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どうなる2017年!? プリント&プロモーション的業界展望 「マーケティング」「自動化」「デジタルとのさらなる融合」

【2017年1月5日】2016年は英国のEU離脱やトランプ氏の大統領当選、「ポケモンGO」や「君の名は。」のいきなりの大ヒットと「先が読めない展開」が続く1年でした。

2017年が明けて、すでに5日。言い訳ではないですが、プリントとプロモーションの業界も先行きはまったく読めそうもありません。
しかし、2016年の傾向から少しだけ、2017年の印刷と販促に関して展望を描いてみたいと思います。

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印刷業界のマーケティングブーム

情報伝達の速度では、すでに印刷は前時代の技術となっています。
その中で印刷が生きてくるのは、人の情動(エモーション)に訴えるプロモーションの部分。
このサイトが「プリント&プロモーション」という名前であるのもそこに由来するのですが、この場合、重要なのは情報速度ではなく「いかに人の心を動かすか」です。
それには印刷を「いつ」「どこで」「誰に」「どのくらい」使用するかということが重要になっています。

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印刷会社は、ただ「印刷して」と言われてから仕事に取り掛かるのではなく、どこで印刷を使うかを決める「マーケティング」の部分を握りたいと考え始めています。
DMやチラシ、カタログ、POPなどはまさにプロモーションの分野にあたり、マーケティングの力を活用すれば大きなチャンスが生まれそうです。

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昨年11月には日本フォーム印刷工業連合会が「B to Bのためのマーケティングオートメーション」と題して、シンフォニーマーケティング代表取締役の庭山一郎氏が講演。2月開催の「page2017」でも、セミナーはマーケティングをテーマにするそうです。

 

プリントの自動化を見据えた動き

昨年行われた「drupa2016」では「Print4.0」「インクジェット3.0」、「パッケージ」「マルチチャネル」などテーマが分散した印象がありました。
しかし、その中で確実に注目を集めていたのが、「自動化」でした。

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この自動化を後押しするのは、欧州の多くの国で制定されている労働者を守る厳しい法律。Drupaが行われたドイツは「連続した労働は10時間まで」や、慣例として「年に1度は連続した休暇を2~3週取る」など、労働者にはうれしいのですが、経営者からすると「ちょっと辛い」雇用の状況が生まれています。
そんなわけで「人を雇うことはリスク」という認識が欧州で広がっていのです。

これがさまざまな業界で「業務を自動化しよう」という動きを後押ししています。
プリント業界でもこの流れは間違いなくあり、drupaでは印刷機自体の自動化はもちろん、印刷の前工程と印刷、印刷から加工へのつなぎの部分での自動化に関する提案が各所で見られました。枚葉用紙を次々に載せていくアーム型ロボットなどは、1人分の仕事を確実に減らしています。

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昨年、同時期に訪問したオランダのグッズプリント企業では、USBメモリの組み立てをロボットアームが行っており、24時間1つのミスもなく組み立てることから「単純計算で人間の3倍以上働く」と経営者は太鼓判を押しています。
この機械を複数台導入することにより、最大60人採用していたパート社員のほとんどを削減できるそうです。

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同じく訪問したシール業者では、少量多品種のステッカー作成で、大判インクジェットプリンタからカッティングプロッタへの搬送を自動化。ここでも1人分の仕事が機械に肩代わりされていました。
この会社では、11台のインクジェットプリンタを1人のオペレーターが操作するという離れ業を、パソコンのシステムを活用して行っていました。

欧州企業 欧州企業

日本でも政府が「同一労働同一賃金ガイドライン案」を昨年12月に公表し、非正規雇用者を守る動きが強まっています。また、電通で起こった長時間労働による社員の自殺で「働き方改革」にも注目が集まっています。今年からは、毎月月末の金曜日を午後3時退社とする「プレミアムフライデー」の導入も政府が旗を振っている状況です。

このような中、日本でも欧州の事例と同じように、経営者の「自動化を進めなければならない」という意識は広がりそうです。

 

販促はさらにデジタルと融合

販促物はさらにデジタルメディアと結びついていくと考えます。
大きなものはサイン(看板)から、POP、包装、ラベル、チラシ、プレミアムグッズなど販促品に使われる印刷物のジャンルは幅広いのですが、これらすべてがさらにデジタルとの融合を見せています。

DM事例 DM事例

QRコードの活用はもちろん、パッケージデザイン自体がデータにひも付けされたAR対応の包装などもあり、これらが販促に一役買っています。

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ただ、これよりももっと簡単にデジタルと融合するのは「SNS映えする販促物・商品」でしょう。
思わず撮影してTwitterやInstagram、Facebookに投稿したくなるもの、それを見た人がリツイートしたくなるものを作るほうが重要になってきています。
その根底には「キャンペーンでバズらせるより、見た目でバズらせることの方が簡単」という、広告会社やブランドオーナー販促担当者たちの本音があるようです。

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印刷業はデータをデジタルで扱っており、ある意味デジタル業界の一つになっています。
そのデータを印刷や加工に落とし込み、具現化するノウハウを蓄積していることから、デジタルオンリーの業界に比べ活用の方法を提案しやすいという優位性を持っています。

また、先日掲載した「SPinno(スピーノ)」の例でも分かるのですが、販促物の製作をクラウド化するという動きも出ており、多くの人がいかに販促物を有効に使うかという仕組みが作られつつあります。

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ざっと、2017年の展望を書いてみましたが、本当に「見通しが利かない」昨今、まったく別の大きなグッドニュースがたくさん現れる2017年になることを期待したいと思います。

 

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