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【工夫と創造のこの企業】ウエーブ 「自動化・RPAソリューション」の外販で印刷業界を変える!


【2019年8月8日】印刷通販の「WAVE」を運営するウエーブは2018年3月、印刷・加工生産ラインの自動化ソリューション「WAVE 15P-Series(ウエーブ イチゴーピー シリーズ)」の開発・製造をスタートした。


ウエーブ 白子善久社長

この製品は、ロボットアームなどを使ったRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の一つで、もともと自社内で使用していたシステム。同社ではこれをさらに外販するという大胆な戦略を打ち出し、コンペティターともなりえる他の印刷会社の自動化も応援するこの事業に驚きの声も上がった。発表から1年以上、現在の開発や導入状況などを同社の白子善久社長に聞いた。

 

意外な創業時の仕事

――貴社の概要を教えてください
まず当社の成り立ちからですが、1985年にソフトウエアや機械製造の開発会社として私が創業しました。その後、1996年にオフセット印刷の通販を開始し、2000年には日本で初めてオンラインでの印刷サービスをスタートしたのです。

最初は雑誌や新聞広告を多く掲載し、それでPRしていました。特に音楽雑誌は、非常に相性がよく、ライブハウスのチケットやチラシ、パンフレットといった、短い期間やその日だけしか使わない印刷物の注文を多く受注するようになりました。このため、いまでも音楽関係やテレビ業界からの注文を多くいただいています。


同社ではパンフレットやカタログ、チケット、カレンダーなどさまざまな印刷通販を取り扱う

このほか化粧品や下着メーカーなど大手ブランドからも今は仕事を受注しており、お客様の数は約20万件にもなります。
一般的な商業印刷のほかに、圧着はがきやカレンダー、POP、看板など、お客様から要望があった商品を増やしていき、応えられないものがないようアイテムを増やしていきました。

――なぜこの自動化ソリューションの開発と販売を開始したのでしょう
もとはと言えばアベノミクスのせいですね(笑)。
景気が悪いときには働き場所を求めて、当社にも多くの人が来てくれましたが、景気がよくなると、なかなか人が集まりません。印刷会社というとやはり3Kのイメージがありますし、若い人なら、そのご両親も「印刷屋?大丈夫か?」なんて言うのではないでしょうか。
やはり、印刷業ですと休み前に仕事が多いですし、急ぎの納期のものが入れば、やりくりが大変になることも実際にあります。

そして、人はやっぱり「楽をしたい」という気持ちがありますよね。面倒な仕事が自動化で楽になれば、働きやすくなると思うのです。3Kではなくなれば、社員も気持ちよく仕事をできますし、印刷会社の仕事環境改善で人が集まりやすくなる効果もあると考えます。
こういった「人手不足」「3Kの解消」が自動化を進めたきっかけです。

これまで行ったのは必要に迫られた部分ですが、一方で条件が整ったという面もあります。
現在は非常に細かな仕事ができる汎用ロボットが安く手に入る時代になりました。また、それを動かすプログラムやAI技術もオープンにされており、しっかりと進めれば、RPAを開発できてしまう世の中になったのです。

 

自社開発の理由

――それでも自社で開発をするというのはかなり大変だったのでは
私自身が商社でエンジニアをしており、そこから機械製造を始めて、印刷業も始めたので、ソフトと機械を使った製品は得意でしたし、社員にもこれらの専門家がいましたので、開発を進めました。
一応、ロボットを含めたRPAを扱う各メーカーに開発できるか聞いたのですが、「印刷用は、難しくて断っている」と引き受けてもらえませんでした。

――それはどうしてでしょう
まずは紙の扱いが難しいそうです。枚葉ですと1枚ずつ落とさないように、それも2枚取らないようにしなければなりません。用紙も薄いものから厚いのまで、そして光沢のあるものからザラッとしたものまであり、これをうまく扱えなければシステムを開発できません。
また、印刷と後加工の工程が複雑で、その知識も必要なことから引き受ける会社がなかったのです。
実際、この業界ではあまりロボットによる自動化が進んでいません。だから、自社で作ってしまおうとした結果、今のような事業が始まりました。


卓上リング綴じカレンダー

――実際、自社で使用してみていかがですか

当初はやはり、思わぬ動きでミスが出ることもありました。紙は湿気などによっても、うまくいかないことがあり、アームや供給部分を入れ替えるなど、さまざまな工夫をしながら、実用化していったのです。

2017年には工場での使用を開始。卓上リング綴じカレンダーを生産する際、リングの綴じ目が表から見えないように、係員が手を使って表紙を反転させていたのですが、これを機械が代替しました。
この作業、地味で単純な上、かなりきつく、ものすごく腕がだるくなるんです。だから担当者には1時間交代でやってもらっていました。1時間当たり1400個も流れてきますから、休憩を入れながらでないとできませんでした。

単純作業でつらくて、それも必ずそこには1人が張り付いていないといけないというのは、工場のシステムでは非常に面倒くさく、コストがかかり、いわゆる「困った仕事」。これをロボットが代替してくれるというのは非常に助かるのです。
経営の面から言っても、1シーズンで元が取れ、2シーズン目には利益が出るという感じになります。


梱包された商品をパレットに並べるのもロボット

このラインでは、この後の封入・封函機に流す仕事も自動化しました。これにより、それまで一時溜めておいて、人が載せていた作業がなくなり、タイムラグが消え、作業時間も大幅に短縮しました。

 

このほか、大判のフラットベッドインクジェットプリンタにパネルを乗せ、プリントが終わったらパネルをカッティングプロッターに移動させるという作業も大型のロボットアームが代替しています。

人間が行うと、パネルの位置合わせに時間がかかっていましたが、ロボットであれば位置合わせは一発です。オペレーターはパネルの残り数量を見ながら、別の作業ができるので、熟練者が単純作業に張り付けにならない現場を作り出せました。

 

――いいことだらけですが、人はいらなくなるのでは
省力化で確かに単純作業は減りますが、それに現場で作業する人たちは喜んでいます。
どちらかというと「疲れる」「重い」「面倒くさい」作業を機械が代わりにやってくれるわけですから、「楽しくできる」「近代的な工場になった」という思いのほうが強いと思います。


カットされたパネル

 

なぜ外販するのか?

――外販するという発表を行った後の反響はいかがですか
皆さん「本当なのか」と戸惑いがあったと思います。しかし、働き方改革が国の方針で進められており、また人手不足の深刻化も現実のものとなり、問い合わせが増えていきました。その中で導入に至るケースも増えています。
印刷会社はもちろん、後加工関連からも発注があり、当社の技術者が1件ずつお話を聞きながら、それぞれの現場にあった自動化を進めています。
当社の事業部門の人員も限られているので、彼らが飛び回っている状態です。

――今、事業部は何名ですか
技術者が10名、事務が1名です。

――要望には応えられているのでしょうか
ご相談を受け、それに合わせて動くと思った以上の結果がでるので、さらに先方から要望が増えていくといった形で、案件が深まっていきます。
当社が印刷会社ということもあり、自動化にさまざまな苦労をしてきた蓄積があり、紙の扱いに慣れていること、工程も分かっていることから、先方もどんどん深い相談をしてきてくれるのです。

――ロボットにはどうやって動きをつけていくのですか。手で動かして、動作をつけるようなロボットもあるそうですが
すべてプログラムで動きを付けていきます。紙は精密な動きが必要で、手で動きを付けるだけでは、大まかな動きしか教示できないので、当社ではプログラムで行っています。

――ところで、印刷通販を行う貴社が、他の印刷屋会社にシステムを販売して大丈夫でしょうか。ノウハウは秘密にしたほうが利益になるのでは?
私はそうは思いません。
印刷産業は今、どんどん疲弊しています。
その中で、うちだけが自動化のノウハウを抱え込んでも、それほど意味がありません。この業界、この産業がダメにならないように、自動化を進めていかなければいけません。
コスト高で、人手がなく、ブラックに陥り、印刷機すら買えなければ、メーカーの開発費も出ないという最悪の連鎖が起こらないように、今、他社にも自動化を進めてもらうことが当社の利益になるのです。
ぜひ、業界全体でこの苦しい現実を覆す、新しいアイデアとして、自動化を取り入れてほしいのです。

 

PR学び、さらに広める

――課題などはありますか
当社は通販で成長した会社なので、営業力がありません。販売も口コミやサイトで公開した動画を見たという方からの問い合わせが多く、我々から積極的に売ったという実績がないのです。
この事業を広めていけるよう、販売代理店との提携やPRを学んでいきたいと思っています。

――今後の展望や抱負を
「何でもやれることはやってみよう」という思いで、この自動化をはじめ、さまざまな事業を始めています。
今後は、マシニングの機械を入れて、本格的な加工もしてみたいと思っています。

人が嫌がる仕事は、どんどん自動化していくことが大事。この事業によって、業界を変え、人口が減っていく日本でコストをかけずによいものを作っていけるお手伝いをしたいと考えています。
業界内外の皆様にもご協力いただければと思っています。

ウエーブ 自動化について
https://robo.wave-inc.co.jp/

WAVE
https://www.wave-inc.co.jp/

 


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