【2016年6月20日】花王は6月20日、米国のCollins Inkjet(コリンズ インクジェット、オハイオ州)とスペインのChimigraf Holding(チミグラフ ホールディング、バルセロナ)のインクメーカー2社の買収を発表した。
Collins Inkjetは、インクジェット(IJ)用インク専門のメーカーで、米国を中心にインクの開発、製造、販売を行なっている。
大きな伸長が期待される産業印刷分野のIJ用インク市場にいち早く参入。さまざまなインクジェットヘッドに対応した高度なインク設計技術を持っており、販売網を構築している。
Chimigraf Holdingは、欧州でパッケージ印刷用フレキソインキ、インクジェット用インクの開発、製造、販売を行なっている。特に、多品種印刷対応に優れるインクジェットに対応したインク開発に注力している。
花王のケミカル事業は売上高全体の17%(2885億円)。同事業部は今年3月、「VOC(有機溶剤)レスの水性インクジェット用顔料インク」を開発。今回の買収はこの事業を推進するためのものという。
6月20日、東京都中央区で行われた記者発表では、根来昌一執行役員ケミカル事業ユニット長がこの買収について次のように述べた。
「花王はケミカル事業で分散財などの販売を行ってきたが、自社がインク事業行うのは初めて。このため、インクの配合などの技術的に足りない部分を補強することや、販売網の確保を目的として2社を買収した」
「産業用インクジェット印刷機のインクは現在推定1000億円の市場があり、毎年2桁の伸長を見せている。当社では世界初のVOCレスインクというコア技術で差別化を図り、技術の優位性により、事業を伸長させていきたい」
買収した2社の売上高は両社合わせて約100億円。買収金額は非公開だが100億円弱とみられる。
また、3月の「水性インクジェット用顔料インク」発表時には2020年100億円としていた売り上げ目標だが、これを前倒しで達成し、さらに2025年には売り上げ300億円を目指す。
また、ケミカル事業関連では今後も積極的なM&Aを行うことも明らかにしている。
<Collins Inkjet社の概要>
・社名:Collins Inkjet Corporation (コリンズ インクジェット社)
・設立:1990年
・所在地:米国 オハイオ州
・事業内容:インクジェット用インクの開発、製造、販売
・従業員数:約90 名
<Chimigraf Holding社の概要>
・社名:Chimigraf Holding, S.L.(チミグラフ ホールディング社)
・設立:1970年
・所在地:スペイン バルセロナ
・事業内容:フレキソインク、インクジェット用インクの開発、製造、販売
・従業員数:約180 名 ※グループ全体
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