【2025年1月7日】福岡県久留米市の丸信は、九州最大のラベル印刷会社で包材商社でもある。
その技術力は高く2023年の「世界ラベルコンテスト」で最高賞にあたる「Best of the Best(ベストオブザベスト)」を受賞。同社がこのコンテストで入賞するのは5度目で、最高位である「Best of the Best」の受賞も2019年度受賞以来2度目の栄冠だった。
また2018年「丸信インターナショナル保育園」を開園。この取り組みが、2023年「福岡県子育て応援宣言企業・知事表彰」を受賞するなど、業界内外から取り組みが評価されている。
2020年には、食品検査室が「JIS Q 17025 (ISO/IEC 17025:2017)」を開設し、試験所認定を取得。このほか、印刷通販での取り組みなども数多く展開している。
今回は、同社平木洋二社長に、一連の取り組みや事業展開、今後の取り組みなどについて話を聞いた。
――まずは2023年「世界ラベルコンテスト Best of the Best」おめでとうございます。コンテストに出続ける理由は?
ありがとうございます。
やはり、社員のモチベーションを高められるからです。コンテストは普段、工場で働き商品づくりの裏方として活躍するオペレーターさんにスポットライトが当たる場所なのです。
当社では、ラベルコンテスト最高位受賞を一つの目標として活動する委員会を設け、デザインからすべてを担当しています。このため、社長である私はノータッチで、このコンテストへの出品が進んでいきます。こういったことが、製品の品質維持にもつながっていると感じます。
もう一つ出品をつづける理由があります。
「世界ラベルコンテスト Best of the Best」受賞の純米吟醸「若竹屋」
――それはなんでしょう?
それは地域と価値を分かち合い、この受賞を知っていただくことです。「Best of the Best」受賞後は必ず久留米市長と県庁に表敬訪問します。
当社は久留米市、そして福岡の中で活動させていただき、こういった賞を受賞できた。それをしっかり報告し、地域と喜びを分かち合えればいいと思っています。この際は必ず地元マスコミにも連絡しており、テレビ局が取材に来てくれたこともあります。
それがまた当社社員の喜びにつながり、お客様に知っていただくことで安心感にもつながると思っています。
久留米市の大久保勉市長を表敬訪問し世界一を報告
――PR効果もある?
ニュースになることで、問い合わせもありますね。
九州ローカルではありますが、取り上げてほしかった番組にも出演しましたし、そこから問い合わせをいただくこともあります。
せっかくラベルコンテストに出して「受賞しておしまい」ではもったいないと思うのです。
このラベルコンテストのほか、印刷部門が廃止されてしまいましたが、一昨年には技能五輪世界大会にも出場しており、こういった活動が大切だと考えています。
――印刷通販関連も非常に積極的に取り組んでおり、「ラベル印刷・シール印刷.COM」「紙箱・化粧箱.COM」「包材・フィルム.COM」など多くのオウンドメディアを運営されています。ネットが窓口になるケースが増えているのでしょうか?
収益も上げていますが、まずは新規開拓につながるリード商談の一つとして効果があると感じています。
コールセンターのみで完結する案件もありますが、営業にトスアップしてそこから広がることも多く、その後は営業マンとのやり取りで製品を作っていきます。
売り物はたくさんあるので、「ラベルの注文から包材へ」というケースやその逆もあるのです。
――2022年にはIT系の部門を集めたイノベーションセンターを開設されましたが、きっかけは?
Web制作部門の人数が増えまして、単純に本社内に場所がなくなったということが大きいです。
久留米ではWebの人材は非常に貴重で、福岡市内はもちろん、四国や千葉から移住して来ていただいた方もいます。
このため、職場環境もできるだけ整えたいと思ってイノベーションセンターを作ったのです。
――実際に仕事場を拝見しましたが、非常にきれいで、東京のIT企業のようでした
いやいや、そこまでではないですが、できるだけ環境よくとは思っています。印刷部門からは「いつうちの部署もあんな風になりますか?」とプレッシャーが来ています(笑)。
――Web部門ではどんな仕事を?
自社のコーポレートサイトを中心に、お客様のホームページやECサイトなどの制作を行っています。
お客様は食品会社や酒造会社が多いです。これは本業のラベル印刷や包材のお客様がWebでも当社に依頼していただくケースが多いからです。
当社では「九州お取り寄せ本舗」という食品通販サイトも運営しています。九州に眠る幻の産直「こだわりメシ」をコンセプトに、ご当地グルメを取り揃えているのですが、ここから派生して食品会社のECを支援するケースが多いのです。
――イノベーションセンターには食品検査室もあるそうですね。これは?
申し上げた通り、食品関連のお客様が多いこともあり、食品検査を簡単にできないかという依頼が多く来ていました。九州の食品会社では自社に研究室を置くことができず、社外に依頼すると高額な上、日数がかかるという話を聞いていたからです。
当社の検査室には、他の研究所で働いていた職員を迎え、一般生菌数や大腸菌・大腸菌群、黄色ブドウ球菌の検出試験に関する「JIS Q 17025 (ISO/IEC 17025:2017)」の試験所認定も取得しています。
――「食品表示.COM」で、ラベルの校正チェックサービスも開始されました
シール印刷会社が持つ技能の一つが校正力です。当社では農林水産省など、関係省庁で法律が変わるたびに、これを調べて食品表示の研究を続けています。
ですから、お客様が入稿されたラベルの原稿を調べれば、食品表示の間違いや表記不備を指摘できるのです。
――2024年5月には基幹工場を新設されました
もう既存の工場ではこれ以上の拡張の場所がなく、生産が限界に達していました。遠隔地に建てるのはリスクが大きいと思っていたところ近隣に良い土地があり、基幹工場を新設することにしました。
新工場には、延べ床面積は5,304.43㎡で、平圧機21台、凸版間欠機9台、オフセット間欠機4台を設置しています。
――外国人の適正な雇用を推進されていますね。この目的は?
やはり人手不足はこれからの大きな課題です。少子化により若い世代の人口が減少している上に、高校を卒業しても、そのまま就職する人は少なく進学を選択するケースがほとんどです。そもそも印刷業界への就職希望者が少ないという問題があるのです。
一方、技能実習生は2024年9月から、最大10年間日本にいられるようになりました。これまでは、最大5年の研修期間が終われば帰ってしまうということもあり、印刷のことで教えられるのは限定的で、印刷周りの雑用を覚えてもらうことがせいいっぱいでした。
今後はしっかりとした教育を行い、適正な給与を払ってお仕事をしていただくのが大事と感じています。
福利厚生も見直し、アパートも2人同居から、1人1部屋を用意するようになりました。日本人も外国人も関係なく、気持ちよく働いてもらいたい。そして研修期間が終わったら「日本で働きたい」と思ってもらえるような環境づくりをすすめます。
――貴社で保育園も運営されているそうですね
2018年に「丸信インターナショナル保育園」を開園しました。
――社員さんのための保育園ですか?
いいえ。社員が中心ですが、基本的には誰でも入園可能で3~4割は社員以外のお子さんです。
当社の社員には女性が多いですし、育休後にまた活躍してほしいという思いからこの保育園を作り、近隣のお子さんたちにも開放しました。
先ほども言いましたように、人手不足は深刻ですし、社員が安心して働ける環境は当社のような企業には絶対に必要なのです。
病児保育付き企業主導型保育園で、看護師さんがおり、病気の子供も預かれるという、珍しいタイプの保育園です。
おかげさまで、この取り組みにより多くの表彰をいただきました。またニュースでも取り上げていただき、これに関しては採用の面でも非常に良い効果がありました。
――規模の拡大という点では、他社をM&Aされましたね
鳥取県米子市のシール・ラベル会社山陰プリントケースがグループインしました。同社では後継者がおらず、事業を続けるため、他社に経営をゆだねたいという希望があり、先方からお声がかかったことから今回のM&Aとなりました。
シール・ラベルは比較的軽く、輸送費は軽微ですが、BPOの観点からも遠隔地に生産拠点があるのは望ましいと考えています。
――飛躍が目立つ貴社ですが、今後どういった会社を目指しますか
食品産業のお役立ち企業として、ラベル印刷や包材の販売はもちろん、コンサルやソリューションファームとして、さまざまな悩み事を解決できるソリューションプロバイダーを目標にしていきたいと考えています。
多くのお客様の支援を得ながら、さらに会社の発展を目指したいので、ご協力願えればと存じます。
ラベル印刷シール印刷.com
https://label-seal-print.com/
紙箱・化粧箱.net
https://www.order-box.net/
包材・フィルム.com
https://soft-packaging-material.com/
食品表示.com
https://hyouji.maru-sin.net/
食品衛生.com
https://marushin-eisei.com/
九州お取り寄せ本舗
https://www.otoriyose.site/
丸信インターナショナル保育園
https://preschool.maru-sin.net/
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