書店の新たな販促戦略!!「タワー積み」って知ってる!?②のつづき
【2015年9月2日】さて、タワー積みによる販売効果はどうなのだろう。
松下さんは「単純に積み上げることによって目立ち売れるというのは間違いなくあります」とした上で「現在はツイッターやフェイスブックなどのSNSによって、タワー積みの様子を拡散していただけるので、それを目当てに来店していただくケースも多い」と言う。
やはり記者が想定したSNSによる拡散効果もあるようだ。
(撮影は他のお客様の迷惑にならないように注意してください。また書籍の内容を撮影することもマナー違反ですのでご遠慮ください)
さらにはそこから、タワー積みがメディアに取り上げられるケースも出てきており、作品自体がニュースとなることもある(当サイトもそうですね)。
城をモチーフにするなど作品の芸術性も話題に(写真提供:三省堂書店)
版元(出版社)からも「次の○○先生の作品。タワー積みお願いします」や「今度の○○という作品初回400冊用意しますからタワーで」という「タワー依頼」や「タワー指定」が行われることがあるという。一種この陳列方法は業界で認知された販促方法となっているようだ。
ただし、200~400冊人気の新刊を集められる書店だけでしか展開できないそうで、全国でも数店舗ほどしか、常にタワーが見られる場所はない。
積み上げには最低でも200冊程度の本が必要。400冊を超える大作もある(写真提供:三省堂書店)
自分でタワーを積んでいる作家さんもいる。
この写真で積まれている本は、作者の蒼月海里(あおつきかいり)さん自身が積んだもの。
実は作者は同店舗でアルバイトしており、自ら「タワー積み」を志願し、この「幽落町おばけ駄菓子屋」シリーズの販売も好調というのだ。
これまで、書店でのイベントといえば、サイン会やトークショーがお決まりだったが、ひょっとすると作者やアイドルによる「タワー積みイベント」なんてことも今後はあり得るかもしれない。
本の装丁を考える際も、表紙は滑りづらく、厚く、積みやすいといった「タワー積み仕様」を意識した本が今後出てくれば楽しい。背表紙だけでなく、小口や天地にも印刷を入れれば、よりタワーに適した見栄えを得られるだろう。
中身は大事だが、やっぱり見た目(パッケージング)が大事なのは書籍も同じだ。
今後の目標などを聞いてみた。
母袋さんは「好きな作家さんの本が積み上がっているのを、ファンの方に喜んでいただけるように、作品のイメージを大事にしながら積んでいきたい」とあくまで本が主役であることを強調。
松下さんは「まずは安全第一ですが、他店との差別化の一つとして、タワーでお客さまに楽しんでもらえれば」と話してくれた。
この取材、本屋さんの本への深い愛情と本好き&書店好きを楽しませる努力を感じた取材だった。
急な取材を受けていただいた三省堂の松下さん、母袋さん本当にありがとうございました。
さて、うちのタワーになった積読(ツンドク)そろそろ読みはじめようかな。
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