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電子ペーパーのカラー化でSFのような店舗も実現! 凸版印刷、大日本印刷の両社が提案 【リテールテックピックアップ】

【2016年3月10日】映画「マイノリティ・リポート」が公開されたのは2002年。その世界で描かれていたのが電子ペーパー。新聞が電子ペーパー化されており、決まった時間が来ると新しい情報を受信し、自動的に記事が入れ替わるというシーンがあった。また、瞳の光彩を読み取り、その人に合った情報をポスターや看板で流すデジタルサイネージも登場していたのを覚えている人も多いだろう。
その未来がすでに来ている。

棚札は地味に重要情報
話は現代に戻るが、スーパーやコンビニで見る棚についている値札「棚札」は、非常に地味に重要な役割を背負っている。
昔は商品にはシールの値札が貼ってあることが多かったが、バーコードを読み取るPOSレジが普及してからは、シールの値札が貼られることがほとんどなくなった。
だから、あの棚札がなくなってしまったり、ずれていると商品の値段が分からなくなる。
少額の商品でも困るが、家電製品など高価な商品でこれが起こると大きなトラブルになりかねない。
また、棚卸の際も棚札に表示されているバーコードを読み取りながら個数を数えるなど、商品管理でも活用されている。

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これに新たな提案をしているのが「電子棚札」だ。パソコンなどと連動していて、一瞬で表示が切り替わる。値引き作業もシールなどをペタペタ貼らずに済み、楽ちん。人件費の削減や接客の充実にもつながる。
だが、今までの電子棚札は液晶などを使ったものが中心で、スーパーではよく見るが、厚みがあり置く場所は限定されていた。

「薄い」「軽い」「折り曲げOK」電子ペーパー棚札の登場
そこで新たな試みとして、導入され始めているのは電子ペーパー。Amazonの「Kindle」など電子書籍で採用されている技術だ。表示の切り替え時以外はほとんど電力がかからず、薄く、軽く、一部は多少の折り曲げが効き、曲面などにも使用できる。

凸版印刷は今開催中(3月11日まで)の「リテールテックJAPAN 2016」で、細長く加工したレール状の電子ペーパー棚札を提案している。
さらに、これまでは白黒がほとんどだったが、白黒赤の3色の切り替えが可能な電子ペーパー棚札を国内で初めて開発し、これを展示している。赤色が加わることで、PRするポイントが明確になり、価格の確認だけでなく、販売促進にも大きく貢献できるようになった。

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この技術E Ink社という台湾のメーカーが開発したもので、凸版印刷のフレキシブル薄膜トランジスタ(TFT)と組み合わせることで、薄くて曲げることができるようになったという。
リテールテックでは、ボタン一つで表示を切り替える体験が可能だ。

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   リテールテックJAPANでの展示


大日本印刷もプロモーション分野で電子ペーパー提供

大日本印刷も同じE Ink社との提携。電子ペーパーをセールスプロモーション分野やセキュリティー分野で活用していくという。
こちらも大日本印刷が持つ、ディスプレーの表面処理技術や背面基板技術、ICカード製造技術と、E Ink社の電子ペーパー技術や電子ペーパーの色制御用ソフトウエアを組み合わせたものだ。
鮮やかな発色や切り替わりで、アイキャッチ効果を高めた店頭POPが可能になるという。

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こちらもリテールテックJAPAN 2016で展示されており、白無地の画面から、青と白の発色が美しいポスターに一瞬で切り替わる様子や、店舗の棚の色を電子ペーパーで演出するなどの店舗周りの提案に加え、航空機手荷物用のタグの電子ペーパー化などを参考出品している。

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航空手荷物用のタグも電子ペーパーに

さまざまな会社がフルカラーの電子ペーパーを開発しており、これらの製品がポスターや看板になるのも遠い将来ではない。フルカラーのPOPも、電子ペーパーになるかもしれない。カメラやセンサーなどと組み合わせれば、来店者や地域に合わせて違う言葉を表示することも可能だ。「マイノリティ・リポート」のようにポスターやPOPのお知らせが、あなたに合わせて一瞬で切り替わる日がすぐそこまで来ている。

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