【2023年4月7日】大野インクジェットコンサルティングは4月5日、東京都新宿区のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで、ワークショップ「今更訊けない『プリント・オンデマンド・ビジネス』」を開催した。
セミナーは、講師にOpenFactory代表取締役の堀江賢司氏や、佐川印刷社長の佐川正純氏を迎え、日本でのプリントオンデマンド市場について話し、参加者とともにグッズプリントショップの開設を体験した。
堀江氏は冒頭の「オンデマンドビジネスに関するすべて(PCによる実習含む)」講演で、自身が主催する「Printio」について解説。全国のデジタルプリント工場をつなぎDXでオンデマンドプリントを推進するなどを説明した。
堀江氏は「従来、オンデマンドプリントをしたい会社は、工場を探し、それを自社のシステムに組み込むといった作業が必要。これを『Printio』が肩代わりする」と説明。
「オンデマンドプリントをしたい業者は、B2B2Cのフロント部分だけ作ればプリント物の販売ができる」とした。
また、印刷市場のEC化は、わずか4,2%であることを示し、「まだまだ開拓の余地がある」とし、プリントオンデマンド市場やeコマースの伸びは止まらず年率10%以上という話もあることから、「紙の印刷が減っていく中でこれにシフトしない手はない」と呼び掛けた。
あたらしい印刷の可能性にチャレンジする内容として
1.市場を変える→のびているeコマース市場へ
2.お客さんを変える→eコマース事業者へ
3.作り方を変える→オンデマンドデジタル生産へ
4.仕組みを変える→続受注システムへ
を示し、
「印刷事業の上に載せる2階建て事業としてPODに取り組むことがベスト」とまとめた。
つづいて登壇した佐川氏は「デジタルプリントJDFコンソーシアム構想」について概要を説明した。
この構想は、デジタル印刷は、ワークフローの自動化を目指したもので、今回のデジタルプリント関連のメーカー9社とユーザー2社が集まった。
デジタル印刷は自動化と結びつくものだが、そのワークフローを自動化することは大変難しいという。
まず、小ロットのものをJDFで処理できるのか、利益が出るのかという課題がある。また、デジタル印刷機はメーカーによって機能や性能が異なることから、これを同じシステムの中に組み込むことが大変に難しい。
「入力しなければならない内容は多いが、どこまで何を入力するのかという課題がオペレーターを悩ませる。また、営業と印刷工程では入力したいパラメーターも異なる」と佐川社長。
佐川社長は「今回のメーカー9社、ユーザー2社が集まった。ここでたたき台を示し、業界に呼び掛けていければと思う。ご協力いただける方をさらに募りたい」と呼び掛けた。
この後、堀江氏による「suzuriの説明と実演」が行われ、参加者が自身のアカウントを作成し、「suzuri」で商品を販売するまでを実践した。
参加者からは「単なる事業説明ではなく、そこで起こる課題が分かった」「プリントオンデマンド業界の構図やその事業の区分けまでを解説していた」「プレイヤーの本音が分かった」などの声が聞かれた。
主催者の大野彰得氏は「日本では、セミナーを組合などの特典として、無料化しているところも多いが、しっかりと料金を払い、学んでいこうという流れを作りたい」としている。
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