社が、軟包装用やラベル用印刷機を展示。書籍などに比べ落ち込みの少ないこの分野に、力を集中してきている印象だ。
プリント&プロモーション的には百花繚乱、花盛りでうれしい限りなのだが、極楽から垂れたクモの糸に多くのメーカーがぶら下がっている印象もあり「ここでシェア争いを繰り広げて、果たして大丈夫なのか?クモの糸はそんなに太いのか?」とも思ってしまう。
「3Dprinting:3D」「multichanel:マルチチャネル」「green printingグリーン印刷」
「3Dprinting:3D」に関しては、多くが出展していたが、ハデハデな展示とユニークな製品で目立ったのは「Highcon」。
同社の3Dプリンタ「Shape 3D」の特徴は、紙を加工して作ること。用紙から数分で椅子やテーブル、そのほか工業製品のモデリングなどができてしまう。
「Shape 3D」にはカッティングとクリーシングという印刷業界が従来から持っていた技術が使われていることもユニークと感じる。
なんと、drupa会場のエントランスに飾られた真っ白な藤の花のようなオブジェも「Shape 3D」で制作されたものだそうだ。
紙で3Dプリントを実現したHighcon。エントランスのオブジェも作成した
「multichanel:マルチチャネル」に関してはどうだろう。
デジタルテクノロジーがいきわたった状態では、意識せずともそうならざるを得ないというのが実態ではないだろうか。
いくつか目立った点はあるが、印刷の内側に集中している印象で、この課題が外に向けて発せられているという印象はなかった。
さらに「green printingグリーン印刷」に関しては「???」という感じ。
すべてを見たわけではないので、「そりゃ違うぞ!」という方からの意見があれば掲載したい。
こういったテーマも、開催前にスタッフが頭をひねって考えるのだから、当たるも八卦、当たらぬも八卦とならざるを得ないのはわかる。
実際に見た後でも、解説に戸惑うほどの展示規模である。
次回は来場者やメディアが付ける「――drupa」は何だったのか?についての予定。
つづく
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