【2019年4月8日】新元号「令和」の発表から1週間。巻き起こった「令和フィーバー」(昭和的表現)だが、新元号ビジネスの盛り上がりが、なかなか面白い。
なぜか注目されたのは印刷関連。それもデジタルプリンティングや加工機によるものが多かった。
いきなりの注目に戸惑いもあるが、デジタル印刷活用のヒントになりそうな事例が多く見られたので、その傾向をまとめてみたい。
まず最も早かったのが日本コカ・コーラだった。
新元号の発表は11時41分。
なんと午後1時過ぎには新元号「令和」がラベルに表示された「コカ・コーラ」を新橋で配布していた。
同社の制作レポートを見ると、テレビに映し出された菅官房長官が掲げる新元号を見ながら、パソコンに用意しておいたデザインへ「令和」の文字を組付けている。
協力は日本HPとのこと。
配布は1時間ほどで終了してしまう人気の上、このことが速報的にあらゆるメディアで取り上げられ、劇早イベントの爆発的な広告効果を見せつけた形だ。
もう一つ、素早い配布を実現したのが「令和ハイチュウ」。4 月 1 日午後6時に、渋谷で配布開始した。
以前に取材した「おかしプリント」で作られたもので、これもテレビを見て即デザイン。渋谷マークシティー前で配布し、15分で終了した。
担当者は「いや~コカ・コーラに完全にやられました」と言っていたが、こっちはなんとユーチューバーのヒカキン氏がゲットして食べているではないか。
ヒカキン「【超激レア】令和味?の令和ハイチュウを手に入れたので食べてみたらまさかの結果にwww【1000本限定】」
やるなあ~。そして渡〇さん僕にもくださいよ。
「おかしプリント」の詳細
https://okashiprint.com/
新元号発表と同時に、特設ショップを作って「令和グッズ」を販売した会社もある。
“秋葉原発モノヅクリのプロ”インドアと、キャラクター商品の企画・製造・販売を行うトイズ・プランニングは、インドアが運営する秋葉原中央口駅前好立地のイベントスペース「THE AKIHABARA CONTAiNER」で、全7種の新元号グッズを販売した。
なんと新元号発表からわずか30分でグッズ製造〜イベント開催をしたそうで、テレビの取材も来たようだ。
製造現場を見るとミマキエンジニアリングの卓上フラットベッドプリンタが使われているではないか(たぶんUJF-3042MkII)。
デジタルプリンタを販売場所のそばに持ってくれば、こんなこともできるというお手本のようなビジネスだ。
なんと4月1日、2日のみの営業で特設ショップは撤収。こういう商売はスピードが命という点でもなかなか面白い取り組みではないだろうか。
そして多いのが「令和ラベル」のアルコール飲料。
信州の蔵元遠藤酒造場が最も早く、新元号発表と同時に「令和」をラベルにデザインした純米酒の発売を発表し、当サイトでも取り上げた。
実際「全国のどこよりも早くを目指した」としており、地方の酒蔵でありながら大手ブランドオーナーと並びで報道されるなど、これも早さが訴求効果につながっている。
「ワンカップ大吟醸 新元号ラベル180ml瓶詰」も3月に発表されていたが、残念ながらデザインが発表されたのは4月2日だった。
このほか「アサヒスーパードライ」も「令和記念パック」の発売を発表している。
出荷用の段ボールで「令和」を祝うのは、岩塚製菓。4月15日(月)から期間限定で「令和」をデザインした段ボールで商品を出荷し、祝賀ムードを盛り上げるという。
デザインは紅白の配色に「令和」の文字を添えて、ハレの日を演出している。
また主要商品である「大袖振豆もち」「桜えびかきもち」のパッケージ自体にも「令和」の文字を入れるそうで、一部ではシールを貼りつけて対応する。
軟包装だと制作まで時間がかかるので、苦肉のシール。まあ、1週間もあればシールなら納品可能だし、数万枚程度の少量で印刷できるので、この方が正解かも。
軟包装は製版して、印刷数量はだいたい1回2000m以上になるので…。
もっと根源的に「印刷」が人気だったのが、各紙「号外」。
最近は号外のハードルが下がっていて「〇〇結婚」とか、「〇〇離婚」とか、芸能人のゴシップ程度でも出ているようだが、今回はさすがに数十年に一度のビッグイベント、各地で号外を奪い合う巨大な「押しくらまんじゅう」が出現してしまった。
そして、その号外、メルカリなど転売サイトで売られている。
一時は1部1万円の値を付けたものもあるそうだから、「部数に困っている新聞社は売ればよかったんだよなあ」などと言っていたら、産経新聞がこんなことをやり始めた。
新元号「令和」決定の号外をプレゼント 産経iD会員限定 「号外がほしい」との要望に応え先着2000人に
なんか、PDF配布も行っている新聞社もあるらしいけれど、やっぱり「紙」それも「新聞紙」で欲しいという心情を持っていることを確認したのは、一周回って関係者の多くが新鮮な気持ちを味わった瞬間となったのではないだろうか。
ちなみに、「令和コカ・コーラ」「令和ハイチュウ」も1万円とか3,000円とかで取引されております。なんだか、もう「令和バブル」というか、「令和モラルハザード」というか…。
新元号発表のようなリニュースと連動でPR、広告をしたい場合、結局「先んずれば人を制す」の言葉どおり、早さが命だったり、命とりだったりするというのは本当に間違いない。
コーラやハイチュウはさすがで、このポイントに向かって、ものすごく研ぎ澄ました仕掛けをしてきた。
意外も意外だったのは号外。
各地で争奪戦の大混乱が起きた上、ただでもらったものが、ネット上では1万円で売られてしまうという商流まで見えてしまった。
新橋にはそのうち、号外ハンターが現れたり、配布者が横流ししたり、なんてことが起こるかも…。
ほんと、新聞社さん、なんか新しいことできそうじゃないですか?
ポーンと話題になったもののほとんどがデジタルプリントで、販売、配布する場所のすぐ近くで印刷されていることが爆発力につながったのがおもしろい。
いっそのこと渋谷駅前とか、新橋SL広場あたりに印刷機持ってきて刷っちゃうイベントなんかも成立するかも。
というわけで「令和」の狂騒は次回5月1日に持ち越されております。
何かすごい仕掛けをする会社が現れるかどうか、お楽しみに!
当社ではリークもお待ちしております。
info@p-prom.com
Copyright © 2024 プリント&プロモーション . ALL Rights Reserved.