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書店の新たな販促戦略!!「タワー積み」って知ってる!?① 本好きならおさえておきたい三省堂書店の新名物

【2015年9月2日】タワーというと何を思い浮かべるだろうか?東京タワーやスカイツリー、エッフェル塔など有名なランドマークがたくさんあるが、最近、本好き&書店好きの間で話題なのが書籍のタワー積みだ。

8月の暑い日、あの書店街で有名な神保町の三省堂本店でミーティングを行った時のこと。地下鉄駅から三省堂2階のカフェに行くために近道をして、裏口から店内1階を抜けていくと目を奪う光景が。

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ちょ!これなに?芸術?アーキテクト?
芥川賞受賞で話題の本「火花」が美しいタワーを形成している横で、記者の頭の中にも火花が飛び散った。

ミーティングを済ませ、もう一度1階に降りてみたが、やはり気になる。
「本当は店内撮影とかはいけないんだよな」と思いつつ、スマホでパシャリ!
店を出てすぐにSNSで配信…しようと思ったが、

「待てよ!これって書籍自体を使ったSNSプロモーションじゃないの?」と記者は神保町の街中で立ち止まった。路上を行きかう読書家やその他の方々の邪魔になりつつ(すみません)、スマホで同店を検索し、その場で電話。取材を申し込むと意外にも「すぐにOK」とのことで、踵を返し店舗事務所にお邪魔した。

記者を迎えてくれたのは同店舗副本店長兼チーフMDの松下恒夫さん。
さっそく、書籍の塔について話を聞いた。

「あれは『タワー積み』と言って、ここ数年で大型書店を中心に広がり始めた陳列方法です」と松下さん。
ただし、積み上げで見せる陳列方法は以前からあった。
ベストセラーが次から次へと売れていくので、台車に梱包を切って出したまま(幾何学的に積み上がった状態)の本を売ったことが始まりという。
そのベストセラーの名前にちなんで業界ではこれを「トットちゃん積み」とも言う呼ぶそうだ。

若い方は知らないと思うが、あの黒柳徹子のベストセラー「窓際のトットちゃん」が発売されたのが1981年。実に34年前から、このタワー積み文化は脈々と継承されてきた。それが今世紀に入ってから、芸術的な進化を見せ、大手書店の店頭に次々とタワーが積み上がり始めた。

「どこが発祥かはわからない」と松下さんはいうが、「おそらく都内、おそらく神保町、おそらく三省堂」というニュアンスの話があったので、当サイトではここ三省堂神保町本店を「タワー積みの聖地」と勝手に認定する。
以下は聖地で行われたタワー積みの一部だ。

2013年4月に発売された村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」では、人気作家の最新作ということで多くの報道陣が集まったが、彼らの度肝を抜いたのが巨大な「タワー積み」だった。

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積み上がった世界の村上の新刊は何とも美しいタワーに(写真提供:三省堂書店)

13年9月、万城目学の「とっぴんぱらりの風太郎」では、書籍の一夜城が築城され、その城に忍者が舞った。

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本で城を表現し、壁面には忍者が表れた。「とっぴんぱらりの風太郎」(写真提供:三省堂書店)

14年4月、村上春樹の「女のいない男たち」では、エンパイヤステートビル!?それともタイの世界遺産アユタヤの寺院!?といった趣の構造物が三省堂に出現し、こちらも人々の目を引いた。

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古代遺跡のような威容を誇る村上春樹の「女のいない男たち」(写真提供:三省堂書店)

さて、これらのタワー積みを生み出しているのは、三省堂の社員やアルバイトの方たち。
そのタワー積み職人の中でも最高峰の技術を持ち、タワーの歴史にも詳しい課長兼MD販促担当の母袋幸代さんを売り場から半分無理やり呼んでいただき、さらに話を聞いた(本当に突然の訪問ですみません)。

書店の新たな販促戦略!!「タワー積み」って知ってる!?② 芥川賞受賞の「火花」は積みやすい?につづく

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