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デジタルテキスタイル研究部会 「2021年度第1回講演会」を開催 「デジタル化による変革」「ITMA ASIAレポート」など抜粋 ファッションビジネス学会

【2021年7月12日】ファッションビジネス学会のデジタルテキスタイル研究部会は7月9日、オンラインで「2021年度第1回講演会」を開催した。

テーマは「世界で加速度的に導入が進むデジタルテキスタイルの最新動向」とし、コロナ禍でも加速するデジタルテキスタイルについて、業界の最前線で活躍する講師を招き情報発信する。

コーディネーターを務めた城田衣氏は冒頭「加速度的というかなり野心的なタイトルを付けたが、今日の講演で参加者が本当に加速度的かを判断し、皆さんが実際に加速させるトリガーになればと思っている」とあいさつした。

 

講演会(抜粋要旨)

「コロナ禍を経て変わるテキスタイル業界とデジタル化による変革」
セイコーエプソンプリンティングソリューション事業部部長の藤森信之氏

繊維需要は世界人口に比例しており、2025年には1.5億トンになる。
2019年の布記事は3000億㎡、このうちプリントされたものは10%ほどで、さらにその中の90%がアナログでプリントされている。
ファッション業界は環境汚染や大量消費などの課題がある。CO2排出量は産業全体の約10%で2番目に排出する分野となっている。
工業汚染水全体の17~20%が染料と仕上げによるものだ。アナログ染色でTシャツ1枚に使用する水は2500ℓ、ジーンズは7500ℓ。

これらの環境負荷をデジタル化すれば、大幅に削減できる。また、投資の抑制やスペース整備につながるだろう。

エプソンテキスタイル事業の価値創造スト―リーだが、アナログに比べデジタルはシンプルで納期も短く、廃棄ロスの削減も可能。また版が不要で、クリーンで安全な作業環境を提案できる。
今後、デジタル化により、一拠点生産型から分散・近消費地生産に環境が変化するだろう。

必要な場所に必要な量のインクを置き、捨てない、環境負荷の低い技術。それがプリンタだけでなく、現場の困りごとを解決していく。

 

特別講演「中国のデジタルテキスタイルプリンタ最前線 ~ITMA Asiaレポート~」
Keypoint Intelligence Industry Consultant – China  潘維強(Peter Pan)氏

潘氏は、6月12日から上海で開催された国際繊維機器展「ITMA Asia」のレポートを行った。

「ITMA Asia2020」は、6月12日~16日、上海市で行われた。新型コロナウイルスの影響で、昨年10月開催予定だったが、8カ月遅れで実施された。
開催面積はビッグサイトの1.6倍だったが、これでも規模は大幅縮小しており、1237社(2018年1733社)だった。特に中国国外企業の出展が減っており、これが来場者数にも影響し6万5000人と前回の約10万人から減少した。

勢いがある企業はAtexco、Homer、Hopetech などの中国企業で、高速のハイエンド市場にも浸透した。プリンタの傾向では、中国メーカーによるEpsonヘッド採用が続く。

国外メーカーは、中国市場では厳しい状況。ハードとコストのバランスでは中国ベンダーが優勢になっているからだ。海外メーカーはヘッド交換のコストを下げるべき。
毎時4000~6000㎡のプリンタを、中国市場で受け入れられる価格で、リリースすべき。
今回、シングルパス展示は無かった。デジタルプリントでは、品質の懸念(バンディング)があるからだろう。

 

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